設定にいろいろと無茶はありつつも、それをカバーすべく所々にちりばめられた「リアルな表現」が疑問を一掃してくれる作品。
物語は主人公が記憶をなくすところから始まり、舞台はクローズドサークル。
主人公に待ち受ける過酷な運命。
ヒロインの悲劇を回避するため過去に戻るタイムリープ能力、
そのタイムリープには代償があり、力を使い果たした者にのしかかる最悪の状況が訪れ・・・
主人公の記憶がよみがえるにつれて伏線が回収されていく。
この手の作品って、ある一定数のエロゲ、ギャルゲをプレイしたであろう(私を含めて)
アニメ・ゲーム・小説といったサブカルチャーオタクから言わせると「とても使い古された設定」なんですよね。
もちろん私もその中のひとりで、初めの共通ルートの時点では「まーたタイムリープものじゃん」といった印象だったのです。
でもですよ、それがふっと我に返ると一気にクリアしてたんですよ。
一気と言えど、もちろん丸1日2日という訳ではなく、毎日1,2時間程度を数週間はプレイしていました。
そのような中で、一切の中断、中だるみがなかったことには驚きを隠せません。
それくらい自分の中でハマっていたのです。
なぜか、それをじっくり思い出してみたところとにかく「シナリオが読みやすい」これにつきます。
ホントにサクサク読めたし、続きが気になってしょうがない構成で、クリックが止まらなかったということが一番です。
先にも書いた通り、とても使い古された設定であるにも関わらず、グイグイとユーザを惹きこませる、とても魅力あるシナリオ。
これには私も素晴らしかったの一言です。
とくに、美術品、絵画がキーのギャルゲ、エロゲというのがとても珍しかった。
少なくともいままで私がプレイした作品にはなかったように思います。
本編に登場する絵画は実際に存在するものがほとんど。中には見たことあるという作品も。
その実在する絵画の裏話や作家についての説明が出てきたシーン、
私は初めて「ゲームの中で実在する絵画の説明」を見たのです。
ここから徐々に自分自身に変化が出てきます。
異世界のような舞台設定なのに、ラジオ、フィルム、声認証など実在するものがどんどん出てくる。。。
印象としては「あれ、この舞台、技術レベルが高くてかなり現代に近いじゃん」。
そこで私はシナリオに吸い込まれることになったのです。
物語が進むにつれて、なぜ芸術だけを学校で教えるのか、
すばらしい芸術家を生み出すために、ひとつの学園都市を作るに至った説明のシーンや、落書きシーンの理由についてもしかり。
妙に説得力があって「ほんとにあり得そう・・・」と私に思わせたことが「サクサク進んだ」ところに繋がったのではないかと考えます。
これらを踏まえると、ライターさんの腕がいかに素晴らしかったのかが分かります。
徐々に伏線が回収されていく点も、まるでミステリー小説を読んでいるような気分でした。
残念だったところをあげるなら、シナリオにすべてを極振りしたせいか
キャラデザ、イラスト、CGが古く見えてしまったところ。
割とエロゲで見慣れてる塗りと構図で少し古臭いかなと。
補足
北の大地に住んでた者からすると、オンネトー周辺はかなり観光地化されてるので
いくら北海道=大自然だとしても、リアルのオンネトーはかなり人目に付きやすいですw
とはいえ、オンネトーは見る時期や場所によって湖の色を変えることで知られてますので
ゲームで出てきた夕焼けに染まる背景CGのような色合いを生で見ることができます。
あと、足寄(十勝地方)は雪が少ないことでも有名ですが、実際は12~1月もっと雪積もってますw