本作で一番伝えたかったことはなんだったのか?もちろんメインテーマは「卒業」であるが、何かこの「卒業」の裏に隠れた別のテーマがあるような気がする。
★ネタバレありなんで注意です。
本作、クリア後の読後感が素晴らしいです。
というのも、初めのプロローグ部分はホント何言ってるか全然分からないんですよ。
それこそ「こいつ頭大丈夫なんか??」と思うところが多々あり。。。
主人公の初雪は周りからは不良扱いされていて物凄く口下手なので、中々主人公に感情移入というか
初雪のことが好きになれなかったんですよね。
ですが、各ヒロインを攻略していくうちに段々と謎だった部分が見えてくる作りでして
先の主人公も、何故こういった思考と行動をもっていたのか。というのが明確にユーザーが知れるようになっていきます。
というか、段々と初雪がデレてくるんですよねw
ここがポイントで、このデレと変な主人公設定で最終的にはかなり感情移入出来たと思います。
(例えば、スイーツが好きだったり、好きなタイプがシャラポワだったり、歌がド下手だったりetc・・・。
まぁ、一番驚いたのは妻のカメラ好きな理由が鉄っちゃんだからってのがwww)
ギャグのパートも中々面白かった。
特に、希シナリオと卒業シナリオの序盤から中盤にかけての思い出作り。ここは凄い笑えましたw
特にカラオケの話とか。まぁ、個別ルートではそのヒロインについてを書かなければいけない分、
卒業ルートでは余計なことも書けるというか、若干はっちゃけた感じが出ていましたね。
そして、そのギャグ部分と対になる、シリアスパート。
この加減が中々うまく線引きされていて、とても天晴れと思いましたね。
まぁ、その分、場面の区切方がちょっとだけ古っちいかなとも思いました。
例えば、下のようなシーンなんですが上手く伝われば。。。
玉樹「河野くん河野くん」
初雪「・・・(無視)」
カットイン
玉樹「河野くん河野くん」
初雪「・・・(無視)」
カットイン
玉樹「河野くん河野くん」
初雪「・・・(無視)」
カットイン
玉樹「河野くん河野くん」
Bパート
みたいな。
後はシロクマがいい味出してた割に、シナリオがあっさりすぎて、位置づけが本当のサブというか
古いギャルゲのサブキャラシナリオみたいな扱いだったのが残念でしたね。。。
さて、ここからは本作のメインテーマについてです。
もちろん、本作の大きなテーマはシナリオの新島氏が言っている通り、「卒業」です。
テックジャイアン4月号のインタビューで新島氏は以下のようにテーマを語っています。(要約してますが)
希 →ある意味一番「卒業」というテーマに合っている。(「学園モノ」と呼べる王道シナリオ)
シロクマ→成長物語
夜 →部活っぽい要素を取り入れたかった(スポコン)
綾 →先輩への憧れと実らない恋。
また、メインにかかわるヒロインのため、他のヒロインとは違った視点から描いた「卒業」をテーマにしている。
桜 →各伏線を集約した総決算ともいえるルート。
また、「卒業」というテーマをいろんな角度から描きたかった。
ただ、シナリオを終えてふと感じたことが。
各ルートでは、誰かしらが何らかの思い(ゴースト)に「取り憑かれている」と。
夜 →自分自身(消したはずの自分自身の負の感情(ナイトメア))
綾 →アキラ
希 →剣道部顧問(名誉回復という、本当は望んでいないであろう剣道部顧問の思いに妻が取り憑かれる)
シロクマ→初雪(死んだはずの初雪というゴーストのことが忘れられない)
桜 →桜(これは主に、初雪がバニッシュされた桜の念に取り憑かれてテロを起こそうとする。
また、ちょっと視点は違うかもしれませんが、桜とサクヤは取り憑かれるというか二人でひとつの関係だった)
初雪 →ラン、初雪の父(文中に出てきた「懐かしい人たち」もこれに入るかと)
どこで出てきたかは忘れましたが
「死者は時として生者に取り憑くことがある」という一文があったと思います。
これが物凄く頭の片隅に残っていまして。。。
また、卒業ルートのオーラスで一番目を惹いた言葉があります。
「生者は死者の夢をみる。。。死者もまた生者の夢をみる」
つまり、単純に「卒業」という言葉の中には、「亡き者からの卒業」という意味が込められているのではとちょっと深読みしてしまいました。
亡くなってしまった人は戻りはしない。死という別れはとてもつらいが、いつかは吹っ切って、卒業しなければいけない。
これは、「亡くなってしまった人を忘れる」とは違くて、あくまでも「卒業」して、新たなスタートを切る。
生者がいつまでも死んでしまった人のことをずっと想っている→これは「死者が生者に取り憑く」と同義なのでは。
その為に、生者はいつまでも暗くて寒い冬の季節から「卒業」して、春という季節へ新たに旅立たねばならない。
なんてことが言いたかったのかなぁと。まぁ、こんな解釈があるんだへぇくらいに思っといてください。
まとめ
シナリオについては他の方も語っているように私も少々気になる点がありました(下に書いてます)
ただ、全体を見ると、まとまってはいると思うのでシナリオがハズレということはないと思います。
萌え、ギャグ、シリアス、泣きと様々な要素が入っていて私としては買ってよかったなと思いました。
■最後に自分向けメモ
シナリオは、若干の謎が残ったままで、完璧に解けたとは言えなかったのではないか。(ここももう少しだけ掘り下げて欲しかった点)
例の二つの街の政治的話。ここは軽く触れただけだったのでイマイチしっくり来ない。
宮棟とサクヤ。そしてカスガと呼ばれる霊媒集団。
いきなり、精霊がどうとか言われても耐性ない人からすると???となったのでは?
(精霊と街の問題というと涼風のメルトを思い出したが、こちらはこれが核の話なので、メルトほど描けとは言わないが、やっぱり何かしら説明がもう少し欲しかった)
喫茶店のマスターの正体。多分、病院の一室でひっそり生きていたというランが正体だろう。(声も七原ことみさんだろうし)
夜しか電話が繋がらないのも病院に居たから?
初雪の家族関係も謎。
確かどこかで、初雪の身辺調査とかで、家族構成に父母姉妹と書いてあったような。。。(自信なし)
父:大野敦。本編に出てくる。初雪をゴーストの王として、自分を死に追いやった者に対して復讐するため取り憑いた。(というか洗脳)
ホテルの開かずの間にいたというミイラも謎。多分、チビ桜?
山本(彼女にふられた相談をしてから初雪と仲良くなった(ヒロインを差し置いて一番メールするくらい))、
久美子(初雪の隣の席。卒業式の最後に笑う)や、やたら血に飢えた剣道部員、ちょっとホモっぽい男子学生(確か男子学生C)、女子学生Aがふーりんなど、
立ち絵のないサブキャラが魅力的だった。
卒業式の最後に集合写真を撮るが、CG鑑賞モードでは各ヒロイン全てにこの集合写真が入っていてなかなか憎い演出だと思った。
タイトルの「はつゆきさくら」に決まる前は「Ghost Graduation(ゴーストグラデュエーション)」だったそうな。