ErogameScape -エロゲー批評空間-

マルセルさんのQUINTUPLE☆SPLASHの長文感想

ユーザー
マルセル
ゲーム
QUINTUPLE☆SPLASH
ブランド
Parasol
得点
82
参照数
2819

一言コメント

パラソルっていうメーカーは、昔からわりと作風がコロコロ変わる不安定なメーカーで、さらに今作からは看板ゲンガーだった「ちこたむ」画伯も抜けて、なんかウリ要素あるんですかこれぇ?みたい微妙雰囲気が漂っていた今作だが、こういう時に限って良作がポンと出たりするからエロゲっていうのは面白い。水泳大会展開になりながらも、最後まで本当はもっと楽しいことをしたいー、主人公にいいカッコを見せたいだけーと、だらけイチャラブする亜美ちゃんシナリオや、アニキからお兄ちゃんまで兄妹の関係性の変化をシリアスを交え丁寧に描きつつも、根本的な所ではいつもお兄ちゃんに子供のようにじゃれ合っている姿を見逃さないい巴シナリオといった、イイ話や成長頑張りました話には収斂されない「水と弾けるようなイチャラブ」の毎日を軽やかに描いてる。貧乳ボディを煽り立てる着エロや何気ない日常仕草からのエロ移行といった、間接エロの強調も素晴らしい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想



・総CG枚数(差分無し)86枚 総回想数 28枠

・キャラ別CG(エロCG)SD絵&回想数 

沙保里   16枚(7)2 5回
紗枝    17枚(9)1 6回
亜美 16枚(8)2 7回
みお    16枚(8)3 5回
巴   14枚(6)1 5回
その他  7枚

(備考:エクストラシナリオでいろいろ追加はありそうなんですけど、そこらへんはまぁおいおいってことで)


・クリック数

簡単な説明:クリック数つーのは、既読スキップオン+テキスト速度ノーウェイト環境下で計った、ゲーム開始時から作品を終えるまで各シナリオ毎のクリックの合計回数のこと。以下そのメリットについて。

(1)初回プレイ時の「共通」+「個別」のシナリオの総容量が分かる
(2)2周目以降の、共通シナリオを除いた個別シナリオの総容量が分かる。

(ゆえに、一周目のヒロインルートはクリ数が多く、二周目以降はたぶん半減するが、一周目の「個別ルート」が他よりも長いというわけではないので注意)

(3)エロテキストのクリ数と。それを含んだ全シナリオのクリ数を比較すれば、両者の割合もある程度はわかる。
(4)テキスト速度の環境さえ同じなら、プレイ時間と違ってユーザーによる計測誤差は少ない。

といった四点が指標として役に立つとバッチャが言っていたような気がしないでもない。

(5)BCは主人公とヒロインが恋人になる前までのクリック数で、ACは恋人になったあとのクリック数ね。
「その恋人になった「まえ/あと」ってどう定義するの?というのはなかなかにむずかしい話であるが、大抵のエロゲには告白CGなるものがありますからそこを基準にします
そういうCGがなかったり、なんかズルズルだらしない感じでずっこんばっこんなシナリオの場合は、まぁ僕がテキトーに判断しますが、その場合は「?AC6992」みたいに?をつけまつ。
そういや「誰とも付き合わないシナリオ」っていうのもあらわな。そう言う場合は特にACとかBCとかは書きません。


1周目 沙保里    「153424」AC4865
2周目 紗枝     「7566」 AC7566
3周目 亜美     「7023」 AC7025
4周目 みお     「5393」 BC1134 AC4459
5周目 巴 「7799] BC3345 AC4354


(備考:上の三人にBCがないのは、基本的にヒロインが主人公にコクってすぐ恋人になるからですね。厳密に言えば100クリくらいはありますけど、そこらへんは切り捨てしました)


・各キャラのHシーンのクリック数



・沙保里         1:259 2:475 3:411 4:331 5:3881 
・紗枝         1:287 2:488 3:433 4:224 5:286 6:447
・亜美         1:256 2:398 3:221 4:363 5:265 6:278 7:311 
・みお         1:221 2:398 3:224 4:402 5:368 
・巴          1:303 2:604 3:384 4:377 5:336 



☆作品の大まかな評価。

簡単な説明:これはもうそのまんまですな。一応Z~SSSまでの評価基準が存在するらしいのですが、大抵はC~Aの間に収まっているようです。
「C」がだいたい「やってもやらなくても別にいいんじゃね」。「B」が「やればけっこう面白いんじゃね」。Aが「やってないヤツは人生つまないんじゃね」。
といったかんじになっております。あと「全体評価」っていうのは、その項目における「作品全体」から感じる何となく駄目だとかイイとかそういう評価です。
あと、これは当たり前すぎて却って説明しにくいものですけど、僕の定義による「シナリオ評価」ってヤツは「感動させなきゃダメ」とか「深いテーマが無きゃダメ」とか、
そういうヤツではなくて、基本的には「その作品が目指していると思われるものが、どれくらい達成されているか?」というような「完成度」評価に近いものかも知れません。
ですから、原理的には抜きゲであろうと萌えゲであろうとシナリオゲであろうとも、その作品が目指しているものが完成されていると判断すれば、シナリオ評価は高くなるって話です。

・シナリオ評価

沙保里      C+
紗枝       B
亜美       B+
みお        C
巴        B+ 
全体評価   B

・イチャラブ評価   

沙保里      C+
紗枝       B
亜美       B+
みお        C
巴        A- 
全体評価   B+



・エロ評価

沙保里      B-
紗枝       B+
亜美       B+
みお        C+
巴        A-(エクストラが出なければB+) 
全体評価   A-
  
   
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

☆シナリオについて

「1」「2016年のエロゲキーワードは信頼情報格差だ!」


別に僕はいわゆる「売り上げ厨」ではないのだけれども、10数年前にエロゲ屋のバイトを長期間やっていて、そこからエロゲ屋店員との細々とした繋がりも維持しているので、
「最近の作品の売り上げ傾向」というのはちょっとした興味がある。むろん「売り上げが良い作品=作品内容が優れた作品」が正しいなら、全フィクションはソシャゲの射幸心と誇示消費の前に屈するべきである。
僕が興味があるのは「売上本数=作品の質」という点よりも「売上本数=ユーザーの信用度」といった観点だ。つまり「作品内容が面白いからその作品が売れる」と言うことでは無くて、
「その作品内容をユーザーが信用しているから、その作品内容を欲する人はその作品を買うだろう」と言った点である。この二つは似ているようで、微妙に違う。これを説明するためには「イチャラブゲ-」を例に出せば良いし、
実のところ「イチャラブシナリオ」内容そのものにも大きく関係してくる話であるかもしれないと、壮大な伏線をここに撒いておこう。

これをぶっちゃけた形で説明するなら、両方ともイチャラブゲーを名乗っているのに何故この「クインタプルスプラッシュ」はあまり売れていないのに「アマカノ2」は売れているのか?という問題である。
この答えはもの凄く簡単で、つまり「クインタプルスプラッシュはメーカーがイチャラブゲーとして信用できない」からで「アマカノ2はアマカノ1がイチャラブゲーとして評判が良かったから」という答えに尽きる。
こういう答えが納得できないという人の為に、いちおう「経済学」の概念を用いて説明しておこう(別に常識論の範疇ではあるので、常識論でわかる人は以下の説明は読まずに「2」までスキップよろ)


さて、経済学の用語に「情報の非対称性」という言葉がある。これは「売り手と書い手のその商品に対する情報格差」をきほん意味して、当然のことながら「売り手のほうがその商品に対する知識は多い」わけだ。
この時、売り手がその取引において書い手に真っ当な情報を与えていれば問題が無いわけだが、しかし売り手が悪意を持って、または売り手がこの情報格差を知らずに重要な情報を提示し忘れた場合には、
エロゲで言えば「恋カケ」という「逆選択」が発生する。「逆選択」というのは「市場原理」つまり「自由取引においては双方によって利益が生じる」という状況を毀損するような状態で、
そりゃ「商品内容と提示されているものと、その内容が異なっている場合」には、書い手は怒るだろうし、そのような「詐欺」が発生するような市場は買い手の信頼感を失わせるので衰退するわけだ。
因みにそのような「売り手が商品の不良状態を買い手に隠しているような市場」のことを「レモン市場」といい、僕としてはエロゲのそれを「星奏ちゃん市場」と名付けたい。乙女チックなのに実はピッチな良い名前だと思う。

さて、この「情報の非対称性」を「エロゲ」というか「フィクション」に適応させるのは、一つだけ障害がある。これも「恋カケ」論争(あるいは類似の詐欺ゲー論争)を思いだせばわかると思うが、
そう「星奏ちゃんがビッチなら最初からビッチと書いておけよイチャラブとか言うな派VS全部がネタバレしたら作品成り立たないだろうが派」の論争である。いちおう僕は常に前者の側に立っていると告白し、
「メーカーが前もって、自分に取って有利で誤解を招くようなネタバレ広報はアプリオリにスルーするのに、ユーザーが求めるネタバレをネタバレ禁止でをスルーするのってダブスタよね」と後者を批判させてもらうものの、
とはいえ、この論争を先の「情報の非対称性」という観点から見ると非常に面白いことがわかる。この論争はこの観点からみると、

>「フィクション商品に関する情報は、人によって(または作品によって)情報の需要に大きな差があり、人によってはある情報は商品にとって有害であるが、にも関わらずある情報は求めている」

とでも言うような様態がわかるだろう。先の論争は通常「メーカーにネタバレ情報を求めるのか」議論と要約されてしまいがちであるが、実際は「何処までネタバレを求めるのか」という線引き議論をしているのだけれども、
しかし「ネタバレ禁止派」はそのような事実を中々認めにくいのは「ネタバレ禁止派」とはいっても、実際に「ある種の情報」は許容し求めているのだが、その事実はなかなか言語化しにくいものである。
これは「フィクションのダブスタ構造」に強く起因するものではあるものの、まぁここでそんな本質論を議論するのもアレなので、ここではその結論だけ出しておくと、大まかに言って、

>「フィクションに関する情報需要は、その作品物語内容に対する情報に関しては、人によって大きく賛否があるが、その作品完成度に関する情報に関しては、常に欲している」

とでも言えるだろう。これを一般用語で言い換えると「ガルパンの物語のネタバレ」はたいてい批判されても「ガルパンは良いぞ」はオールおkなのである。
僕らはたいてい「その作品の物語内容の細部」については詳しくあまり知りたくは無いが、その作品が「良いもの」であるかどうかは大抵前もって知りたいわけだ。
これも「恋カケ」議論でよくみられる話であったが「オタクは安全無害な作品を好みたがる」とか言うような人に限って、それこそエロゲ世間的に評価された「ベストエロゲ」作品しか基本やらないように、
僕らは虚構作品の情報に関しては、その「作品内容」よりも、その「作品完成度」や「その作品の世間的評価」を優先するというわけだ。だからこそ「エロ助の工作w」はあれだけ非難対象になる。

「エロ助工作w」というのは、基本的にID履歴無しの名無しさんが「単発」でとある作品に0点や100点クラスを付けるような「点数を操作しているんじゃないか」疑惑であるが、実際のところ、
このような工作は「長期的にデーター数が多い場合には」さして影響はない。あらかさまな単発操作の影響を除いたとしても、データー全体の点数分布はさして変わらないのだから。
だけど、この「工作疑惑」が常に起こるのは、以上に示したように、僕らの虚構作品に対する情報需要が「工作」で簡単にハックされるような、
性質を持っているからである。なにしろ「作品内容を知らずに作品完成度やその世間的評価を需要する」のであれば、基本的には「作品コメよりもエロ助偏差値」を取るしか無いわけだ。
そしてそのエロ助偏差値は「コメ内容」によって、少なくとも未プレイ人間には判断することが出来ないのだから、数値それ自体を信用するしか無い。そしてその数値を毀損する工作wの前に脆弱性を露わにするが、
以上の理路を全部認めようとすると自分がもの凄い馬鹿に思えてくるから「工作w」を前にしてそう言う人は吹き上がる反応しかとれないわけ。


