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throughputさんの初恋1/1の長文感想

ユーザー
throughput
ゲーム
初恋1/1
ブランド
tone work's
得点
70
参照数
2200

一言コメント

ビジュアルアーツ20周年記念ということでとっても期待していたんですが、今のエロゲ事情を踏まえて、我々が求めるような「ユーザ受けする」シナリオではなかったです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作の主人公、ヘタレというか鈍感主人公の鑑みたいなキャラなんですが、10年くらい前のエロゲやギャルゲならまだ受け入れられていたと思います。
ただ、「今」この主人公設定とシナリオで勝負するのはいささか分が悪いかな。

今のエロゲ事情を踏まえて、多分我々が求めてる主人公像って、どこかカッコいい系。かっこよくはなくても、普通とはちょっとどこか違う。
もしくは、何かしらひとつは誰にもまけない取柄があったり、その取柄が無いなら無いでよくて、
その取柄や目標、何かしら光るようなものを作品中で見つけていく、探していくような主人公を求めているのかなと思います。(私自身もどこかそんなところがあります)

あと、一番重要なのが、ヒロインとの恋に落ちるまでの過程。
どういったプロセスでヒロインは主人公のことを好きになり、主人公もまたヒロインの事を好きになっていったのか。

本作ではこの部分が著しく欠けています。

中身の無いただのイチャラブゲーですら、その辺りのところはキチンと描いているのに対して
本作ではその辺のことが全然描かれていない。

学園で知り合った3人はどうして主人公のことが好きなのか全然分からない、というか理解できないし
幼馴染2人も最初から高感度が高いとは言え、過去の思い出を話しに挟むだけで終わり、全然好きの経緯は語ってはくれず。。。

というか、本作で私が期待していた部分ってイチャラブだったり
恋に落ちるまでのストーリだったりするんですよ。だって、タイトルが既に「初恋1/1」じゃないですか!

それに相まってメーカー20周年という後ろ看板もあり、「どんな凄い初恋を見してくれるのか。。。!?」と期待していたのですが
いざプレイしてみるととてもがっかりといった感想が正直ありますね。


それに冷静に見てみると、金の使い道を間違えたかなと思います。(開発費の話です)
20周年ということでお上からそれなりの額がもらえたそうですが
ラジオやニコ生、痛車での日本縦断や、過剰な宣伝。それに加え、サウンド、特に主題歌やエンディング等、楽曲にお金をかけすぎたのかと。
ここに金かけるくらいなら、ホント、シナリオに力入れて少しでもいいから強化して欲しかった。。。


でも、まぁ原画については文句なしです。
本当に原画については美麗で塗りについても「ザ・エロゲ塗り」といった感じでとっても良い感じです。
ホント、CGが素晴らしすぎてただのCGゲーになってるのが残念でなりません。。。

キャストに関してもメインヒロインが有名所揃いでして、演技については何の文句もありません。
キャスト選定については本当によくやった!といった感じですかね。




キャラ別感想ですが、あまりパッとしなかったのでサラっと記載する程度に留めて起きます。
■真加辺先輩
ん~、最初なんで距離をとろうと思ったのか全然分かりませんでした。
というか、何であそこまで親父の言うことの言いなりになってるのかも。。。
親父に言われて距離をとるシナリオの作りにするとか、ちょ~っと古いかなと思いました。

あと、付き合うとグラウンド50周という約束はどうなったんでしょうかw

■瑠奈
どこかで瑠奈ルートはスキップ推奨というのを見かけましたが、私もそれに賛成です。
というのも、瑠奈ルートが一番胸糞悪かった。特に主人公。
決して瑠奈が嫌いというわけではないです。
むしろ、発売前のカウントダウンムービーがよかったので瑠奈に期待していただけにかなり残念だった。

■雪乃
雪乃ルートは正直記憶に残ってませんw
まぁそれは冗談だとしても、全然印象に残らないシナリオでした。まるでフライパンにひいた油のようにサラっと流れてしまいます。
恋に盲目になって委員会の雰囲気が悪くなるという点でも瑠奈ルートと被ってますし
最後のテニス部員の告白シーンもあまり盛り上がらなかったかなと。

■叶
叶ルートが一番この中ではお気に入りです。
まぁ、うっすらではありますが、同じバイト仲間が好きになったという過程もありますし。。。(ちょっと無理くり感はありますが)
また、バイト仲間の立ち絵なし野郎3人もいいキャラしてた。
最後のバスケうんぬんで出てきた足を怪我した部長代理の娘(名前忘れた)も実はいいキャラだったし、それなりに丸く収まってたと思います。

■摩耶
皆大好き摩耶ちゃんですが、まぁ摩耶シナリオも普通に良かったかなと思います。
最初に出てきたパキュラの演出ですが、私、最初これでパキュラうんぬんはもう出てこないんだろうと思っていたんですが
最初から最後までパキュラがシナリオに絡んでてちょっと意外でした。
2人で東京に出てきて人探しする中盤から最後にかけても他のシナリオとは一線を画していて面白かった。
でも、他のシナリオよりもちょっと尺が短いように感じましたね。



■自分用メモ
tone work'sというブランド名ですがVisual Art'sの「Visual→tone」「Art's→work's」という
単語の意味と同じくなるようにかけているそうです。