ゲームクリア後に、OPの「あの夜に約束した目指すのは過去と未来を繋ぐため」という歌詞が自然と頭に浮かんできました。
クリア後によくよくOP曲をフルで聞いてみると、実は歌詞の全てに意味があったといいますか
ゲームの内容が曲の中にぎゅっと詰まってることにあらためて気付きました。
アニメなどでは、たまにこういった曲を見ますが、外注が多いエロゲではちょっと珍しいかもしれません。
クリアした人だけに分かるというか、ここまで頭にするりと入る曲。
聞くだけで自然とゲームの情景が思い浮かんできてはちょっとだけ切なくなります。
というのも、本作、物凄くクリア後の後味がクリアなんですよ(シャレではないです)
本当に後味がいい。
いや、ちょこちょこ突っ込み所はありますが(そもそも超能力とはなにかとか)
ただ、その辺をひっくるめても、この手のSF+タイムトラベルものに比べれば
中々にシナリオの辻褄が合っていて、そんな疑問すらささいなことだと思わせてしまうほどです。
少々最近のパープルは失速気味でしたので、本作もずっと手を付けてなかったんですが
いざプレイしてみると「あれ。。。これ、本当に販売元パープルなんでしょうか??」状態に。
いや、超能力とかSFチックな所はパープルらしさがありますが
なんと言っても主人公の設定でしょうかね。
というのも、カンがいいんですよ。そこまでヘタレでもないし、鈍感ってわけでもない。
(ゲーム中では陽君は鈍感だな~みたいのが出てきましたがこの程度なら全然余裕で許容範囲です)
まぁ、かなりの突っ込み役ではあるんで、中身がないという方もいるかとは思いますが
私は全然違和感なく楽しめました。
ただ、前半の共通ルートはちょっとだけ不満が。
というのも、本作はほぼラストの杏奈ルートをクリアしないと話上、全然意味が分からない箇所が出てくる点。
しょっぱなから、杏奈と桜並木で出会うシーンから、何の説明もなく突然花見。そしてしれっと超能力が出てくる。
上に書いたことはもちろん、別キャラのシナリオで出てくる謎も全てラストで解けるようにはなっているんですが
それまでは全然分からないという所がちょっと個人的にやきもきしたのが減点です。
まぁ、ここについてはゲームそのものの作りの時点から否定しなければならなくなりますからしょうがない所ではありますが。
個人的にははじめからの最初に、「俺は何々学園の何年生。今はこの家に一人暮らしをしている。」みたいな説明から
入るようなのが分かりやすくて好きなんですが(というかちょっと例が極端すぎましたねw)
本作で、一番目を引くのはなんと言っても原画でしょうか。
多分お二人方ともパープルは初原画だと思うんですが、
はじめはいつものパープルの人(月杜尋さん、悠樹真琴さん)じゃない程度の認識だったんですが、
結果から言って、このお二方でよかったかなと思います。
あと、塗りも素晴らしい出来でした。
ただ、立ち絵とCGの塗りの出来が違いすぎるというか、立ち絵は結構押さえ気味の塗りなのに対して
CGでは物凄く塗りが丁寧で、テラテラした感触とかよく表現されていて、そのギャップがちょっとあったかなと。
ギャップといえば、背景の人物描写(モブキャラ)がちょっと適当すぎでしたね。これもちょっとだけ減点。
また、原画家さんの描き方の問題なんでしょうけど、本作、初めは見ていて表情の差分が少ないなぁと思いました。
これは、ゲームやれば分かると思いますが、実は決して表情差分が少ないって訳ではないんですよ。
ただ、目の描き方(特に克さん)が独特なのと、瞳の大きさに対して少しだけ眉が短いせいで、
実は差分で作っている顔が変化してるのに、それが変化していることに気付かないのがちょっとだけ分かりづらいかなと感じました。
照れている時の差分も照れのほほの赤色が若干薄いため、これまた分かりづらいかなと。
あとは、本作の原画家さんは「手」を描くのが上手だなぁと思って見てたんですけど(これはポイント高)
そしたら、杏奈が結婚してからのCGで指輪が描かれてないCGがあることに気付きました。
(遊覧船と泣いているやつですね。ウエディングドレスと私服のエロシーンでは指輪してるんですがね)
まぁ、この時には外してたんだといえばそれまでなんですが、立ち絵も差分で変えるくらいなら
こっちも描いてて欲しかったというのが正直な感想です。
そいういえば書いていて思い出しましたが、本作は発売前からロケットおっぱいで話題になってましたよねw
あれはホント良かったです。。。
シナリオだけで言うとやはり杏奈ルートがなまじ良かったので、高得点と言いたいんですが
上記のCGのところが個人的に気になりましたのでこの点にしました。
ただ、初心者の方はもちろん、「最近のパープルは。。。」とちょっと嫌厭気味だった方なんかには是非ともプレイして欲しいですね。
ボリュームも結構多めですので、トータルから見ても良作には違いないと思います。
~~~以下、個別感想(クリア後に見るの推奨)~~~
■日奈乃・野乃
本作の前に恋愛0キロメートルをプレイしていたせいもあって、あっちの双子シナリオと本作の双子シナリオの出来に
差がありすぎなのが如実に現れていて、そこが残念でしたね。(恋0やってなければ評価は変わったかもしれませんが)
野乃が実はイマジンブレイカーで、主人公とセックスして能力が発動し、主人公の超能力が消える。(この時点では予想)
だが、しばらく野乃に触れなければ能力も復活すると考えて距離を置く→すれ違い
と、設定自体は物凄くよかったんですが、如何せん話の持って行きかたがちょっと雑だったかなと。
ラストにしれっとテレポートに成功しますが、ここはもっと引き伸ばして引き伸ばして、歯をガリガリするくらいやきもきした末に
テレポートに成功した方が、主人公とクロ、雫さんが考えた上記の予想が本当に正しかったんだ。
というのがもっと証明できたのかなと思います。
また、双子なので日奈乃にもそのイマジンブレイカーを受け継いでる可能性が高いとありましたが
日奈乃編ではそのようなことはなく、ちょっとした矛盾が。
(ここは、2人とも内容が被るのは良くないですし、日奈乃だけは後天的な能力が発動しなかったといえばそれまでですが)
あと、個人的に榊るなさんは好きな声優の一人なんですが、何で日奈乃はこんな演技なんでしょうか??