んで、ここまで説明すれば、最初の「メーカーの前評判(の方向性)によって作品の売り上げは決まる」っていうのはわかるとおもう。纏めると、まず第一に

>(1)あらゆる商品の取引においては「情報の非対称性が存在する」

ので、その商品内容説明よりも、その売り手または作り手に対する「信頼度」がその商品の売れ行きに大きく関係し、さらには、

>(2)虚構作品においては、さらにその客観的な作品内容情報に対する複雑性が高まるので、作り手の前評判や信頼感は発売以後も正のフィードバックをもたらす傾向がある。

ってわけだ。とはいっても、こんなのはエロ助を見ればわかることでしょ。大半のエロ助ユーザーは「ある程度は高い点数が付いている」エロ助偏差値が高い作品しかやらないし、
エロ助で「盛り上がってきた作品」というのは、要は作品感想データー数が「増え続けている」ような作品を示すわけだし、エロ助ユーザーの大半がそのようなレミングスである以上、
よほど酷い作品を作らず、前作よりも悪くはない作品を作ってはいれば「いつもの○○信頼感効果」で、正のフィードバックは維持できるわけだ。今月で言えばAXLがそれ系だけどね。
そのようなエロ助テンプレ行動パターンは以上のような原理によって説明出来て、それなりに評判の良いイチャラブゲーのアマカノはその2も信頼感の「前評判」だけで売れるってことになる。


この「クインタプルスプラッシュがあまり売れていないのは、メーカーに対するイチャラブの信頼感が薄いから」と言う話に戻れば、これはまぁまず第一に、
「エロ助偏差値が基本的に低いから」という話ではあるが、それ以外に結構大きいのは「このパラソルというメーカーがハタから見るとよくわからん」メーカーではあるし、
いちおう全作買っている僕としても「今まではちこたむゲンガーで買っていたけど、菜の花で鬱ゲーメーカーになったり、今作はちこたむ画伯いなかったり、ようわからんメーカーだなぁ」とは思うわけで。
これ、ある程度最初から「このメーカーは自分の作りたいモノを作っていて、それでいて完成度も高いなぁ」ってメーカーなら、あまり悪影響は無いんだけども、
いわゆるエロ助偏差値が低くて、そして「ハタから見て」メーカー一貫性が弱いと見えるようなところは、ユーザーの信頼感も下がるというか「なんだかわからんな」で相手にされなくなってしまうのよね。

そういうふうに考えると、このパラソルってメーカーは、メーカーにとっては「たぶん作品に一貫性はあると思っている」が、ハタから見ると、それが弱いと思われているようなメーカーだろう。、
おそらくメーカー自身の意図としては「明るめの萌えゲ」と「ややシリアスゲ」を一作事に軌道修正していたんだと思う。一作目の「マジから」から「でりぱら」の流れは、
基本ラブコメエロゲで壮大ファンタジーを仕組んでいた一作目を、二作目ではファンタジー設定を中心においたシリアスエロゲ風に寄せたものの、そこから第三作目の恋妹で一気に「抜きゲ」化して、
それじゃ流石にアレだろうとってことで第四作目の「ゆめこい」では、第一作目のラブコメファンタジー路線に戻したものの、第五作目では一気に鬱ゲ路線に引き返して……といった具合に、
まぁ全作品をやってる僕としてはそれなりに「やりたい」ことはわかるんだけども、ハタから見たら迷走しているようにしか見えないわけだ。そこで今度は「イチャラブゲーを出します」なんて言われてもねぇ。

さらに言えば「メーカ-に対する信頼感」という点で言えば、今回ちこたむ画伯が手を引いたのも、今まで全作品を買っていたユーザーからすると「なんだかなぁ」って感じだと思う。
いや、僕は別にここのメーカー信者ってわけじゃないんだけども、今まで全作品を書いていたゲンガーさんがいなくなるって言うのは、わりとなんとなく惰性で買っていたユーザーからすると、
もうその時点で「ま、もういっか」って感じになってしまうのよねぇ。

ここらへんのお話、良く言われる「意識の高いクリエイター話とかメーカー話」では「メーカーはユーザーに媚びず作りたいモノを作れば良いんだ!}って話に対するカウンターとしての

>「じゃあ、どうして○○固定ブランドって必要なのさ。クリエイターがユーザーの需要に縛られたくないなら、その期待需要を固定化するようなブランドなんて一作毎に解散すれば良いだろ?」

で、結構重要でして、どうにも僕には、いや敢えてそういうメーカー作品に特攻しているフシはあるんですが、ブランドイメージを大切にしていないメーカーが多いよなぁって気はするんですよね。
ここらへん(1)の「エロゲの信頼情報格差」に加えて、この「ブランドイメージの一貫性の無さ」っていうのも、今年は結構響いてくるような気がして、これ何がキツイっていうと、景気の悪い話だけど、
たとえそのメーカーが潰れてしまったりしたときに、ブランドイメージが一貫していれば、このメーカーはこうだった!みたいな話になって復活の芽も出てくるんだけど、
そうじゃなきゃ「お疲れさまでした」以上の話にはならなくて、さらには過去作品もあまり注目されないって話になるんだよなぁ。今年で言えばHOOKとかそろそろヤヴァいっすよ(超余談だけども

んで、先の「1」と加えて「前評判が低い&メーカーの一貫性が弱くて新作の方向性が見えずらい」のは、まさしくこのパラソルに典型的に当て嵌まってしまうんですなー
もうこういうのは2~3年前から、そういう傾向が明らかになっているけど、今エロゲのユーザーは、基本的に勝ち組信頼感嗜好が強いだけではなくて、
さらに言えば、もうエロゲを始めたころから「エロ助偏差値」みたいいな「既存権威」に頼り切っている人が多く(まぁ別にゼロ年代のエロゲオタ全般も基本そうだけどね。だから今はソシャゲに嵌まってるわけで
そうした権威を疑うこともできず、また権威を疑ったとしても、自らの手で自分の好きなゲームの良さをたった一人で語ることも基本難しいので、
だから今のエロ助みたいに「登録作品データーの一極集中」が起こってしまい、エロゲの売り上げも「今月の勝ち組ゲー」メーカーが既に決まっているような状態になる。
んで、その状態の帰結として、そこで真っ先に潰れるのはこういうメーカーなのよねたぶん。フルプライスエロゲ市場にはもはや嘗てのような「一発逆転」の希望はほぼ無くなってしまっている。


おそらく2016年はこういう「エロゲの言説(エロゲの多様性がどうこう)とエロゲの現実(実際は勝ち組メーカー作品しか注目されない)の乖離っていうのが、かなり決定的になるとは思う。
市場的にはもう2013年あたりから進行していた現象ではあるんだけど、たぶんそれが普通の人にも手に取るようにわかってしまうんじゃ無いかなぁと。
そーなると、どーなるかというと……たぶん見た目はそんなに変わらないし、エロゲ業界の衰退ガーどうこうという話にもならないだろう。勝ち組メーカーの売り上げはそんなに変わらないだろうし。
ただ、エロ助的に言えば「登録データー」数はぐっと減っていって、せいぜい今月の勝ち組ゲーしかデーターが10を超えないという自体が割りと普通になって、
その勝ち組メーカーから脱落したエロゲクリエイターは少しずつ数を減らしていくだろう。その時「あなたが応援してる」クリエイターつまりライターやゲンガーや声優さんが生き残ることが出来るかどうかは保証出来ない。
まぁもちろん、大半のユーザーは「脱落したクリエイターは自業自得だ」とシカトするんだろうから、ますます商業エロゲ業界は冷たく身分が固定化された冷めたピザのような世界が広がるだろう。

「最近のエロゲは盛り上がりが少ない」というのは別に作品自体がつまらないと謂うことでなくて、作品自体の質はまぁ平均的に言えば別に堕ちても無いとは思うのだが、
ようは昔みたいに「(作品内容ではなくて)予想不可能性」が小さくなっていて、どのメーカーやどのクリエイターがどんなことをやるか?と言う予測可能性が高まってきているからだ。
これは別にそれ自体は悪いことではない。ある意味業界の成熟とでも言えるようなところはある。ただし成熟は同時に硬化でもあって、その予測可能性を皆が共有して、
その予測可能性からズレタ作品やメーカーは「エロ偏差値」によって除外してるような雰囲気が、それを別の言い方で言えば、別に「サクラの詩」それ自体が悪い作品だとか、
それをベストエロゲ投票するなと言っているわけでは無いのだが、どうせ今年は「サクラの詩」が一位だろうと、まるで自民党の勝利が決まっているかのような予定調和が、その盛り上がりの少なさの原因である。
そのエロ助偏差値システムを充分認識しつつも、そのようなシステムから自分も相応の利益を得ているので、そこから逃れないような自縛状態が今の商業エロゲ業界の「閉塞感」とでも言えるものの正体だ。
もちろん、これは別に「これでもう商業エロゲ業界は終わりダー」話を意味しない。
中期的には、このエロ助偏差値システムはさらに弱体化するし、同人エロゲやその上がりのクリエイターも増えていって(要はエロ助以外の場所で評価されて生き残るクリエイターも増えるわけだ)勝ち組メーカー独占状態は弱くなる。
それくらいのことは今のユーザーも薄々気付いているとは思うんだけど、だからこそ逆説的に短期的にはますます嫌な感じは高まるわけだ。
過渡期というのは、あらゆる現実と言説のギャップが露わになって、そのなかで大半の人が足踏みしているような状態だから、2016年はそういう何ともいいがたい不安がエロゲ業界に付きまとうじゃないのかなぁと。

さて、このように書くと、僕がそういう勝ち組メーカーやそのユーザーを批判しているように見えるけども、まぁ嫌味は言っているのは認めるが、別似それ自体は批判していない。
基本的には潰れるメーカーはまぁ一貫性を確立できなかった自業自得だとは思うので、別に可哀相話をするつもりはあんましない。
だけれども、今のエロゲの「信頼」がどこから生まれているのかは、もう少し自覚的であった方が良いかもしれない。
自分は何を信頼してエロゲをやっていて、はたしてその信頼は当てになるのかどうか?
エロ助偏差値というものは、少なくとも自分の価値判断にとって有益な指標となるのか? 
世の中にはもっと自分の知らない素晴らしいエロゲがあるんじゃないのか? 星奏ちゃんだってピッチスキーには天使のヒロインかもしれないじゃないか?
僕としては、別に地雷ゲーにあってもクソゲーを掴まされたとしても、自分の信じる可愛い妹が、ほんとうに自分の実妹であった時の喜びは、エロ助偏差値みたいなクソデーターよりも遙かに尊いと、
この作品の巴ちゃんもたぶん以下の台詞でそう言っていると思うので、自分だけのヒロインに出逢いたきゃエロ助偏差値なんぞ頼るなぁと声を大にしてそろそろ本題に入ろう。


<巴>
「こんなのは、こんなのだよ」

俺をこんなの呼ばわりしながら、巴は嬉しそうに微笑む。
こんなのという言葉の響きからすれば考えられないほどに、まるで大切な人を慈しむかのように笑みを浮かべるのだ。



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「2」>水と弾けるいちゃラブADV、とは

さて、枕話はこれくらいにして、いよいよ本編に突入だ。「1~2」までの話にテキトーに繋げるならば、この作品「体験版」時点でも「何がやりたいのかよくわからない」ところがあった作品なのである。
少なくとも「体験版」の時点では「水と弾けるいちゃラブADV」って感じはあまりしない作品ではあった。
なにしろ序盤は学園の合併話から始まって、そこから水泳部に入ったは良いものの、さほちゃんと亜美ちゃんの葛藤話や、さほちゃんの主人公に対する誤解うんぬん、
そして学園祭イベントがどーこーと、「水泳そのもの」に関係するような雰囲気はその時点では薄く、わりとまったり気味な日常描写があるほかは、あんまイチャラブゲーって感じじゃないんだもん。

