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throughputさんの神様のような君への長文感想

ユーザー
throughput
ゲーム
神様のような君へ
ブランド
CUBE
得点
80
参照数
1730

一言コメント

パッケージのイラストからは想像だにしないシナリオとカントク画のアヘ顔が見られる本作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

カントク氏と言えばもう語ることはないくらいの大御所イラストレーターであり
お化け同人サークル「5年目の放課後」でも有名な方です。
私もかれこれ10年以上ここのサークルの同人誌を買い続けています。
そんなファンである私が特に本作で驚いたのがタイトルにも書いたカントク画のアヘ顔です。

カントク氏ってもうビッグネームになりすぎて、もはや全年齢のイメージが強いじゃないですか。
ラノベ冊子、アニメのキャラデザだったり、健全イラストレーターのイメージがとても強くなってると思います。
近年では描かれる同人誌も全年齢のものが多いですし。

そんなイメージが前提にあったので、本作のエロCGでアヘ顔やトロ顔が出てきたときはとても驚きました笑。

とは言え、そこまでドエロというか下品な感じではなくて、ソフトなアヘ顔なので(プリンセスラバーくらいかな)
苦手な方も多分大丈夫だとは思います。
ただ、カントク画とアヘ顔が「合っているか」というと賛否両論だとは思いますけどね・・・。



続いて意外性があったのがシナリオです。

本作では「AI」や「インターネット」がテーマになっている作品でした。
ただ、昨今では「AI」をテーマにした作品というのは星の数ほどありますし、少々詰めが甘いなと思う部分はありました。
ただ、そんな細かいことはどうでもいいのです。
何故なら、その細かく気になったところを帳消しに出来るほどシナリオが「ぶっ飛んでた」からです。

以下、ぶっ飛びポイントのおさらい。
☆かなりシナリオのネタバレになるので、以下はクリアした人向けになります。☆


■ラナ
・学生でありながら探偵をやっているラナは主人公とは幼いころに出会っており、いうなれば幼馴染的なポジション。
・主人公と数々の事件を解決していくうちに距離が縮まり恋仲になる。

ここまではギャルゲの鉄板ですね!いいぞいいぞ!と思ってプレイしていました。

・付き合う際にラナからある事実を告げられる。
・先天的に脳に障害を持っており、4、5歳の知能までしか脳が成長しない病気だった。
・その不足した知能を補うために脳にAIを埋め込む脳外科手術を行っておりそれで知能を維持しているとのことだった。

おお、、大分せめせめな設定だなぁ。とその時は感じていました。

・ある事件を追う内に、脳に埋め込むAIチップを使って違法に人体実験を行っていることが判明。
 そのチップはラナの脳にも埋め込まれているものだった。
・事件を告発し解決するためには、ラナの脳に埋め込まれたAIチップを取り出す必要があった。
 ラナはツクヨミが提供する方法でチップを取り出すことを決意。
 しかし、そのツクヨミの機能が正しく動作するかは不明。なにが起こるか分からない不安な状況にあった。
・副作用で記憶がなくなりつつあるなか、その日その日を忘れないようラブレター風の文通を主人公し始める。
・だんだん記憶がなくなり知能も低下。ひらがなすら書けなくなり、なぜ文通をし始めたのかも忘れていき・・・

この時点ではまだ記憶なくなる系のシナリオだろうと思っていたんです。この時点までは。。。

・体は大人、頭脳は4歳児となる。
・公園で遊ぶのが大好きになったが、その一方で、子供からは大人が公園で遊んでる!と後ろ指をさされ
 ママさんからは怪しいの目で見られるように。
・何故か性生活についての記憶は残っており、セックス大好きな子供状態になる。
・夜泣きしたり、外を徘徊するようになったり、起きてる間は遊そぶかセックスしてるといった状態に。
・主人公とソフィア(ラナの姉)は学校と仕事を辞め、つきっきりでお世話という名の介護することを決意。

そして最大のぶっ飛びポイントがやってきます。

・ある日、ビデオレターが登場。手術をする前のラナが送ったもので、
 自分の記憶がなくなりおかしくなってしまった場合、主人公は自分とは別れて別の道、
 自分の幸せを追いかけることを望むといった内容だった。
・ラナの姉であるソフィアが主人公を誘惑。ビデオレターでもこう言ってるのでもう限界、
 私は主人公くんのことを好きになってしまった。一緒に浮気しましょと提案。そして現れる選択肢。

・・・「え、何この急展開にして逆NTR・・・!?」状態に。
しかも、ラナ選択肢を選んだ場合も、ラナ&ソフィア選択肢を選んだ場合も
どちらも最後の最後にはラナの知能が回復するエンドで終わりはするんですが
その回復までの期間がやけに長いんですよ。もう半年とか1年とかのレベルではない。
その間、シナリオ的には、ラナルートでは介護生活を描いたシナリオが永遠と続く。
ラナ&ソフィアルートでは浮気状態の背徳セックスシーンが盛りだくさん。
さらに、ラナは知能が下がってた間の記憶を回復してからも覚えてるといった鬼畜っぷり。


