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sunnydaylifeさんのLaughter Landの長文感想

ユーザー
sunnydaylife
ゲーム
Laughter Land
ブランド
郎猫儿(ランマール)
得点
85
参照数
43

一言コメント

先日アカデミー海外賞を受賞した「✖️✖️領域」という問題作の映画を観ました。創作物一般が好きな人達にとってウンと唸らされるような手法(着眼点)で観る人に強烈な印象を与える作品でした。  その後に思い出したのがこのゲームでした。映画は史実(に近い)、このゲームはファンタジーで題材や重みは違いますが、作品構造は似ている部分があると感じました。荒削りな部分があるゲームですが、そういった面では作品構造等良く練られたゲームだと思います。タイトルに秘められた本当の意味とは…。

長文感想

このゲーム、一定の層の人には刺さるのでないでしょうか。
絵本のような夢に包まれた世界観にまるで絵本から飛び出たような可愛いキャラクター達。
大人になるにつれて失ってしまった、あるいは手放さないといけないものが溢れています。
いわゆるピーターパンシンドローム。
ダメ人間の自分は大人組でなく、楽園組のキャラ達に癒されました。
どのキャラも痛さや切なさがあるけれど、そこが良かった。
成人から遠く離れて、何とか分別ある大人属性を身につけつつある今でも魅惑的な世界だなーと思ってしまった。ずっと楽園にいたくて、なかなか大人組を攻略する意欲が湧かなかった…。

楽園で楽しく毎日を過ごす彼らと対照的に何度も流れるテーマソングの物悲しさが暗示しているものとは、、。
このゲームも映画と同じく、楽園で送る毎日の裏には、おぞましい犠牲も払われていて。
羊の皮を被った狼のようなゲームでした。ダークファンタジーです。
タイトルに込められた意味が恐ろしい…。残酷描写もあります。
プレイヤーの選択によってジェムの色が変わり、結末に影響が出るゲームシステムも面白かった。
自力で攻略はキツイかも。あくまでストーリー重視のゲームでBLはお飾り程度。友情と愛の判別がつかないようなレベルでした。

世界観や設定が練られたゲームですが、ストーリーの本質や面白さに至るまでの日常のシナリオが単調でハンコシナリオなのが勿体なかった。ダラダラ感が気になりました。周回していく内にキャラに愛着を持つようになってから苦にならなくなったかな。

それにしてもクリエーターの由良さんは当時子育て真っ最中でこういうゲームを制作して、
数年後にはラキドをリリースするとは。クリエーターの引き出しの広さはスゴイなーと感心してしまう。

多様性になりつつあるとは言え、同じ人間同士のささやかな「違い」による差別は、人間の世から無くなりません。クリエーターの平和への願いもこの作品から伺えました。

このゲームがリリースした当時キラルは「lament」をリリースしたようで、今から考えると羨ましいような黄金時代だな。

追記 XPのパソコンの調子が悪くなり、windows10で試しましたが、公式にある修正パッチを当てれば無事起動しました。