(さらに言うと、この手のイチャラブエロゲでエロシーンをちゃんと紹介するのは良いとしても、エロシーンだけあとで追加したりするのは、本編のエロ以外のイチャラブに自信が無いって思わせるから辞めた方が良いと思うよ。
やんならワンキャラの個別ルートのイチャラブシーンに入るまでの個別ルートを、ネタバレ覚悟でその半分くらいを長めに紹介した方が良いんじゃないかなと。

じっさいこの体験版の共通ルートは、本編の個別ルートの内容を見ても、プラスに作用している場合もあれば、マイナスに作用している場合も結構あって、この作品の微妙な全体構成を結構反映していると言えちゃう。

まずマイナスに作用しているというか、これは本編自体結構微妙ではあるんだけども「体験版でヒロインが惚れちゃう要因を書いてるから、そこらへんの描写は薄めで良いだろ」で本編も基本薄めになってしまった沙保里シナリオだ。
コイツはなー。基本的に「薄味&ボリューム不足ですね」以上にあまり言うことは無いんだけど、それだけじゃ流石にアレなので一応批判的に書いておくと……体験版の共通ルートで主人公が男前だったから、
個別ルート入ってすぐに告白仕様は、まぁ他の2ルートはそれでもそれなりに良い出来だったので、それ自体は別に批判するに値しないし、付き合ってすぐにH関係のネタでお互いにやきもきするっていう展開も良いとしても……
そこからすぐに「Hばかりにかまけているのは良くないから、水中に集中して試合に勝てたら御褒美Hしてね」展開にするのはどうなのか?っていうよりも、その展開のあと「御褒美Hして終わり」っていうシナリオはちょっとなぁ。
敢えて図式的に示すと、

「共通ルート終了→個別ルート開始選択肢ですぐに告白して恋人に→Hするまでやきもき→流されHしちゃってやきもき→Hしすぎてやきもき→試合までエッチ禁止→御褒美Hして俺たちのイチャラブはこれからだエンド!」

って感じなので、2人がある程度は恋人として慣れた状態でのイチャラブ描写がほぼ皆無だし、シナリオ的にも常に「今の恋人状態は不完全なままです」で先に引っ張ろうとするから、イチャラブ雰囲気が弱いわけだ。
その「試合までH禁止」のなかで、恋人同士の頑張りでも描写されればまだマシなんだけど、ここらへんは10クリックで「そして試合当日」ってなるので描写不足も良いとこですわオホホ!
このシナリオでやりたかったことは「Hにやきもきしている沙保里ちゃんが、エロしーんでスイッチ入るとエロイですね!」なんだろうけど、それにしたってもう少し書きようがあったとはおもうんだけどねー


さきにも言ったように、この作品には「個別ルートに入ったら即告白して恋人になる」ルートが他にも2つあって、それは亜美ルートと紗枝ルートだ。
この手の「個別ルートに入ったら即告白」は一般的にもあまり好ましくないと思われているし、僕としてもあまりそれ自体は肯定的には受け止められないものの、とはいえその構成でもまともなシナリオは描けると言えて、
この二つのルートはそれをそれなりに証明している。まずは紗枝ルートからいくと、いきなり主人公が「実は紗枝のことが好きだったんダー」は説得力ゼロではあったけども、それ以降の展開は特に不満もなく安定していた。
基本的にヒロインと主人公のオンリーイチャラブではなく、学園生活を中心にその他水泳部メンバーとの絡みを通じて紗枝との恋人生活を描いていくような構成のなかで、主人公は基本真面目君として過ごしていくから、、
紗枝とのエッチを含めた関係があまり進まないのを、紗枝のほうが基本下手にでながら、


<紗枝>
「私は……そんな風に、真剣に色々と考えてくれている、咲臣くんのことが、ますます大好きになって……」
「咲臣くんと……エッチなことを、してみたいって思う私は、はしたないでしょうか?」


とかお嬢さまヒロインのお上品さを維持しながらも、主人公を性的にリードしてくれる展開は、風景ボイスさんの気品エロをねっぷりと堪能させてくれて良かったっすね。
そこから多少間を置いて、大変に評判がよろしくない「お嬢さまだから許嫁ガー」展開に入ってしまうんですけど、ここからの展開も糞シリアス化をそれなりに上手く避けている。
「許嫁ガー」宣告を受けた紗枝ちゃんは、速攻で家を飛び出して、主人公と水泳部のメンバーと一緒に逃避を決め込むが、そのうち主人公が家の人を説得しなきゃって話になって、
三浦瑠麗にメガネをかけたBBAに対して「金を稼いだら文句は言わせねぇぞ」交渉を妥結して、それで水泳部のメンバーと一緒にお金を稼ぎましょう展開になっていく。

別に僕はこういう「仲間と一緒に頑張りましょう」シナリオってあんまし好きじゃ無いし、このシナリオも特別にすごく良いってほどでは無いんだけども、
「水と弾けるいちゃラブADV」としては、つまり水泳部のみんなと一緒にいろいろ頑張りながらも、ヒロインとイチャラブしましょうシナリオとしてはまぁそれなりによく描けているとは思った。
主人公と紗枝ちゃんの元々の関係性が、委員長と副委員長で、その関係性を個別シナリオでも発揮するために「みんなで頑張りましょう」シナリオを用意しながらも、
そこはそれ2人はもう恋人なので、ちょっとした日常のなかで、ハメを外さない程度にイチャラブしながらも、2人きりになったらアマアマ状態になるという「オンとオフ」のイチャラブギャップを描けているし、
この手のお嬢さまシナリオのお約束の「お嬢さまに値する主人公なのか話」も主人公マンセーだけを押すのでは無くて「周りのみんなと頑張れますデス」でそれなりに上手く落としているので、
全体的なシナリオの通りもよく「お嬢さまヒロイン」のテンプレを用いつつ、そのヒロインの魅力をきちんと描けている良いシナリオだとは思う。


もう一方の亜美ちゃんシナリオは、紗枝ちゃんシナリオ以上に、個別ルート入ってすぐの「実は亜美ちゃんの事が好きだったんダー」告白は説得力が無いがwシナリオ全体の評価は逆に高い。
まぁその説得力が無いw部分について言えば、紗枝ちゃんは共通ルートで主人公が多少なりとも意識していたフシはあったけど、亜美ちゃんについては五月蠅いロリっ娘くらいの好感度しか無かったわけでー。
とはいえ、このシナリオは「五月蠅いロリっ娘くらいの印象しかねぇじゃんw」っていう、主人公=プレイヤーの認識を逆に利用している。

直情径行な性格は変わらないし、告白したあともアグレッシブにアピールするようなところは基本的に変わらないんだけど、今度は主人公の方も少し反撃するわけで、
その主人公のちょっとしたラブ攻撃にもの凄く敏感に反応して恥ずかしがるよう「ラブ攻めは強いがラブ攻められは弱い」という二重属性によって、
「んな個別ルートはいってすぐ恋人になっても感情移入出来ねーよ」を「恋人になるとヒロインの新しい魅力を感じとれて、そこから恋が始まるように」上手くプレイヤーを引きずり込むわけだ。
この作品のなかで、普通の恋愛シナリオとして楽しめるのはたぶんこのシナリオだろう。
わりとすぐにHしちゃう展開でアリながらも、そのHの途中やHの前後に亜美ちゃんの意外なウブ反応があったりして、例えば初エチは亜美ちゃんが主人公をノリノリで襲うわけだけど、
Hのあとに主人公の身体を妙に心配し始めて……


<亜美>
「あ、あはは……そうなんだ。じゃあ、痛かったりはしなかったんだ?」
「だ、だって……その、男の子ってどうなのか、知らないから……」


とか可愛いボケを噛ましてくれたりするので、エロラッシュ気味展開で進みながらも「ただHすればいいだろシナリオ」になっていないのは嬉しいところ。ここらへんはこういう小技があるかないかでずいぶん違う。
そして恋人が出来て、Hまで一直線のあとは、ちゃんとデートイベントを入れて、そこでゴスロリ服をパッと見せ、まさに主人公が亜美ちゃんだと気付かなかったようなイメチェンギャップ攻撃の破壊力ですよ。
そういった一連の描写のなかで「積極的で五月蠅いロリツインテール亜美ちゃん」が「積極的なのは変わらないけど、実は意外にお淑やかでなんだか優しい亜美ちゃん」へと変わっていくのが嬉しいよぅ。

んでそこから一連の山場的なシナリオに入るわけだが、ここらへんの「流れの良さ」も相変わらず上手かった。
基本的な伏線としては、亜美ちゃんは実は「水泳部一番の実力者」だけど、めんどくさがり屋なのか、それともなにかの理由によって真面目に水泳に打ち込まず遊んでるーって言うのがあり、
そこでさほちゃんが怪我をして、じゃあ今度の水泳大会はどーするよ?って話になってくる。
まぁもちろんそこで亜美ちゃんが出ることになるんだけど、ここらへんの流れも良くてねぇ。さほちゃんの怪我は亜美ちゃんにも多少は原因があるので、
多少の責任は感じているものの、やっぱなんか出たくねー気分の亜美ちゃんだが、水泳部の連中に「上手いこと乗せられて」こうなったら私が出てヤローじゃねぇの!ちょろ乗せられっぷりと、
大会に向けて練習が進むにつれて、ついに亜美ちゃんが水泳に真剣に向き合わない衝撃の真実が明らかにされる、その真実の「絶妙な笑劇っぷり」がなかなか素晴らしい。
いやぁ、僕もいちおう小学校から中学にかけて水泳やっていて「アレ」が苦手だったので、個人的にも結構共感出来る。僕の場合は「アレ」の時にハナに水が入るのを克服するが大変でねー。
それに、一応はまぁ大会に向けて頑張りましょう展開になりながらも、


<亜美>
「う……だって、大変なことよりも楽しいことの方がいいし……」
「咲臣がいなかったら、ここまで頑張らなかったもん。あたし、咲臣にいいかっこしたかったから……」


とあくまで「水泳大会頑張るゾー」話よりも「本当は主人公と楽しいことをいっぱいしたい!」が優先されていることを、日常描写のなかでちゃんと示しているところが良いですね。
これでもし「よーし、水泳大会超頑張るぞー」とか「努力するのって楽しいな!」みたいな話になったら、それはもう亜美ちゃんのキャラ崩壊じゃないっすか。
いや別にその手の「キラキラ話」がワリぃって話じゃ無いんですけど「お話としてのキラキラ」と「そのキャラクターとしてのキラキラ」が「お話キラキラ」のほうに回収されちゃうのが悪くて、
亜美ちゃんのキラキラは、あくまで主人公や水泳部といっしょに一緒にプールでバカやりながら遊んだりする「水と戯れるようなキラキラ」なわけで、それをスポ根キラキラに回収しちゃ駄目なんですよ!

