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throughputさんの催眠遊戯の長文感想

ユーザー
throughput
ゲーム
催眠遊戯
ブランド
スタッフィング
得点
95
参照数
3886

一言コメント

リアル系催眠で名を馳せた同人ソフト「催眠実験」を継承した商業タイトル第一弾です。長い間待ちましたがやっと発売してくれましたね。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

催眠実験から3年以上経ってしまいました。いやぁ、ホント長い間待ちましたよ。

元々は催眠実験2として同人サークル「#define」から出す予定だったものを
萌えゲーライターとして著名な北川晴氏がディレクターとして立ち上げた新規ブランド「スタッフィング」から
商業化タイトルとして発売することになったという経緯があるそうです。
(多分、その辺の事情が色々絡み合って期間があいたんでしょう)

従来の催眠ゲーでは道具や能力で相手の女の子を一発で催眠状態にする。というのがセオリーですが
母体となった催眠実験では他の催眠ゲーではほとんどやってない、リアル催眠を追求した内容になっています。
(催眠誘導が非現実的なものではなく、あくまでもリアルな現実的誘導による催眠のかけ方をします)

本作でも、その点はもちろん安心。流れは催眠実験と同じくリアル催眠でヒロインに徐々に徐々にじわじわかけていく。
この辺りの催眠誘導というか導入部分が好きな人は是非とも本作をプレイしていただきたいと思います。

かく言う私もその中の一人でして、前半の導入パート。
ヒロインが催眠なんて怪しいものに疑念を抱きつつも主人公の催眠に徐々にかかっていってしまう。
また、主人公も最初はいいやつなので、催眠を純粋にエロいことをするためにかけようとしておらず
ただ楽しむためだけにかけていくんですよね。
でも、それがどんどんエスカレートしていき、ヒロインも強く催眠にかかっていってしまう。
そうなると、主人公の心にも段々とよこしまな気持ちが出てきていまい、楽しい催眠からエロい催眠にシフトしていく。。。
この流れが、なんとも興奮して、正直、本作の一番の見所がここといってもいいかもしれません。

催眠にも、こういうエロいことをするには、先にその内容がおかしく思わないようにする催眠をかけてから。。。
といった具合に順番があって、それがなんともリアルで、じれったく、だがそれがあるからこそ、エロいことに成功した時の感動はひとしおです。
(ちょっとネタばれですが、途中でエロいことをする選択肢を選ぶとBADエンドになりますw
これはその順序を踏み外して欲望に負けてしまったからということのようですね。何か、一昔前のエロゲもこんな感じだったなと懐かしくなりました)


商業化ということで催眠実験と比べどの辺がパワーアップしているかというと
まず、画面サイズ。ワイドになっています。
また、システム面でもかなり快適になっているかと思います。

次に原画ですが、本作の原画担当のさよりさんは本作でエロゲー原画家デビューということらしいです。
初めはその点でちょっと心配ではあったのですが、全然杞憂でしたね。
まず、絵がとてもかわいいですwこれ、催眠かかってない状態の立ち絵であれば、パッと見、萌えゲーといってもわからないと思います。
また、角度のある表情や体、構図に関しても何の文句もありません。催眠にかかってイスにだらーんともたれてるCGなんかすばらしいです。
(もし機会があるならまた催眠ゲーで原画してほしいですね)

実は、催眠目の経ち絵以外にも、これ萌えゲーじゃん!?と錯覚するような立ち絵差分(例えばジト目や目が渦巻きになってるようなコミカルな感じの立ち絵)
が沢山用意されていて、ここは今までの抜きゲーとは違って斬新だなと感じました。
多分、こういった素材があるからこそ、催眠時のギャップを狙ってるのかなと。ギャップがあった方が興奮しますからね。

塗りに関しても、外注スタッフの顔ぶれが豪華で、これぞザ・エロゲ塗りといった感じで、とても美麗だったと思います。

ボイスについても、全員ベテラン勢で演技は申し分なかったです。
やっぱ、商業化ということでボイス量やシナリオ量が同人と比べて格段に増えてますよね。
(まぁ、ミドルプライスのくせに同人より少なかったらそれはそれで怒りになるんですがw)
なので、そのボリュームという点でも、パワーアップしているかと思います。

また、シナリオのおくとぱす氏が言っていたように、多分催眠ゲーで最後の最後にあの催眠パーティーというのは業界初でしょうねw
(これは最初私もぽかん。。。となりました。いや、いい意味でですよ。ホント必見です)
催眠実験ではその集団催眠が予算と尺の問題?からか、少なかったです。
実はこの催眠パーティーには第一部(エロなし)と第二部(エロあり)があって、さらにアフターとしても集団でのシーンがあります。
おくとぱす氏は集団での催眠という点でひとつのテーマとして力をいれてる部分があるように見受けられますので
そういった意味で本作の集団催眠シーンは催眠実験と比べてパワーアップしてたかと思います。

