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throughputさんの蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2の長文感想

ユーザー
throughput
ゲーム
蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2
ブランド
sprite
得点
95
参照数
496

一言コメント

何年も待った甲斐があった

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

EXTRA1の発売日が2017年6月なので、もう5年も前になるんですね。時の流れは恐ろしいものです。

そこから、今作発売までの経過というと、
sprite活動休止のビッグニュースが飛び込んだのが2018年。
これは、コンシューマ版の逆移植+Hシーン追加した「蒼の彼方のフォーリズム Perfect Edition」をもってして解散するという
ファンにとってはとてもショッキングな出来事でした。また、その発表とほぼ同時期にEXTRA2は正式に開発中止となり・・・

その後は、HP自体は残っていてもぱっとしない更新頻度がずっと続いていました。

そんな中、sprite再結成のお知らせが出たのが2019年、さらに
EXTRA2の制作が正式に決定したのが2020年6月。この時の「え、あおかなブランド復活??!!」の衝撃と言ったら忘れられません。
その時は公式がアンケートを取っていて、価格が変わってもストーリーを減らさないで欲しいという
アンケートに私も一票投じたのをいまでも覚えています。

その後は何回かの発売延期を経て、晴れて本作EXTRA2が世の中にリリースされた次第です。
(時系列はうろ覚えなので間違っていたらすみません)

さて、肝心のEXTRA2の中身ですが。。

「うん、5年待った甲斐があった」これにつきます。

多分、多くのあおかなファンが渇望したであろう、みさきシナリオのその後の展開について
期待や憧れ、理想の全てがこの一本に集結されています。そう思わせる出来栄えでした。

中でも一番声を大にして言いたいのが、みさきのファンディスクといいながら、
みさき以外のサブキャラクター達に焦点が当てられている点なんです。

これはネタバレになってしまいますが、青柳部長、真藤さん、佐藤院、我如古、みなもちゃんと
本家でも活躍した名脇役たちがみさきを中心にストーリーを取り巻く取り巻くオンパレード。
これは嬉しい誤算でしたし、spriteアンケートの「価格が変わってもストーリーを減らさないで欲しい」をいかに守ってくれたか、
ファンとの約束を大事にした「結果」が、この作品を通じて感じ取ることができたという事実が、制作陣への感謝の気持ちへと繋がっていきます。

また、みさきの深層心理描写についてもかなり細かく描いていたところも高ポイントでした。

若いうちなら誰もが感じるであろう将来への漠然とした不安や心の迷い、
秋の試合に優勝してしまったせいで、ライバル達から追われる存在になってしまったことへの恐怖などが
上手い具合に描写されていたところが流石だと感じました。


あおかなが発売してから結構な年数が経っているので、本家シナリオを忘れてしまった人も多いと思います。
そんな中で購入を躊躇っている人には是非おすすめしたい作品です。何故ならあおかな本家をプレイした時の記憶が直ぐに呼び起されて
あのクリックが止まらない、止められない状況にすぐさま感覚を戻されるからです。

懐かしさもあり、新鮮さもある。そんな作品だったと思います。