そう言う意味で「水と弾けるいちゃラブADV」という今作のジャンル名は、まさに亜美ちゃんシナリオに相応しいっすね。
明るい室内灯に照らされた温水プールで、特に大会を目指すわけでも無く、ストイックにスポーツに打ち込むわけでも無くて、
ただ泳いだり水球ゲームをしたり更衣室でちょっとエッチなことをしたりする、水の飛沫にキラキラが煌めいては泡となって消えていく毎日を物語るシナリオ。
別にスポ婚ものには全く興味は無いんだけど、ただヒロインと一緒にエロイ事も含めて一緒に軽く汗を流すような時間に浸りたいという人にはお奨めの作品でしょう。


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「3」幼馴染みと実妹、どこで差がついたのか、信頼度、環境の違い


となんだか「2」の時点でもう既にこの作品のオチがついちゃいましたけど、まだまだ「みお」と「巴」のルートが残っているじゃあーりませんかぁ。
ただ、この二つのルートは、他のルートとちょい違っていまして、まずこの二つのルートは「個別は入ってすぐ告白」ではないし、
この二つにあからさまに関連したテーマを持っている。別に別ゲーレベルでは無いんですけど、他とは様態が異なるルートではあるとは言えましょう。
ただ、上の三つのルートと同じように、その作品のテーマ性を「上手く利用しているものと、完全に裏目に出ているもの」があるという点では同じでしてねぇ……

まぁ既にデーター欄の「シナリオ評価」でそこらへんのオチはネタバレしているわけで「みお」ちゃんは「C評価」というアレ評価なんですが、
共通ルートと個別ルートの始まりまではすっごく良かったんですよねー。共通ルートにおいては、ただひとり主人公を何気にサポートしてくれる良キャラだったし、
主人公もみおちゃんも幼馴染み同士ちゃんと相手を信頼して感謝し合っている割には「あまりベタベタしないよう」な、自然な長年の付き合いをさり気なく描写していたところが良かった。
個別ルートに入ってもその雰囲気はあまり変わらず、みおちゃんの方から多少はアプローチをかけてくるものの、主人公もそれに少しずつ答えていくような感じで、
やった-、これで自分が望んでいた「幼馴染みとのまったり日常イチャラブシナリオがやっと読める!」とぬか喜びがこのシナリオのピークでしたよ……
こっから先の展開については、まぁ萌えゲ中級者以上の人には……

>「幼馴染みだからと言う理由で告白もせずにセックスして、さらにはお試し恋人期間だからー展開」

になると書けば、あとの惨状はだいたい予想出来ると思うんで、僕としても怒りをぶり返すような真似はあまりしたくはないんですが、後生の幼馴染みオタの為にこういう糞シナリオはここで撲殺せねばなるまい……
まぁ基本的にこっから先は描写の密度が低い「付き合ったらセックスやりまくりオンリー展開」というのはあるんですけど、そこがある意味では「シナリオ上の要請」と絡んでいるわけですね。
この状態では、主人公とみおちゃんは「お試し期間恋人」だから、表だってイチャラブしないどころか「お試し期間」以前よりも日常描写は少なめで、ただ「お試し恋人だからセックスはおk」で、
「きほんセックスしかしない」ような関係になるわけっすよ。ようは「(お試し)恋人になったが故に、逆に今までよりも上手く行かなくなる」っていうギクシャク感と、
「きほんセックスしかしない」から、なんだか刹那的な関係だなーっていうのを、読者に感じさせようとしてはいるわけです。それはまぁ成功してる。単にそういう不快感を与えればいいだけなんだから。

んで、そうした刹那セックス期間を経て、シリアス展開になるんですけど、ネタはみおちゃんが亜美と主人公が何時ものようにじゃれ合っているところをみて嫉妬を覚えるものの、
みおはそれをうまく表現できずに、ただただイライラが高まって、最後は事故ってどーこーみたいな話ですね。んでオチとしては「幼馴染みで信頼しあってるからと言って好きって言わないのはイクナイですね」話で、
そして「俺たちの真のイチャラブはこれからだ!」でエンドマークであり、つまりこのシナリオはイチャラブシナリオを名乗っているものの、全くそうではなかったというお話でありました……


これも最近はかなり廃れ気味ではあるとは言え、そして僕としては、このような主題が「幼馴染み属性の衰退」になっているんじゃ無いかと思うところはあるんですけど、
一応これも「幼馴染みのお約束的な主題」ではある。つまり「お互いに幼馴染みとして信頼し合って感謝し合っているような身近な存在だからこそ、恋人になろうとするとギクシャクする」みたいな話。
いやまぁ、僕としては「この手のシナリオでいいなぁと思ったことは少ない」と一応は「端的にそう言う話好きじゃ無いなぁ」とは告白しておきますけど、
だからといって今回のシナリオはそれでも完成度低すぎで。まず単純に突っ込んでしまえば、

>「幼馴染みで信頼しあってるからと言って好きって言わないのはイクナイですね」

とかゆってるけど、その割にはエッチシーンでは、まぁ他のエロシーンに比べて多少は抑制的であるとしても、お互いに割と「好きスキー」みたいなことは言ってるわけじゃないっすか。
エッチシーンではそういうことをいってるけど、普通の日常シーンでは「ちゃんと好きって言っていないから」どーこーって、いや主人公とヒロインがお互いにヤリマンならそう言う話もわかるが、
なんだか説得力が無いよねぇというか「お互いに好き好きと思い込んでいないのに、エッチではそういう台詞をゆって感じてしまう」って純愛厨の僕からしてみると萎え萎えですわぁ。
さらに言うと、

>「幼馴染みで信頼しあってるからと言って好きって言わないのはイクナイですね」

って、これは主張としてはその通りではあるんだけど、これって「幼馴染みだから」とか、あまり関係ないのよね。いちおう恋人に近いことをやっているんだから、お互いに気持ちを伝えるのは重要でしょ。
そこで「いやいや、二人は幼馴染みだからこそ、何も言わなくてもわかってくれると思ってるから……」みたいなことをこの手のテンプレシナリオは理由としているんだけど、
ハッキリ言って「二人は幼馴染みだからこそ、何も言わなくてもわかり合えている」なんていうのを、本当に「何も言わない」描写で伝えるようなことが出来ているのは「トノイケダイスケ」レベルであって、
普通の作品の幼馴染みは、別にそのような手法が悪いとか良いとかそう言う話は関係なく、恋人以前の描写でも「間接的にではあっても、何かを言って思いを伝えている」わけでしょ。
つまり、あからさまに先のシリアス展開の前の「日常」の幼馴染みの関係性レベルと、そういうシリアス展開の「幼馴染みだからこその困難」の関係生レベルが極端に変わっていて、
これを身も蓋もなく言い換えれば、

>「そういうシリアス展開に入ると、幼馴染みと主人公がいきなりクソ人間に変わってしまう」

ようなところが「幼馴染みだからこその困難」ではなく、単に「この二人って実は単なるクソ人間なんじゃね?」と感じてしまって、それまでの「幼馴染みの絆」なんーてものも破壊されちゃうわけですね。
しかもその「ギクシャクとした感じ」を正面から描いているなら、まぁまだそういうことを書きたいんだなーとはわかるけど、それが「セックス連発シナリオ」で、、
取りあえず身体は満たされているし、ちょっとした軽いイチャラブはやってます描写だけに変わると、いやぁ別にこのふたりはその程度でフツーに満足してるからそれで別にいいんじゃね?死んだ眼モードになってしまう。
もちろん、ライターの狙いとしては「ほら、これ一応イチャラブゲーですから、そういう軽めのイチャラブ描写も『部分的に』に必要ですし、そこから真のイチャラブには辿り着いていない不満で引っ張れるし……」
って魂胆だとは思うんですけど、それは「幼馴染みという絆」を完全に破壊することによって得られていることを忘れていると思うんですよねぇ。
「幼馴染みの信頼の上にアグラをかいてはいけない」というのが、これらのシナリオの特徴なんだけど、そのようにアグラを掻いてる主人公と幼馴染みヒロインを見ちゃうと、そもそも幼馴染みシナリオの魅力すら無くなってしまう。


相対するもう一方の「巴」ルートは、まさしく実妹ちゃんが主人公のヒザの上でアグラを掻きながらにゅあにゃあ甘えまくるとシナリオと言ってもイイだろう。
巴ちゃん、共通ルートではわりと出番が薄めで、キャラ紹介にあるような、

>「その実かなり超絶なブラコンで、誰もいないところでは兄への想いを暴走させることもしばしば」

みたいな描写も少ないし、他ヒロインルートでも、ほんの少ししかそういうところは見せない。基本的にはそこまでは毒舌では無いけれども、まぁ良いツッコミ役と言った感じではある。
だが個別ルートに入ったら先の紹介にあるように、

>「隠された根の奥底はかなりの甘えん坊」

になるかと言えば、半分はイエスだし半分はノーではある。半分イエスというのは「その甘えん坊な自分を告白するという」と意味であり、もう半分ノーは「甘えキャラ化と言うよりも素直になるだけ」で、
もちろん共通ルートよりも甘えるようなところは増えるんだけども、共通ルートの性格がガラって変わるというよりも、今までのお兄ちゃん弄りや突っ込みにより甘い親密さが加わるようになる感じだ。
そこらへんは巴ちゃんのボイスを聞けばよくわかる。
このシナリオは「アニキ」の呼び名から「お兄ちゃん」へと呼び名が変わるんだけども、実のところ共通でも個別でも「アニキ!」に込められた、
巴ちゃんの主人公に対するいつもの声音は「お兄ちゃん」になっても「甘える」シーン以外はあまり変わりはないのだ。
始めてこの作品をやる実妹スキーの皆さんは、是非システムボイスを「巴ちゃん」に設定してほしい。特にバッグログ決定時の「頑張れーアニキー」に籠められたさり気ない愛おしさは何度聴いても頑張るしか無い。


さて、ストーリー展開で言えば、このルートは「みお」と同じように「個別ルートは入ってすぐ告白」ではなく、しばらく共通ルートのような日々が巴との日々を中心に語られて、
少しずつ丸くなってきたなぁと思いきや、主人公が他のヒロインにチヤホヤされているのをみた巴ちゃんがブチ切れするものの、
アニキに優しくされて、やっと自分の思いを話して「アニキがチヤホヤされるのをみているとムカつく」を告白すると同時に、ついに自分の思いをまでも告白してしまう。
だけど主人公は巴ちゃんも自ら認めるように「いきなりそんな話をされても戸惑う」とは正直に言いながらも、でも「妹に嫌われていなかったのは嬉しかった」と言いながらも、
ある意味ふつうの告白以上に決定的な言葉――

<咲臣>
「俺は、巴を大切に思ってる」
「他の誰よりも大切だと思っているから」

と言い切ってしまって、ここから怒濤の「実妹ヒロインでしかあり得ない恋愛告白前のイチャラブ描写」始まりマジマリー、だってもう次の日の朝からしてこんな感じだものこいつら。


>と言うか、改めてみると我が妹ながらかわいいなこいつ。
<巴>
「どうしたのよ? わたしの顔じっと見て」
「ふふっ、別に言ってもいいのよ? 俺の妹はかわいいって」
<咲臣>
「……ああそうだよ、巴はかわいい」
「お前、自分からかわいいって言うように仕向けておいて照れてる……のか?」


とは言っても、これはイキなり「デレ始めた」わけではなくて、今までも「どうしたのよ?わたしの顔じと見て」くらいのことはいっていたし、
別にそう言う台詞は作中にはないけどまぁだいたい「あーっ、アニキったら、朝っぱから妹によくじょーしてる。このロリ変態にぃにぃー♪」くらいのことはゆってはいただろう。
そこが「ふふっ」と、お兄ちゃんの自分に対する視線を「ほんの少しは素直に喜び」ながらも、基本的には今までよりも甘めモードではありながら「アニキをからかうような台詞」を言いながらも、
そこでアニキにマジレスされてしまうと、滅茶苦茶に照れてしまい、さらにはその照れデレのあとに、こんな反応を返されたら

<巴>
「わたし……かわいいとか言われたら勘違いしちゃうし」
かと思えば、涙目になる巴だ。
<咲臣>
「いや、その気がない……ってことはない、けれどさ」


この巴ちゃんの反応を見て何にも感じないエロゲオタは「自称脳内お兄ちゃん」失格ですよね。今から自分のDNAを何とか細胞分裂させて義妹製作所に励むべし!
実のところ、上の引用したシーン台詞で、この部分の良さは殆ど語られているので、僕が不細工な解説をするのも野暮の極みではあるんだけども、
このシナリオ部分は「既に自分の想いを告白している巴ちゃん」と「巴ちゃんの告白を真剣に受け止めて(そう断言してるわけじゃないが)「家族」として誰よりも大切」と答えている主人公との、
殆ど全てに近い想いがお互いに言葉を交わしながらも、異性としての恋愛感情は最後まで登り切れずに、だけれどもその家族愛としての親密な日常が異性愛への接近を不可避的に運命づけていくような、
可愛い妹を家族として充分に可愛がることで、その異性としての性的欲望がさらにお互いに高まっていく他は無くなってしまうような、兄妹の自然な家族愛感情と恋愛感情を同時に描いていくわけっすよ。


