掴み所がない曖昧な作品とでも言えばいいのか…、クリアして何とも形容し難い感情が胸に渦巻いたのはこれが初めてだった。ラストは特に展開が飛躍していて、終始これぞ電波と呼ぶべきシナリオなのだが、そういった内容とは対照的にテキストからは知性・理性というものを強く感じられる。現実と妄想の境界に翻弄される主人公の様に、自分も最後までこの作品に翻弄されたまま終わってしまった。内容を完全に理解したとは全くもって言えないが、プレイヤーを作品が秘めた狂気に引き込む独特の力強さを持った作品だった。開発が再開された 「末期、少女病」も楽しみである。
タイトルの「ジサツのための101の方法」とは自殺波動を始めとし、個々人が自殺に至る過程・方法は千差万別だという意味で良いのだろうか。色々考えたけどこれぐらいしか思い浮かばなかった。でもいまいちしっくりこない。
似たような電波ゲーでは「雫」を思い浮かべたが(終ノ空、さよ教は未プレイ)、あちらは「毒電波」の意味や設定が作中で説明されているが、本作は「自殺波動」「最終波動」といった作中用語、舞台設定に対して最後まで満足の行く説明がなされずに終わる。その為こちらの方がより電波色の強い作品に仕上がっている。
登場人物は皆、生を実感するための唯一の方法として死というものを捉えている。作中には電波・狂気の要素が多いが、根底にあるのは学生時代に誰もが一度は考えたことがある感情なのではないか。この辺りのテキスト描写は本当に上手い。
ラストは超展開だし電波過ぎるという印象も否めないのだが、何故か高得点を付けてしまう自分にとってなんとも不思議な作品だった。