僕に義妹萌えの病気を完治不可能まで植えつけやがった運命的な作品。このソフトをやるまで僕は義妹を実妹の攻略可能廉価版ver――つまり、祖父倫規定で実妹が攻略できな(かったのである。昔は)いから、義妹で我慢しますよ――程度の認識しかなかったが、雪希たんはその大いなる誤りに気づかせてくれた。僕は実妹の近親相姦の背徳感やそのタブーを巡る世間的・近代的葛藤に燃えていたのではなく、真の「恋人」でもなく「兄妹」でもなく「家族」でもないという、義妹の幽霊的な属性を巡る物語に萌えていたのだ。この作品でそれを象徴し物語を構築するのは玩具の指輪だ。その盗まれた指輪は本来の持ち主から離れた故に本物の指輪と同じように輝き、主人公達の関係を引き裂きながら同時にまた結びつけていく。これは恋愛というより、漱石的にいえばPity's akin to loveかもしれないが、信じるかしないような、そんな切実で優しい物語である