<咲臣>
「悪い、今のはなし。俺は……やっぱり巴が他の誰かと付き合うの、嫌みたいだ」
<巴>
「あ……えっと、その……あぅ」
「じゃあ……少しは、わたしの気持ちがわかった?」
「……わたしも、ごめんね。こないださ、誰かと付き合っちゃば、なんて言って」
「今はそんな風に思ってないからね?わたしも……アニキが他の誰かと付き合っちゃうなんて、嫌だし」


こうやって少しずつお兄ちゃんは自分から外堀を埋めていくわけだし、シナリオ的には巴ちゃんの長年の想いや嫉妬を、主人公が少しずつ自分の巴への思いと嫉妬に転化していくような構図ではあるんだが、
このシナリオでいちばんよく描けていてるのは、上のような「兄妹だからこそ話せる素直な言葉のやり取り」だろう。もちろん、上のような台詞を言い合える仲は「もう既に普通の兄妹じゃない」とは言える。ただし、、
このようにお互いの醜く弱っちぃ感情を、しかもこの時点では「まだ恋人では無い」ので他人を関係性で縛ることが無理な状態なのに、こういうことを照れながらも言い合えて、変にコジれる前に仲直りを超えてそれ以上に、
お互いの素直な想いを打ち明けあえば打ち明けるほどに心と身体が自然に近づいていくようなイチャラブ空間を見事に描いてる。ただ単に「イチャラブシーン」を描けば良いイチャラブゲーってわけではないのだ。

さらにこのシナリオの美点を語れば「1日の描写のなかに必要な要素を全て投入して、長い一日の積み重ねで物語を進める」という点だろう。全てのシーンがそうだと言うわけでは無いが、基本的には

>「○日(その中で物語をわりと進める)→(時間が進む)→〇日(その中で物語をりと進める)→○日」

と言ったような感じで概ね物語を進めている。「それって他の作品もシナリオも基本そうじゃん?」と言われるかもしれないが、相対的な意味で「一日の描写が他より長く、日付変更が他シナリオよりも少ない」と言うことだ。
これの何が良いかと言えば、日常系のイチャラブゲースキーの皆さんには説明不要かと思われるが、いちおう説明しておくと、まず一般論的なレベルでは「物語進行以外の日常シーンが増えるので日常描写に厚みが出る」ということ。
「物語進行に必要なシーンだけ描く」場合には、その作者の目的に従って、好きな一日の好きな時刻にシーン指定して「その物語進行描写」だけ描けば良いが、
「一日をきっちり描いてその中で物語進行をする」だと、むろん作者の目的はきほん「物語進行にあるという点」は変わらないわけだけど、その物語進行は「一日という時間にうすく引き延ばされる」ために、
物語進行イベントが「その場のその時のそのシーン」だけで起こっているわけではなくて、キャラクターの日常の中に自然に溶け込んでいるようには思わせるわけだ(もちろん基本描き方次第ではあるけれども)。

んでその一般論を押さえた上でこの作品のその描写の上手さを言えば、その「一日を長く引き延ばす」構成と「巴ちゃんに視点変化」を上手く混ぜ合わせて、
ああもう夜だから今日は終わったなぁと思ったら、そこでイキナリ巴ちゃんに視点変更して、そこから意外に物語がひょんな感じで続いてしまうような「まだ終わらない一日」の面白さだろう。
もちろん、このような手法は目聡いエロゲユーザーの方にはお察し頂けるように「エロ」ともの凄い相性が良い。一日が終わるのは夜であり、だけどその夜が終わらないといったらエロしかないじゃないかっ!
そして、もちろんこれは先の物語的シチュ「巴は主人公に異性愛を告白してるけど、主人公はまだそれを受け容れていない」にもの凄く関係しているわけだ。


<巴>
「……そ、そうなんだ。お兄ちゃんは、わたしと一緒に寝ると何かあっちゃうんだ?」
<咲臣>
「……ごめんな、駄目な兄で」
<巴>
「ふーん、そうなんだ……へー……」
「お兄ちゃんの、えっち」


と、この場はお兄ちゃんの先制自爆で巴ちゃんは攻撃のチャンスを失うものの……まぁこっから先は流石にネタバレして楽しみを奪うのはアレなので、妹に夜這いをされたい人はそれ以上の妹快楽が待っていると保証しつつも、
この手法はシリアスシーンにも多大な説得力を与えているのも指摘しておこう。もう以上のような引用台詞がさんざん吐かれている状態で、もう告白シーンのドキドキなんてあり得ないと思われるかもしれないが、
それでもこのシナリオの告白シーンまでの時間は妙に切なく、胸に迫るモノがある。
もうお互いの気持ちは半ばわかっているからこそ、お互いの気持ちがまだまだわかりえないような、告白前の焦れったい時間の重み。
お互いの視点でお互いの気持ちはもう既にわかっているにも関わらず、そのお互いの視点や感情がわかってしまうからこそ、ユーザーとしてはいち早く彼らをその苦悩から解き放ってあげたくなる。
こうした全ての御膳立てが揃っているからこそ「告白して即エッチ」は本当に素晴らしいエロシーンになるわけだ。
エロゲ業界の悪い癖でちょっとユーザーが「告白して即エッチは駄目だよねー」ってなると、一斉にそのようなシーンを避ける風潮があるが、このシーンはまさに「告白して即エッチ」が、
こういうシナリオにおいてはもの凄い破壊力を持ちうることを余すところなく立証している。お互いに愛からエロから性欲まで溢れた状態でベットに流れ込まないとしたら、そちらの方が真善美に反しているのだから。


さて、ここまでは「告白(というかまぁH)前」のイチャラブ描写に関して語ってみたが、もちろん、このシナリオには告白後のイチャラブもたんまり溢れている……だが、
これについてこれ以上詳細に語るのは、いくらネタバレ全開レビューとはいえ、全国の未プレイお兄ちゃんの楽しみを奪うことになるので、抑制することにしよう。
このシナリオがそうしたイチャラブシーンにおいて、もの凄い破壊力を持っていることは、上の「告白前のイチャラブ評価」でその片鱗は充分に示したつもりだからだ。
ここまで「エッチ」という関係性だけを抜かして、さらにそのうえで家族の妹として可愛がっているうちに、性的な感情が自然に芽生えているようなイチャラブ描写が上手く描ければ、
そこに「エッチ」という関係性がプラスされた、普通に仲が良いどころかまるで長年連れ添った夫婦のように自然な気軽な日常の中で、このような至高のエロイチャラブ描写――

<巴>
「お兄ちゃん……頭を優しくなでなでしくれるのは、嬉しいんだけど……」、
「ううん、違くて……あのね、お兄ちゃんに撫でてもらうようになってから、わたしの頭にはスイッチがあることに気付いたの」
<咲臣>
「スイッチ?」
<巴>
「そう、お兄ちゃんが触れるとONになるスイッチ」


が腎虚になるほど展開されることになるとは、リアルだろうが空想だろうが実妹を愛する世界のお兄ちゃんにとっては容易く想像できるだろうし。
なので、あとはその後のシリアス展開とイチャラブの関係性とこのシナリオの弱点について干触れておこう。

まずは弱点から行こうか。僕はこのシナリオに「B+」という比較的高い点数をつけていて、イチャラブ評価は「A-」とこれまた高い点数をつけているが、但し問題なのはそれが何故両方とも「A」には届かないか?ということだ。
大雑把な言い方から始めると、基本的には「シナリオの尺不足」と言う事にはなるだろう。とはいえ、別にこの巴ちゃんシナリオが、他シナリオと比べて「尺自体が短い」のかと言えば、まぁ1割程度は短いとは思うが、
「平均的な尺に達しないから悪い」というのは些か杜撰な話ではある。このシナリオの場合だと、これはエロシーンの数についても、後におなじよう批判をしたいと思うが、

>「あまりにも巴ちゃんの魅力がいっぱいありすぎて、それを描写するには通常のシナリオ枠の尺を超える必要があるのに、通常のシナリオ枠の尺に留めているので、モノ足りなく思えてしまう」

またこれは悪く言えば、このように言い換えることも出来るだろう。

>「頻繁にそのような手法を用いるというわけでは無いが、主人公シャツで主人公を上目遣いエッチ誘惑した、とか自分の可愛い服はあと108着とか、そういう「まだ変身を残してる」的な妄想引っ張りが多い」

もちろん、これは「他作品シナリオ」と比べてどうこうという話になれば、ほか作品シナリオでも似たような手法は同じ程度に使っているので、別にこのシナリオだけがその点で非難されるべきでは無いだろう。
とはいえ、ここまで魅力的な「妹シナリオを書いてしまった場合」には、このような手法はかなり重い罪になる。普通又は少し良い程度のシナリオなら、上のような引っ張りはさして気にはならないが、
こんなに素晴らしい妹キャラにおいては、その「引っ張られた描写そのもの」を是非とも拝みたくなるのは全人類の宿命ではあるまいか。巴ちゃんのお兄ちゃんシャツ誘惑エロがスキップとはISの遺跡破壊に等しい暴挙ではないか。
いや、わりと真面目な話、もちろんこういうのは後でFDを出すとか、そう言う話になってくれるのは、それはそれで良いとしても、まぁ最近はあまり言われなくなったけども、

>「最近のエロゲは長すぎる」

だの

>「水増し描写がうんぬん」


はしたり顔系ユーザーが好んで口に出す「絶対安全玄人批評ワード」だとしても、どうしてその逆があまり言われないのはか謎ではある。確かに作品の欠点として「長すぎる」はあり得るとしても、
それと同じくらい「短すぎる」という話だってあり得るでは無いか。その是非は「その作品がその真価を現すのにそのボリュームが適当ではあるか?」によって判断されるべきではあるので、
1シナリオの長さが、現状のフルプライスエロゲではだいたい300~500KBに「決まっている」というのは、基本的にはおかしな話ではある。もちろんいろいろなコストの問題があるのは僕も理解出来るが、
ユーザーにとっても、メーカーにとっても、第一にくるのは先の「その作品がその作品の真価を現すのにそのボリュームが適当ではあるか?」である「べき」であって、
そこを、「ヒロインはだいたい4人くらいで、1シナリオの長さはこれくらいが普通で……」とかメーカーが決め込んでいたり、ユーザーまでもが、そのようなメーカー事情をしたり顔で容認するからエロゲ業界は駄目なのだ。
単純に「短さが求められるシナリオには水増しは不要」で「長さが求められるシナリオには長さが必要」だという原理論をまず中心に置くべきだと思う。
比較で言えば、この作品の亜美シナリオは「だいたいこれくらいの長さ」で丁度良いと思うけども、巴シナリオはあと「2倍くらいの長さ」が必要であったと僕は思っている。


話を元に戻しながらも、先の論点とほんの少し繋げて先に進めると「シリアス展開」についても、尺の短さというか伏線の弱さからなる解決の弱さは割と否めない。とは言っても別に「グダグダ描写をもっとやれ」と言ってるわけでは無い。
一応この展開とその伏線をざっと紹介しておくならば、まず伏線の方はイチャラブ描写のなかに「お兄ちゃんに欲情しているアカウントはこちらになります」とか基本ギャグめいた感じで、
巴ちゃんが自分たちの関係を世間一般に広めたいという欲望が何気なく語っておき、んで、そこから、巴の友人の紅葉ちゃんが「兄妹同士で付き合ってHもしちゃうなんて間違っています」みたいなことを言い始め、
そのことにショックを受けた巴ちゃんが自分たちの関係に自信を無くしてどーこーである。んで、解決方法としては、お兄ちゃんが巴ちゃんを優しく説得して、
その根拠として「水泳部のみんなは受け容れてくれるかもしれないだろ?」を持ち出すという話で、この点に関しては他の紗枝や亜美ちゃんシナリオの「水泳部の皆がいてよかったね」作品全体雰囲気を持ってくるわけね。