あと、先にギャップの話を出しましたが、本作のヒロインの一人である、鵡川 流衣先生。
彼女マジでやばいですwギャップありすぎですw
彼女のエロシーン、というかイチャイチャしたとこをホント見たかったです。。。(おくとぱす氏に直談判したいくらい)



ただ、私個人としては、やはり催眠実験が最高の催眠ゲーであり、それは超えられなかったかなと思います。
(いや、待ちに待っただけあって本作には十二分に満足してはいるんですがね)
心のどこかで、催眠実験>催眠遊戯という式が出来たのも事実です。
(とても二アリーではありますが、やはりその部分でこの点としました。というか、期待値がかなり入ってるので、あまり当てになる点ではないかもw)

まず、ヒロインが主人公の事を心の中では好きになっていないということがわかってしまい
それに怒りを覚えた主人公が欲望に支配され、ヒロインが自分のことを好きになるように心を入れ替える催眠をかけるシーン。
催眠実験でも同じシーンがあるんですが、千華の心を変える催眠シーンと比べるとやっぱ劣るかな~と。
あれがなまじ印象に残ってるだけに、劣化。。。とまではいかないですが、ちょっと「狙ってる」感じがすごい出てて
催眠実験の時ほど興奮できなかったですね。

あと、先に話した素材(催眠状態でない立ち絵やCG)がせっかくあるのだから
自分の欲望に支配された、外道ルートの他に、ヒロインと付き合って、イチャイチャするためだけに催眠を使うルートがあっても
よかったのかな~ともクリアしてから思いましたね。
一応、最後の選択肢でヒロイン一人に更に催眠をかけていくというのがあるんですが、そのルートはどうしても
自分の言いなりになったお人形的なヒロインを愛でるという外道ルートなので。
せっかく、催眠実験と同じく人畜無害のおもろキャラで憎めない主人公なので、その先からさらに分岐して
外道ルートとイチャラブルートに分かれていれば、商業化として幅広くユーザに答えれたのではないかと思いました。
(まぁ、これはこれだけの素材があったということを前提にしてるので、私としてはダークなルートだけでも
これはこれで全然OKなんですが、少々もったいなかったなぁという意味で)

他には、個人的な意見ですが、その他ボイスは野郎と女の子でわけて欲しかったです。
エロシーンで野郎声は聞きたくないですからね。
あと、ずどおおおんっ!ってのは笑ってしまったので次から別の効果音にしてくださいw



総括すると、催眠ゲーとしては文句なしの作品に仕上がってる印象です。
実際に、中身もかなりエロくて、太ももが筋肉痛になるくらい使えましたw
値段もミドルプライスということで、お手ごろなので、買って損はないかなと思います。
ただ、徐々に催眠をかけていく前半のシーンがそれなりの量あるので、
どちらかというと、買ってから即抜きゲーとして使う目的には向いてないですね。
本当に催眠が好きな人向けといった感じです。



■以下、自分用まとめ
本作の人物名は多分、北海道の地名から取ってる。(偶然ってことはないはず。。。)
浦河町、日高町、むかわ町、静内町ときて、サブはその周辺の駅名。
野郎の西岡、平岸、清田は札幌市内の地区名から取ってるんでしょう。

ドラマCD
舞夜編・・・ソフマップ
流衣編・・・ソフト同根
蛍火編・・・バナキャン

特典
予約で小冊子ついてきた。中身は流衣先生が生徒に催眠かけてく。
あと、最後にさよりさんとおくとぱす氏のコメントあり。必見。

雑誌
プッシュ9月号・・・書下ろしあり(流衣)あと、インタビューも少量あり。
パソパラ11月号・・・書下ろしあり(舞夜と蛍火)

その他
来月発売の操心術メビウスとのコラボという形で
#defineのHARE氏、邪恋のざくそん氏、両方のシナリオ担当のおくとぱす氏の対談あり。

あと、催眠遊戯発売カウントダウンとして
おくとぱす氏の書き下ろしカウントダウンシナリオが、何故かスタッフィングHPではなく#defineのHPにある。必見。
また、カウントダウンイラストとしてさよりさんのHP(またはpixiv)に書き下ろしイラストあり。こちらも必見。

それとテキスト量だが、雑誌では1.4Mとあったが、対談では1.7Mになってる。
真相は不明だが多分、単純に作成過程で増えたからか。