岩本鮪&こごめさくら作品をクリア。trueエンド最後に『プレイして頂きありがとうございました』のメッセージが表示されたので、岩本鮪&こごめさくらのピーキー作品は本作が最後かと一瞬感傷的になってしまったが違った。6月30日に同じスタッフで「おままごと」なる作品を出すみたい。前作「どれみで始まる教師生活」に近い作品世界による、前作同様に『夜のひつじ』風の甘やかせのある作品。狙いは悪くないと思う。岩本鮪氏の貴重な才能を生かす上ではストーリーもBGMも声優も『夜のひつじ』風にするのは間違っていない。本作が最後じゃなくて良かったとホッとした。むしろ、真価が試されるのは次の作品である。いつまでも先送りにはしていられないよ。
岩本鮪&こごめさくらによるピーキー作品は、前作「どれみで始まる教師生活」から方向転換した感じである。
それは私が好きな方向に変わったのでうれしいはずなのだが、有名同人『夜のひつじ』の作風に近くなってしまっているところが気になる。BGMにしても声優にしても。
一般的にはオマージュで良い話なのだろうが、ピーキー作品は腐っても商業作品である。商業作品が同人作品の作風を意識するのは、プロとしてどうなのかと思わずにいられないのである。
とは言え、それほど『夜のひつじ』がすごいという見方も出来る。
また、岩本鮪(いわもと・まぐろ)氏という貴重な原画家の才能の無駄遣いをさせないという方向性として『夜のひつじ』風にするのはむしろ悪くないのかもしれない。
このあたりの評価は次回作「おままごと」に先送りされているようなので、そちらをプレイしてから改めて感想を述べたいと思う。
細くてはかない系の黒髪ロング薄幸少女が好きな人には、プレイ推奨の本作である。
ヒロインが虐待されていたという設定からは昨今の世情やヒット作の同人作品「奴隷との生活」を思い出さずにはいられないが、本作では母親から受けたであろう具体的な虐待内容や少女をめぐる世界観は最小限しか明かされていない。
むしろ、過去を清算して未来をどう生きるかを、やや近い立場の主人公が自分の境遇と重ね合わせて見据えている作品である。
題名どおり、主人公と少女のふれあいが少しずつ深まっていくところが本作の主題と言えるが、主人公の仕事の話や少女が学校に行く/行かないの話は、もう少し突き詰めても良かったのではないかと思えてしまった、
前作の3,300円から再び2,500円に定価が下がってしまったことが原因なのかもしれないが、簡単に限界が見えてしまうのも面白くないものである。
とは言え『夜のひつじ』風なので声優とBGMは素晴らしい。シナリオは物足りないものの、変な冒険をしていないところがプラス評価にはなっている。
岩本鮪氏&こごめさくら氏によるピーキー作品が本作で最後でないのならば、6月30日の次回作「おままごと」に期待してやまない次第である。