この中で「弱い部分」は基本的には「水泳部の皆は受け容れてくれるかもしれないだろ?」というところだ。
これは別に「水泳部の皆は良い連中には見えない」という端的な印象違いでは無くて、まぁその点では「それなりに良い連中」くらいの描写はちゃんと為されていると思うが、
このシリアス展開の前後どちらでも良いとしても(まぁ前はやりにくいと思うけど)実際に、水泳部の連中がふたりの関係を受け容れるような、巴ちゃんがその中で幸せになれるような描写が弱いので、
いや物語としては基本的に「共同体に受けいられて幸せですね」にはなっているんだけども……


<巴>
どうしよう……すっごく嬉しい。
きゃーって叫びたいくらい、すごい勢いで飛び跳ねたくなるくらい嬉しい
ああもう、狂喜乱舞だよー。
SNSで「お兄ちゃん、妹に欲情なう」って、つぶやきたい。
まあ、SNSやってないけどね。


こういう巴ちゃんが浮かれまくっているような素晴らしい描写はあまりないのがねー。それ以前の展開にはこういう描写がいっぱいあるのに、水泳部との仲間達の描写だとあんま無いのよ。
別にシリアス展開直後にすぐエンディングって話ではないんだけど、実妹問題の解決ネタに「共同体は受け容れているかもしれない」を持ってくる割には、
まぁこれは殆どの実妹シナリオにも共通する話だけど、その実妹と共同体の結びつきが結構弱いのですよ。
基本的には紅葉ちゃんと巴ちゃんの仲良し描写でそこらへんを表現しようとはしているんだが、他シナリオも含めこのふたりはあまり目立たないし、巴ちゃんシナリオだと紅葉影薄いしなぁ。
主人公と巴ちゃんのイチャラブ描写がメインだから、実妹の葛藤ネタで共同体話を持ってきて、その解決も共同体話でどーこーってすると、ほんの少し場違いな感じは出てきてしまう。
もっと学園や水泳部といった共同体の中で、主人公と巴ちゃんが紅葉ちゃんを交えて日常描写を増やして、その中で先にゆった「巴ちゃんのさまざな魅力」を描きながらも、
「巴ちゃんと共同体の関係」をもっと書き込んでいれば、この最後のシリアス展開のお話も説得力が増していたとはおもう。

とはいえ、キモの部分の説得力はちゃんと維持されているのがこのシナリオの良いところだ。この手の近親相姦シリアス展開で一番重要なのは、お兄ちゃん、妹ちゃんのどちらか、また両方でも良いが、

>「お互いに相手を思う気持ちが(あくまでユーザーから見て)失われていないかどうか?」

と言うところだ。これは上でも()と強調したように、そのような感情が客観的な行動や台詞として納得がいくように書かれているかどうか?
言い換えると「お前の為を思っているんだから別れよう」なんていう、そりゃまぁ主人公としては本気でそう考えているのかもしれないけど、妹スキーユーザーからみたら総スカンくらうような真似をしちゃ駄目なのである。
この点からいうと、このシナリオのシリアス展開は実に素晴らしかった。
一方的に巴ちゃんを屁タレさせて、その葛藤を巴ちゃん視点で繊細に描いているので、クソ主人公のクソ屁タレ展開よりも、まず説得力が高いというのはある。
腐れ男の屁タレ内面などには一文の価値もないが、可愛い妹ちゃんの屁タレ内面を前にしては、良いお兄ちゃんならば妹ちゃんをなんとか慰めなければ!とノーブレースお兄ちゃんの義務なのだから。

<巴>
「なんで……来たのよ」
<咲臣>
「妹が困ってるからだよ。他に理由がいるか?」


「みお」シナリオと「巴」シナリオ。どうしてこれほどまでに差がついてしまったのかと言えば、それは「信頼」の差異に集約できるだろう。
「みお」はお互いにお互いを信頼していると思って、だけど実際にはその信頼を全く確かめ合わなかったから、クズな関係に徐々に成り下がったわけだが、
この「巴」と「主人公」はそれ以上に、シナリオ開始当時は「兄妹関係」以上には相手を信頼してはおらず、巴が主人公に告白してからも、まだまだ相手のことがよくわからず、
お互いに想いを告白したあとも、上のような兄妹喧嘩をしている最中ではある。信頼感という意味では、甚だ信頼にかける間柄だといってもいい。
それなのにどうして、主人公は上の台詞を言ったあとに


<咲臣>
「怒っても、かわいいな」


と、もうこの時点で勝利が決まっているような台詞を吐けて、そうして巴ちゃんのほうも、この兄妹喧嘩の果てに、


<巴>
「これからもときどき喧嘩して、それからえっちしようね。お兄ちゃん」


と、今までのシリアス描写が全てイチャラブセックスに変わるような魔法を唱えることが出来るだろうか?


その僕の答えは先にも言ったように「信頼」と言うものだ。ただしその「信頼」は通常におけるその意味とは違っていて、
別に2人は信頼しているから喧嘩を出来るわけでも無いし、最初からお互いを信頼しきっていたわけではないし、さらには上の時点に至ってそれを獲得したわけでは無い。
無前提に「兄妹の無限信頼」みたいなものが存在するのでは全く無いのだ。もちろん、そういう兄妹シナリオも存在するが、少なくとも巴ちゃんと主人公はそうではない。
それでは、このふたりはいったい何を信頼しているのか? このふたりはどうしてここまで不安や苦しみをお互いに抱きしめ合うことが出来るのか?

その答えはそれぞれこのシナリオを読んだ読者の皆さまにお任せしよう。
信頼とはお互いの心を完全に信じ合うことだと思ってる人は、是非この兄妹愛シナリオをプレイすべきだ。
信頼には終わりが無く、実妹との恋愛は昔から歩き続けた旅路のように新たな発見に満ち溢れているのだから。

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☆エロについて

「シナリオ評価」のところでは「パラソルというメーカーに一貫性は薄いとは書いたけど、唯一、一貫性があるとしたら、それは「エロ」と「貧乳」の拘りではあるだろう。
「ひんぬー」については言わずもがなだと思うので「エロ」について述べておくと、第二作目の「でりぱらっ」あたりから、基本は鬱ゲー路線なのに何故か3Pに拘り始めるような、
シナリオ上におけるエロの役割が増し始め、メインヒロインの命ちんエンディングなどは「3P関係」エンドになっていたりする。
ここらへんは「恋妹」や「ゆめこい」においても、多少の変化は有りながらも継承されていて、エクストラシナリオでは普通に3Pが描かれるだけでは無く、
シナリオ上においても、一般的な倫理観を多少揺るがすようなエロ導入を物語に入れたりして、特に「ゆめこい」の芽唯シナリオにおいては、主人公のあまりのロリコンっぷりに、
普通のロリコンシナリオなら許容出来るエロゲオタからも「ベト過ぎてつらい」と文句の声が挙がったりしたものである。

その本題に入るまえに、ここで「エクストラシナリオ」について述べておくと、今現在(2016年 1月初旬)この作品のエクストラシナリオは(ver1,02)まで、
公開が「予定されている」のだが、このメーカーはその点で微妙に信頼が危ういことをここでは指摘しておく。ゆめこいも最後のエキストラだけは出なかったりと、
「その殆どは全部でる」と予想しても良いのだけれども、その「全部がちゃんと出るのか?」という点では些か覚束ないところはある。
一応、この作品において「エクストラシナリオが必要不可欠」なのは、以下に説明するように「巴」くらいであり
まぁそれくらいならは既にエクストラシナリオver1,01が公開され、1,02も「公開予定」のアナウンスがされている以上は、普通に出るとは思うので、そこで点数を下げることはしないけども、
これが出るまでは「多少のリスク」は存在するということは御承知頂きたい。特に「巴」のエクストラシナリオが公開されなかったら僕は死ぬ。


さて、本題に入ると、この作品のエロシーン配分は、上のデーター欄の通りで、多少のバラツキはあるように見えるが、これはエクストラシナリオの有無が大きく、
エクストラを除けば、亜美を除いて本編中のエロシーンは5回である。まぁ今の萌えゲでいえば平均的なところだろう。
んで、先のシナリオ評価のところで説明したように、さほちゃん、亜美、紗枝の3人は個別ですぐにコクって、わりと早くエチシーンに突入するタイプで、
実のところ「みお」もコクってすぐHタイプでは無いが、流され雰囲気でエッチに入って後で酷い目に合うシナリオだと言える。
普通の萌えゲのように「告白するまではHしない」タイプは巴シナリオだけなので、そこらへんは普通の萌えゲとはちょっと違う。

大まかな共通点を言えば、きほん最初のエチは未遂というか「愛撫または素股またはフェラオンリー」系から始まって、2回目から本番エチは始まる。
んで、スク水と私服水着エチは全キャラ全装備済みで、他の衣服についてはキャラによってありなしはあるが、まぁたぶんエクストラで全部補完されるっぽいですね。
エチの内容は全キャラ基本アンパイエチ(フェラ)とかは押さえていて、だけどパイズリとかはひんぬゲーなので紗枝しかありません。ってことで後は各キャラの詳細。


基本的に僕はシナリオがクソだとあまり興奮しないタイプだから、故に「みお」のエロシーンについては「一回も抜けなかった」わけで、
僕としてはあまり語ることは無いし、改めてみても、主人公がクソ化するほどに早漏れ化が進行しているように思え、別にエロシーンそれ自体が優れているとも言い難い。
傾向としては、基本的に「みおちゃん」側から主人公を誘う感じで、ここはイチリゲンガーのロリフェイスながらのエロ誘い表情が決まっていて、なかなかエロくはあります。
CGそれ自体や声優さんの演技は悪くはないので、まぁシナリオ上のあれな展開はさておき、キャラ自体が好きなら抜ける人は大丈夫だとは思う。

逆にシナリオ自体はそれほど評価はできなくても、主人公やヒロインをクソ化ようなものではなく、またシナリオ展開がエロシーン導入に多少は役に立っているのがさほちゃんシナリオではある。
先のシナリオ評価で書いたように、このシナリオはコクったあと「H関係のネタ」でお互いが突然発情してHしたとは思ったら、でもHばかりしているのはイクナイとかヤキモキするお話で、
シナリオのなかではあまりイチャラブ描写みたいのは無く、基本的には真面目ぶっていたり恥ずかしがったりしているんだけど、そういうキャラがHになっていくと少しずつトロ気味になっていくのはアンパイ的にエロいですね。
2回目の本番エッチの時から、さほちゃん割と快感が一定を振り切ると積極的になるなーと思っていたら、3回目Hではブルマー体育着で主人公の上に跨がって、


<沙保里>
「う、うん……ありがとう……あのね……その、言い難いことではあるんだけど……」
「ええと、その……」
「……き、キスしてくれると……その、体調悪いのも治るのかなって……」


とか躊躇いがちに怖ず怖ずと誘いながらも、キスしてちょっと胸を触っただけで感じまくってしまい貪欲モードに入ってしまう沙保里ちゃん可愛い。
これは中の人の演技もいいっすね。個別ルートも共通ルートも含めて、どこか感情を胸に溜め込んでいたりするような溜息が耳に残るんですけど、
これがエッチに入ると、その溜息がしっとりとした艶声になって主人公のアレをおねだりしちゃったりすると、こりゃもう溜まらないわけですよ。

ゲンガーの良さが光るのは、四回目のエチですかねー。
巫女服に着替えた沙保里ちゃんが、髪コキしたあとにバックから貫くわけですが、髪コキしている時のやや躊躇いがちな沙保里ちゃんの表情と、
巫女服からちらりとはだける沙保里ちゃんのひんぬーのコントラストが、髪コキしながら徐々に奉仕愛に目覚めて積極的になっちゃう沙保里ちゃんのムッツリすけべを表現してエロいっすね。
最後のエッチは私服水着での今まで頑張りました御褒美エッチで、ここに来てようやさほちゃんが始めから積極的ならぶらぶエッチになるって流れですな。
シナリオは描写が薄くて基本イマイチですけど、エロに関しては一通りの流れはよくかけているんで、声優さんが好きな人ならやった方が良いシナリオだとは思います。