■霧香
・子供の頃に交通事故で両親が亡くなり自身も重症を負う。大手術の際に頭にチップを埋め込む。
・身元引受で親戚に預けられるが、その親戚も亡くなり、その次の親戚も亡くなりでたらい回しに。
・自分と一緒に居ると周りの人間が不幸になると思い込み友達を作らずにボッチでいることを決意。
・唯一、心のよりどころが病院のカウンセラーであるくろえ先生。
 頭の検査で月に1度病院に行く必要があり、それを繰り返すうちにこの人にだけは心が許せるようになる。
・主人公がハッカー能力を使ってある事件を解決。こんなカッコいいことする人が居るんだと感心し、憧れになる。
・私も人を勇気づけることが出来るかもと思いvtuberの活動をする。
・ひょんなことから主人公と出会い、憧れてたハッカーであることに気づく。

ここまでは、天涯孤独なヒロインパターンなのでよく有り勝ちでしたが、ここから先、雲行きが怪しくなってきます。

・主人公と付き合うようになってしばらく。女友達から盗撮被害の相談を受ける。
・闇サイトに盗撮映像が流出してたことが判明。主人公と一緒に犯人を捕まえる作戦を立てる。
・何度捕まえようとしても犯人が捕まらない。別のある日、流出した映像を見ると霧香と女友達しか居ない部屋の映像が。
 その映像は何故か霧香が潜んでいた角度、目線からの映像だった。

なんだかとっても嫌な予感・・・。たぶんぶっ飛んでるんだろうなぁと思いながらもシナリオを進めることに。
ここからがぶっ飛びポイント。

・霧香の視線から得た映像を頭に埋め込まれたチップで録画。その映像を闇サイトで高額販売。
 他にも人の人生を写し取った映像が大量に販売されていた。中には不幸な結末になる映像も・・・
・霧香はそれに気づき自殺を図るが、何とか主人公に助けられ犯人を捕まえようと決意。
・手術した病院に乗り込み、事前に調べた犯人が居ると思われる場所に踏み込むと、そこにはくろえ先生が。
・AIを専攻していたくろえ先生は、闇サイトの管理人であり、
 人の人生をAIに教え込むことで人工知能を活性化させる研究をしていた。
 しかし研究続きで頭がおかしくなり、人の不幸を見て絶望するところを見るのが楽しみになった。
 とうとうサイコパスになり、人が死ぬ際にみせる絶望が何よりの好物になり強引な手をくだすようになっていった。
・次のターゲットにされたのが霧香。両親を事故に見せかけて殺したのも、親戚を殺したのもくろえ先生の手引き。
・長い時間をかけて霧香を絶望の淵に追い込み、自殺させることが目的で霧香に近づいていたことが判明。
・主人公に捕まえられるところでくろえ先生が抵抗。ピストルを取り出し、主人公が撃たれてしまうが、
 それを庇って霧香が被弾。植物状態になる。(犯人は形勢逆転して最後に死ぬ)
・主人公は病院に見舞いに行くが、声をかけても無反応な状態の霧香に次第に距離を置き始める・・・

「、、、」

・クリア後の読後感が限りなくグレー色。
・ソウルジェムが濁り切ってる。
・とにかく、そう、とにかく霧香が「かわいそう!」
・こんなのド暗ルートにもほどがあるやんけ・・・。
・このシナリオ考えたやつぶっ飛びすぎだろ。

これに尽きます。

パッケージから漂うオーラ。そしてHPの説明。
「あぁ、本作はアンドロイドとの恋を楽しむ作品なんだなぁ」と勝手に想像していた私。
なにより第一印象で好みだった霧香とイチャラブシナリオを期待していた私。

うん、そんな自分をぶん殴ってやりたい。

いやいや、決してつまらなくはないんですよ。
ぶっ飛んでるという言葉も良い意味で使ってます。

ツクヨミルートはギャルゲの王道シナリオでして、予想・期待していた通りの内容だったんですよ。
ルート終盤の黒ずくめの男とのバトルも手に汗握る展開でとても楽しめました。
ただ。。。ツクヨミの次にクリアしたラナと霧香のシナリオのインパクトが強くて強くて・・・。

他のサブヒロインも、ここまでぶっ飛んだ話ではないのでそこは安心できましたが。
なにより、サブヒロインルートやる前に色々とお腹いっぱいになってしまったのはありますね(汗

「アンドロイドとの恋愛作品」
そんな風に自分が思い描いていた作品像からは大きくかけ離れて
なんだか、衝撃過ぎて読んだ後にぽっかり穴が空いてしまったような感覚さえあります。
カントク画とシナリオのギャップが激しすぎて、多分本作のことはずっと覚えてることに違いありません。