終始、棒読みチックというか。。。クールって設定は分かってますが、この演技はちょっと違うかなと思います。
榊るなさんはこういったしゃべりではないので、多分スタッフの指示かなとは思うんですが。。。
■詩
詩編は以外にも笑いがあってよかったです。途中途中でクスりとくるところが何回かありました。
ただ、詩はやっぱり大人バージョンの方が魅力的だったかなと。
(これはこれでギュッとしたい感じが出ててよかったんですが、
やっぱだらしないだけあって大人バージョンのギャップにぐっときました)
シナリオは記憶がなくなるというオーソドックスなものでしたが、
主人公はあんまり危機感をもってなく、それは詩も同じですが、結局は忘れたところは忘れてリスタートするという形に。
まぁ、これが良いか悪いかは分かれると思いますが、全体的にあっさり気味だったのがちょっと後に残りましたか。
ただ、こういったのを背景にして杏奈編では、一番近くにいたから、近すぎたからこそ気付かなかった詩の本当の気持ち
(主人公が好きだった)というのに気付いて、その気持ちに対してリセットするという描写は良かったです。
なので、やっぱり余計に大人バージョンの詩が切なくて切なくて。。。
■伊織
伊織のデレたところがギャップがありすぎて可愛死するかと思いましたw
先に双子をクリアしていたので、交通事故の話は見ていたんですが、そこから派生して
実は主人公が病院で入院していた頃に逢っていて、友達だったという伏線は面白かったです。
また、力の暴走ですが、ゲーセンの画面が割れたのが実は伏線というかラストへの序章だったというのが
後で分かるようになっていてそこも面白い演出でした。
そしてラスト。杏奈が変えたかった未来の結末を二人にテレパシーで伝えるシーンですが
これが杏奈編の話の核になっていようとは。。。そして、それが杏奈編で謎が解けるという仕組みがこれまた憎いですw
やはり杏奈編をクリアすることによって他ルートの杏奈の行動ひとつひとつに意味があったというのが分かります。
あと、ハルさんが可愛すぎですねw
あまりママ属性は持ってないんですが、このハルさんだけは攻略したいと思いましたよw
ただ、伊織の能力の暴走でハルさんを傷つけてしまう所から、杏奈がはなばな亭を辞めてしまう流れが
短い間に詰めすぎて、展開がちょっと駆け足になってたところが惜しかったです。
■杏奈
結局はオールクリアに価値ありなんですよ!
そうです、杏奈こそ正義。杏奈こそ本作のメインヒロインであり(そんなことは知ってる)シナリオの核となる人物。
大ラスでは、主人公が生きている現在という時間軸を同じして生きている杏奈(チビVer)に
未来から来た杏奈が記憶や思いを継承させる。(という介錯で合ってますよね?)
主人公が好きになった杏奈は消えてしまいますが、しかし、杏奈の記憶や思いを受け継いだ
現代の杏奈(チビVerからちょっとだけ成長したVer)と再び再開するというのがとっても良かったです。
それまで主人公は海外で何をしていたのかや、杏奈の家族構成とか聞きたいことは多々ありますが、
それを無しにしても巡り巡って再び再開するというのが良かったです。
(ちょっと意味合いは違いますが、もしらばの明穂をふと思い出しました)
杏奈の未来での回想シナリオ。これ、もうちょっとだけ引っ張っても良かったですかね。
しいて言えば、グリザイアの天音シナリオのエンジェリック・ハウルくらいw
そうすれば、杏奈が主人公を好きになっていく過程がもっと描けたかなと思います。
(もしかしたら、未来から来た杏奈も電車シーンの前に、更にその未来から来た杏奈から
記憶を引き継いでたのかもしれませんね)
ただ、何だかんだで、教会での弱さを吐露するシーンが一番印象に残っています。
風音さんの演技がここではピカイチに素晴らしかった。
ホント、杏奈の声が風音さんで良かったと思いましたね。キャラにもピッタリ合ってたと思います。