んで次の紗枝はエクストラ込みで6回のエチですけど、どちらかといえば、沙保里とは反対とまでは言わないものの、紗枝が誘い気品受けするような感じですかねー
一回目のスク水愛撫エッチが未遂に終わった後に、主人公がエロの快楽を知ってしまい腑抜け状態になって、これじゃあイカンイカンと自虐っているところへ……、

<紗枝>
「咲臣くんと……エッチなことを、してみたいって思う私は、はしたないでしょうか?」
「では、わたしからのお願いです。本当は女のこの方からこんなに風にお願いするのは、なかなか勇気がいるんですよ?」
「昨日の続きを……しましょう? 今、この教室で」
「愛していますから……咲臣くん……」

と籠絡台詞を囁いていきなりズボンのチャックをあけておちんぽキスしちゃう紗枝さんは本当に上品なフェラ音を出してくれてエロイっすね。
んで、お次のエロは、これは体験版にも収録されていた「メイドコスプレH」で、個人的にはこれが一番エロくてよかった。
最後まで「ご主人様」とか「咲臣さま」のコスプレ関係を貫き通してくれるのも最高なんですけど、
このひんぬーだらけのヒロイン勢では、たかがBカップの紗枝も巨乳に見えるわけで、その「相対的巨乳」感を際だたせるメイドパイズリとか最高でのぅ。
もちろん巨乳とはいっても、それはあくまで「相対的」なものだから、均整のとれたボディラインから「ほんの少しだけおっぱい」が強調されるような感じと、
最近は「ごちうさ」にはまっているらしい「みけおう」氏のお得意の童顔ロリフェイスの融合が、まさしく萌えロリキャラのエロさを際だたせるってわけ。

4回目のエロはお外で私服水着でのお外エロで、5回目のエチははシリアス展開に入って、ここから一緒に頑張ってクソBBA親を見直そうZE!と、
主人公が弱気になっている紗枝をここは男前気味に励ましたら、感動した紗枝さんが今度はネグリジェ姿を主人公にプレゼントしてくれて実に有り難いですね。
んで、6回目のエクストラエチは、本編終了後のアフター的なエロで、すっかり主人公のエロのツボを心得た紗枝さんが、ほんの少しだけエロいお嬢さまドレスを着て……

<紗枝>
「それにして咲臣くん、一体わたしをこんなところに連れ込んで何をするつもりですか?」
<咲臣>
「それはもちろん……わかってるでしょ?」
俺を誘惑するように薄く歪んだ口元、それが何よりの証拠だ。
<紗枝>
「そうは言われましても……咲臣くんがちゃんと言ってくださらないとわかりませんよ?」
【中略】
<紗枝>
「いいですよ。ここで、エッチ、しちゃいましょ……♪」
そう言って妖艶に微笑む。
<紗枝>
「ふふ。これも全部咲臣くんのせいなんですから、ちゃんと責任取ってくださいね」

とか言葉巧みに主人公を誘惑しちゃうような、このお嬢さまドレスの半脱ぎ誘惑エロCGも良かったですねー。
「みけおう」さんは今年の後半「フォリーンラブ」で、かなり良いエロCGを描いていたようですが、残念ながら誘惑キャラは別の人が担当していたようで、
軽い微笑みを浮かべて目元を少しだけ潤わせて、小さな胸元を柔らかく突きだし太ももの小さな黒エロ下着を見せつける、まさに萌えお嬢さまロリの絶妙な誘惑エロはこの作品でしか味わえない!
さらに風景さんボイスも最高でしてのぅ。

<紗枝>
「も、もうっ……そんなこと、ふぁぁっ……、言わないでもわかるでしょう……? ん、ぁぁ……っ!」
喘ぎ声を漏らしながら、優しい笑みで答える。
<咲臣>
「紗枝の口から直接聞きたいんだけど、ダメかな?」
<紗枝>
「んっ、はぁ……そんな、の……ダメなわけ、ないじゃないですかぁっ♪」
<紗枝>
「それは……咲臣くんのことが、大好きだからですよっ」

こういう一連の台詞の流れの中での「基本エッチで感じながらも、どこか主人公をわざとらしく軽く誘っているような媚態ボイス」が本当にエロくて溜まらない。
特に「そんな、の……ダメなわけ、ないじゃないですかぁっ♪」の部分で、わざと少し焦らするようにトーンを落として、ないじゃですかぁっ♪」でもの凄くエロっぽい嬌声を奏でるあたりで何度致したことか。
こういうエロ誘惑台詞は、あくまで主人公のHに感じながらも、同時に何処か冷静に主人公を嵌めようとしているような二重性を維持しないといけなくて、
えっちにアンアン♪ノリノリで本気で喘ぎながらも、その喘ぎ声の中にすらちょっとした作為を感じさせ次の誘惑台詞の伏線を張る必要があるんですけど、今回の風景さんボイスは、
スクラバの更紗さんのCV秋野花さんに匹敵するほどエロかったですよ。今年も是非是非頑張って頂きたいっす。


お次の亜美ちゃんは、こちらも主人公に積極的にアピールするような攻めタイプかと思いきや、実は意外に恥ずかしがり屋のウブですぐ蕩けモードに入ってらぶ感じちゃうタイプっすね。
一回目のエチこそブルマ姿で主人公を素股責めしようとするも、だんだん主人公のおちんぽに興味津々になってきて、初めての快感をすぐに受け容れてしまって、あまあまモードで感じてしまう。
その未遂エチから昼休みを挟んで、今度はさっきいきなりエロ過ぎて主人公に痛みを与えなかっただろうか?と勘違い反省したのち……

<亜美>
「これ……の、喉の奥まで入るかな……ん……んむ」
<亜美>
「でも、頑張っておちんちんが溶けちゃうくらい、舐めてあげるね」
<咲臣>
「溶けたら困るなー」
<亜美>」
「それくらいって意味よー。ん、れろぉぉぉ」
<亜美>」
「こんなにあたしのヨダレでぬらぬら光って……なんだかすごくエッチだ」


と優しくフェラを学ぼうとするものの、そのおちんぽを優しく労るような健気さがやっぱしエロ熱中に繋がってしまい、
自分の思わぬエロさに恥ずかしながらも、その羞恥心がさらに劣情を引き立て一発目のフェラからお口で感じちゃって、そのまま初体験へと向かう亜美ちゃんであった。
この「基本エロっ娘」だけど、その間に「主人公のことをちゃんと労っている」と「エッチに関しては基本知識や経験ゼロ」を挟む基本が出来てるのはいいっすね。
まぁいきなり爆音フェラかましてお口で感じるのもそれはそれでおkなんですが、
エロの知識がゼロで、そして純粋に主人公の身体を思っているからこそ初めてなのに真剣にフェラしちゃうから身体も感じちゃうっていうイノセンスエロも最高じゃないですか。
このフェラCGもすごく良くて、フェラCGとフェラ表情アップの2枚のCGがあるんですが、特に素晴らしいのがフェラ表情アップですね。
キューテクルな金髪ツインテロリ人形に無理矢理ちんぽを突っ込ませながらも、ぼうっとした快感に目を蕩けさせながらアレをくわえてるような、このレイプ目ギリギリの萌え蕩け表情はまさにゆき恵さんの独壇場っすよ。

そこからプールでのスク水エチを挟んで、お次はゴスロリ服Hとなるわけですが、これも雰囲気のもって行き方がすごく上手いのですよ。
始めてのちゃんとしたデートってことで、亜美ちゃんはゴスロリファッションに身を固めるんですけど、このゴスロリ服が本当に主人公が赤の他人だと認識しても無理はないような、
その「別人感」がなかなかにすごい。そこからちゃんと一枚絵を使って、普通の恋人らしいデートを堪能したあと、自然な流れで亜美ちゃんの家に行って良い雰囲気のまま……

<亜美>
「だって、咲臣が嬉しそうにしてるから……そんなにワクワクしてる顔見たら、感じちゃうよ……」
<亜美>
「で、でも、恥ずかしいから、あまり見ないで……ね?」


とか、ここで今までの流され雰囲気でのエッチではなくて、ちゃんとした手順を踏んで恋人同士のあまいエッチを最初から最後まで書くわけですよ。
エロ7回とかエロ多めの萌えゲシナリオでも、こういうエロと恋人描写の緩急を入れるか入れないで随分シナリオとエロシーンの印象は変わってくるわけですね。
イチャラブエロゲっていうのは、単にエロシーンを入れれば良いって思っているメーカーさんはここらへんをちゃんと勉強して欲しいものでありますなぁ。

んで五回目のエチは制服姿の校内スクールセックス、6回目のエッチは大会が終わっての御褒美スク水エッチ2回目でどんだけ水着H好きやねんって突っ込んでたら、
最後のエチはエンディングの絶妙な私服水着ネタバレから繋がるエッチが、個人的には亜美ちゃんHではこれが一番エロかったですね。
まずこれも素晴らしいエロCGで、立ち弁スタイルで主人公と亜美ちゃんがお互いに身体を密接に胸と胸を擦り合わせるように抱き合い挿入していて、
アソコから少しだけふともものあたりに落とした小さなおパンツや、健康的な全裸ロリボディラインを描きつつも、小さな胸を水着の膨らみで強調するロリフェチ感も溜まらないんですが、
特にエロシーン展開と合っていて素晴らしいなと思ったのは、時々挿入される画面を半分に割って、左半分はヒロインの上半身、そしてもう半分はアソコにアレが挿入されてる「小股CG」差分絵ですね。

あ、いや基本的に僕はこういう差分「局所アップ絵」って基本好きでは無いし、これだって「差分アップ絵の演出禁止」のシス設定はあった方が良いだろうとは前提した上で、
この差分演出は後に続く巴ちゃんのそれと同様に実に効果的でエロかった。まず差分アップ絵が比較的に邪魔にならない(ヒロインの上半身はきちんと映ってる)っていうのも大きいのですが……

<亜美>
「もお……でも、あたしも気持ち良いから、もっとおしり揉んで良いよ」
<咲臣>
「うん、それは遠慮なく……でも、それよりもやっぱり、こっちだよな」
<亜美>
「ひうっ!? あっ、んっ、いきなりそんな深くまでぇっ……咲臣の先っぽ、おへその下まで来てるよぉ……」
<咲臣>
「こうして、ちゃんと亜美を支えて上げるから」
<亜美>
「も、もうっ……そんな杭打たれちゃったら、もう離れられないよぉ」


一連の台詞だと「もっとおしり」から「こっちだよな」までが基本の全体一枚絵で、「ひぅ!」から先の「小股挿入」差分が挿入されて、
ようは「おしりを揉みながら浅く入れている」エロ行為から「さらに深く突っ込む」エロ行為への移行を差分絵で表現しているんですけど、
これはロリヒロインだからこそこの差分絵が輝くんですよね。まずロリヒロインを主人公のアレの杭で全体重を支えているような、
お人形さんみたいな小さな身体を自由に突っ込んでいるような感じがじつに良い。さらにはこれは「陰部アップ」ではなくて、
あくまで「小さな小股が一生懸命アレを銜えている」ような表現がロリのエロさをよくわかっていて、僕らが求めているのはあくまで
「グロイ女性器」ではなくて、小さな幼女天使のつるんつるんの割れ目に吸い込まれていくような小股表現なんですよ! 断面図表現とは似ているようで180度違うんだからね!

さらにはコイツも声優さんの演技が素晴らしい。「春乃いろは」さんは知る人ぞ知る声優さんで、パラソル作品だと「菜の花」の花梨とか、
ランプだと「世界世界」の美紀とか、基本的には悪友系ヒロインを巧みに演じており、この手のヒロインはどんなに達者に演じても、あまり評価されない感じではあるんですが、
ただゆめこいの「ミイ」という、ヒロインの使い魔ネコちゃんの演技が、もの凄くこの「小生意気なコネコちゃん獣姦してぇ」って言う具合の素晴らしい高音ロリボイスをしていて、
エクストラエッチのエロ演技も雪梨さおり嬢に引けを取らぬほどの出来だったので、いつかメインでロリヒロインをやってくれたらなぁ……という希望がまさに今作叶ったわけですよ!淫夢はいつか叶うんだね!

ただ、最初は弱点を申し上げておくと、まぁこれ別にちゃんとしたフェラ音出せないわけでは無くて、演技方法で敢えてそうやっているだけだとは思うんですが、
一番最初に言及したフェラシーンで、たぶん「初めてのフェラ」ってことを意識して抑え目のフェラ音を出しているんだけど、これなー、最初はそう言う感じで良いんだけども、
しかしテキスト的には途中から亜美ちゃんは「お口で感じているわけで」そこでバキュームフェラ汁!とまでは言わなくても、もっとチュッチュ音を強調するように、
トロトロ感じちゃうボイスのスローな感じはそのままで、だけどフェラ音は少し必至に吸い付いてるようなコントラストをつけた方が良かった思う。別にシーン全体が拙い御奉仕フェラなら今回の演技でも良かったんだけど。

とはいえ、それ以外のエロ演技は実に素晴らしかった。基本的に普段は、まぁわかりやすい比較で言えば「青葉りんごさん」的な高音金髪ロリボイスで、
さらにはエッチでその高音がふにゃふにゃにゅあん♪と蕩けちゃうようなところも基本的にりんごさんに近いんだけども、春乃さんはそのコントラストに丸みがあって柔らかいのよね。
つまり、りんごさんは喘ぎ声をきゃーきゃ高音出すときは耳に突き刺すような高音を上げるし、にゃぁ~♪って蕩けるときはぐちょぐちょに柔らかくなって、その激しいギャップがエロいんだけども、
春乃さんはきゃーきゃー高音の喘ぎ声を出すときも、出だしの音こそ結構耳にクルが、瞬時に音を少しさげていくので、連続で高音の喘ぎ声を出すようなエロテキストでも、
激しい速度でピストンくらって感じまくっているようなきゃんきゃん高音はそのままに、だけどあくまでヒロインの声の暖かさを失わせないので、激しいセックスが野獣セックスみたいにならないのが良いっすね。

<亜美>
「さ、咲臣が、変なことばっかり言うからぁ……おまんこの中、とろとろになっちゃってる……
<亜美>
「きゅんきゅんが止まらないのぉ……咲臣のおちんちん、さっきからもう勝手に絡みついて……」


みたいな実況系淫語も実に表情が的確で素晴らしかった。このエチシーンの基本的な流れは、
「外でのエッチに半ば躊躇いつつも、お外でのエッチと、杭を打たれるような子宮エッチの初めての快感に流され感じていく」っていうエロシナリオなんですが、
この「きゅんきゅんが止まらないのぉ……」ってところの半分泣き混じりで半分快感を堪能しているようなボイスも実によくてのう。
この手の羞恥告白淫語系を金髪ロリ高音ボイスでやる場合、テンポを下げてじっくりねちっこくやると、高速ピストンのテンポ感が出ないし、かといってテンポを重視すると野獣死すべし系の断末魔になっちまって、
そのどちらも苦手な僕としては結構鬼門だったんですが、この春乃さんのエロ演技は、始めてエロゲの高音ロリボイスで激しくエッチしたように嵌まることが出来まして、
次に出演なさる「ウィザーズコンプレックス 」の「竜胆 ほのか」役もマジに期待しておりますぜ!


最後は「巴」のエチシーンではあるが……これについて僕としては非常に語りにくい部分がある。まぁエロ評価のところで「B+(エクストラエチが追加されればA-)とあるように、
その理由一つは「エクストラシナリオがまだ追加されていない」なんだけども、あと三つほど語りにくい問題が残っているのですよ。
まず一つ目は「個人的に一番エロいと思っているのが、2回目の巴ちゃんとの初えっちシーン」なんだけど、これについては、上のシナリオ評価で何となく仄めかしていたように、
それまでのシナリオと密接に関連しているうえに、だからこそとても素晴らしいエチシーンなので、どうにもここで「最高の妹初エッチシーンだからお兄ちゃんやって」以上はあまり言いたくない。
んで第二点目は、その他のエチシーンも、これまたそれ以降の「イチャラブ描写シナリオ」と密接な関係があって、これもどうにもあまりネタバレしたくないだ。
特に先ほどの「処女えっち」から微妙にエロ伏線が張られている、妹フェティシズムを強烈に感じさせるようなエロ展開については、是非何の情報も知らないで満喫して欲しいと思っているので。
まぁ何もそれで何も語らないのもアレなので、そこらへんのクリティカルな台詞を引用しておくならば、

<巴>
「妹は、お兄ちゃんの胸板に胸を押し当てて、興奮してたんだよ」
<巴>
「妹は、お兄ちゃんの下半身に股間を密着させて……欲情してんだよぉ……」

この誘惑台詞に少しでも反応したお兄ちゃんなら、この誘惑台詞の破壊力が1000倍にもなる妹シナリオに驚愕するべき。

最後の第三点目。そーなると、僕に語ることが許されているのは「エチにいたるまでのシナリオ展開」ではなくて「エッチシーンそのもののシーンテキスト」と言うことになるんだけど、
これについても通常の意味で「エロい」テキストは少々異なるところはある。それは基本的にはプラスに評価できるけども、ある程度はマイナスと言えるもので、
まずはマイナス部分から説明した方がわかりやすいだろう。
これは先の第一から第二の「シナリオ展開と結びついてるエロ」にも多少は関係していることなんだけども、
まぁネタバレを避けて一般的な物言いをすれば、これらのエチシーンは常に次のエチシーンの伏線や次のエチシーンを期待させるような内容を含んでいて、
これを悪い言い方をすれば「今回はここまで的」的な抑制を感じさせるところがある。まぁ体験版で公開されているもので言えば「今回は素股で」エチとか、
または今回はイリガールなエッチだったけど、次はちゃんとお部屋でえっちしようね展開とかね(まぁそういうイリガールえっちが好きな人は別に問題無いかもしれないが。

むろん、これらのエチシーンそれ自体が悪いと言う話ではないが、ただこれらのエチシーンが連続で続いた場合は「また先延ばしかよ!」と感じさせることも事実であり、
この巴シナリオには「3、5」と、どうもそういうところはある。2回目の初本番で完全ならぶらぶエッチを書いてしまったら、ちょっと違う方向に行きたいのも話はわかるが、
そのうえで、たぶんその「今まで抑えられていた正統派エッチ」がエキストラシナリオで公開されるであろう、最後のネタバレエッチだと考えると、不完全燃焼感はあるんだよなぁ。
「シナリオ進行と密接に関連したエロ」の弱点はここで、常に先のエロへと繋げるようなエロシーン展開にすると、その分だけ一回のエチシーンそのものの充足感は薄くなるところはちょっとあるわけだ。
さきの「シナリオ評価」で言ったような、シナリオ上ではやっているものの、そのエロシーンはスキップとかも含めると、個々のエロシーン自体はかなりよく満足出来ても「全体としての不満足」は否めない。

こういった不満はあるものの、個々のエロシーンは最初の処女喪失エッチは素晴らしいし、他のエロシーンも水準以上にはよく描けている。
処女喪失エッチを除いて、大まかな傾向としては……


<咲臣>
「覚悟しろよ、巴」
<巴>
「覚悟するのはそっちよ、お兄ちゃん」
<中略>
<巴>
「い、言えるもんっ……こんなの、まだまだ……んっ、感じてなんかないもんっ」
<巴>
「お兄ちゃんのおちんちんになんか、絶対に負けないんだからぁっ!」


巴ちゃんが何故か無駄な拗らせツンデレを発揮しちゃうバトルファック展開になりつつも、基本的は巴ちゃんはわりとあっさり感じてしまうんだけど、別にオーク女騎士展開にはならずに


<巴>
「ふふっ……お兄ちゃんを挑発しちゃったからには、簡単には負けられないから……んっ、はぁ……あぁ……」
<巴>
「わたしだって、お兄ちゃんにいっぱい気持ち良くなってもらって……たくさん射精して欲しいもんね」


とさっきまでの無駄なツンデレ拗らせHをしているが故に、こういうHの主導権争いのじゃれ合いのなかから自然な可愛い言葉が出てくるってわけだ。
こういう主導権争い系Hは、一方の立場に劣情挿入する/されるのを好む僕としては、まぁ恋人としてのじゃれ合いエロテキストとして「エロ完全無視」で見る分にはべつにいいけど、
エロ目的で使うぶんには、どうにも使いにくいところはあったんだけども、この巴ちゃんの主導権争いHはその点は大丈夫でしたねー。
主導権争いとは言っても、基本は巴ちゃんが途中で可愛いちょろツンデレをしてくれて、そのうえで最終的には巴ちゃん可愛いお兄ちゃんのエッチ攻撃に巴ちゃんも屈してくれるので、
兄妹のえっちなじゃれ合いと、エッチの「攻め/攻められ」一貫性がわりと自然に融合しているところが良かった。兄妹えっちならではくつろいだ気分と、えっちに必要なお約束展開を同時に満たしている。

声優さんについては、まぁ中の人については他の皆さんによって充分に評価されているので、今さら僕が屋上屋を架すことはないと思うのだが、
さきに引用した誘惑台詞の囁きとか、上に引用したえっち台詞の演技も素晴らしいのだけども、それ以外の「普通の喘ぎ声」もやっぱりよくてのぅ。
まぁ普通のエロ演技解釈ではあるんだけど、この手の通常エロ台詞の破壊力が高いエロテキストの場合は、喘ぎ声は基本的に、「エロ台詞とはちょっと違った方向性」で演じる。
つまり、ヒロインが主人公を意識しているエロ台詞の声音と、快感に溺れて意識が飛んでいるような声音を分けるんだけども……

<巴>
「ほんとは、抑えたいのにっ……どうしても、止められないのっ……あっ、あぁぁぁ!」

こういう「あ、ああっ」って言う時の、その時だけ発するような一瞬の高音がもの凄くエロイのよね。まさにヒロインの快感を直接刺激して最高のレスポンスが返ってきたような一体感が良い。
この中の人はもう既に今年のエロゲでたぶん5本くらいメインの出演が決まっているっぽいけれど、出来れば来年も(攻略可能な)妹ヒロインを是非是非演じて欲しいものではある。

だけど、巴ちゃんのエロシーンで一番素晴らしいところをあげろと言われたら、本末転倒のように思われる人もいるかもしれないが、エッチ後のピロートークをさらに超えて、
エッチしたあとのちょっとした日常会話だろう。ピロートークでそのまま「エッチシーン」が終わって次のシーンに進むのでは無く、エッチの後もまだその一日はちゃんと続いていて、
この兄妹たちはさっきまでの激しい野外セックスなんてなかったかのように以下のようなイチャ喧嘩を繰り広げる。
まるでえっちは終わってもさっきのえっち勝負ははまだ続いていて、どうして二人でいっしょにいることがこんなに楽しいことなのか、それを永遠に応え合わせするかのように。

<巴>
「じゃあ、次は……ごめんなさいのキスして」
<咲臣>
「う、うん……」
目をつむる巴に、心を込めてキスを送る。
<巴>
「んっ……」
巴は、かわいらしく首を傾げてそれを受けてくれた。
<巴>
「あとは、抱っこして寮まで送って」
<咲臣>
「お安い御用だ」
要望通りに巴を抱え上げ、二人分の荷物を背負いながら帰路につく。
小さい巴はまるで羽根のように軽かった
<咲臣>
「とても軽いな、巴は」
<巴>
「当たり前でしょ。誰のためにダイエットしてると思うの?」
<巴>
「はぁ……何でこんなの好きになっちゃったんだろ」
巴は俺に抱かれながら、ぶつぶつと独り言をつぶやいていた。
<巴>
「完っ全に惚れた弱みだよ……ああもう」
下手に口を挟むとぶっ殺されるパターンだと予想し、俺は黙り続ける。
<巴>
「なにか言いなさいよお兄ちゃん」
<咲臣>
「ご、ごめん」
逆だった。
どうやら選択を間違えてしまったらしい。
<咲臣>
「ええと、こんなのでごめんな、巴」
<巴>
「こんなのでもわたしを守ってね……お兄ちゃん」