コンセプトが生かしきれてなくて本当に惜しい作品。小ネタは満載ですw
本作は「人間失格」というSNSのコミュニティを舞台にした作品です。
主人公やヒロイン達は全員、自分は人間失格だと思い込んでいます。
そしてダメ人間達が流れ着いた先がこのコミュニティなのですが。。。
事前の雑誌情報とかから、このストーリーだけを見ていたので、
私の第一印象は「は~、暗い系のシナリオなんかな。。。」と考えていました。
まず、驚いたのが、「全然暗くない!」ことです。
多少はそれっぽい話もありましたが、普通のエロゲやってる人にとっては
全然暗くない(鬱にならない)レベルのシナリオでしたねw
本作はNoesis初のフルプライス作品とのことでしたが、
ブランドの売りである珈琲貴族さんの原画と塗りはとても美麗でガチです。
(古都音先輩と駅前で雨の中待ち合わせするシーンのCGなんか、
うっすら下着が雨で透けて見えてたり、とても細かいところまで描かれています)
ところで、このCG、とても興味深いことがありました。
それはCGの構図です。
大抵こういったゲームの最大の売りはCGなので、ヒロインの顔が映っていることが大前提です。
もちろん顔が命なので、バストアップのCGが多くなるのも普通のことですが
本作では、とに角、そのCGを使用するシーンの雰囲気を重要視しているため、CGにおいても構図重視なのです。
というのも、顔を見せていないCGが多い。いや、これ悪い意味ではないんですよ。
ヒロインが後ろを向いていたり、バストアップではなく全身が映っている、
主人公の顔を隠さずに描かれていること、ヒロインが横顔だけ、
エロシーンにおいても体位を重視しているが為に顔が隠れてたりというのが多いんですよね。
これによって、そのシーンの雰囲気が上手く表現されていて、時にはドラマチックだったり、
または、より生き生きとした「生身」の感触がCGから伝わってくるような気がしてとても新鮮に感じました。
これを見て思い出したのが楳図かずお氏の漂流教室。(レビューとは関係ないですがw)
当時は漫画も顔が重要であり、シナリオなどは二の次というのが多かったそうですが、
漂流教室では作品のシナリオを重要視するために、登場人物の顔の上に吹き出しを被せて描くという
当時の漫画業界としてはご法度とも言える技法で描いた作品とされています。(今ではそんなの当たり前ですがね)
そのため、漂流教室は第20回小学館漫画賞を受賞しています。興味のある方は一度ごらんになってはいかがでしょうか?
話を元に戻して、背景も細部まで結構作り込んでいて塗りもキレイでしたね。
BGMは、他作品と比べて珍しくコーラスが入っているBGMが何曲かありました。(娘包のBGMとか)
また、一番目を引くのはなんといってもカットインの多さでしょうか。
本作ではSDCGが無い分、カットインの多さでそれをカバーしています。
今後はこれも売りの一つになればいいな。。。
起用している声優さんも演技は大変素晴らしく、肝心のエロシーンもかなりエロかったです。
塗りがキレイな分、余計にエロかったですね。(本作のエロシーンは普通の萌えゲよりも多めです)
コンセプトの一つである「携帯電話」を使用した演出も光るものがありました。
初め、やたらと携帯にメールが届くなぁと思ってましたが、
この携帯電話が各ヒロインの告白時にとても重要な役割を果たしてくれます。
なので、本作ではかなり携帯電話の印象が強く残った気がしますね。
ただ、この携帯電話ももう少しこうだったらというのもあります。
まず、ヒロイン選択マップで選んだヒロインから、その日の終わりにメールが届くんですが(カットインで演出)
そのやり取りがたった一回きりという。。。
これ、携帯をもっと前に出したかったのであれば、もう数回やりとりがあった方が面白かったと思います。
共通や個別パート含めて、ヒロイン全員にあたると思いますが、少々イチャラブ要素が少なかったと感じました。
いや、シナリオのコンセプトがその「暗い系」だったらまだ分かるんですが、本作って前述の通り全然暗くないんですよ。
それでいたら、イチャラブ要素が盛り込まれているのかというとそうではなくて、
個別ではほぼエロシーンの連続で夏休みを過すという。。。
とどのつまり、言いたいことはイチャラブ要素が無いなら、携帯のメールのやり取りをもっと多くして
それをカバー出来なかったのか?ということです。ここがホント惜しく感じましたね。
前述の共通パートでのヒロイン選択ですが、ヒロイン選択後に、ヒロインとどんな会話をしようか
数ある「話のネタ」から選択して会話を振るというシステムになっているんですが、個人的にはちょっとこれ微妙でしたねw
何か一昔前のギャルゲみたいで。。。
それにこの手のシステムだとしょうがないんですが、会話の前に前回選択したネタを前書きとしてつらつら説明してしまうところでしょうか。
これがないとそのネタを選択するまでの期間が空いた場合のユーザに思い出してもらう意図を含んでいることは分かっているんですが、
別に長い時間遊ぶ日とかにこれやられるとちょっと鬱陶しいかなと。
また、個別パートもちょっとボリューム不足かな。
というか、全体的にボリューム不足感が否めなかったです。
フルプライスだとちょっと高いかな?とも感じてしまったり。。。
主人公が大のラーメン好きなんていう細かい設定があったり
そのラーメン屋「烈」のオヤジやライバル店「娘包」の山田なんていうおもろいサブキャラがいたり
時には、クスりと笑ってしまう(娘包が登戸と中央林間にあるとかねw)話もあったり
ニヤリとくる小ネタが満載(5インチフロッピーやZIPディスク、PDとかw)だったりと
面白いネタや設定があるにも関わらず、一日一日の尺があっさり気味だったので、もうちょっと設定を生かせば
ストーリー自体も面白く(尺も長く)出来たのではないかなと思い、そこがやっぱり残念でしたねぇ。
最後に、まさか、あの人物の正体があれで、主人公とこう繋がっていたとは思いませんでした。。。
批評空間の声優欄にあのキャラが出てないってことはかなりの秘密?にしてるんでしょうからここでは伏せますがw
私個人としてはその隠れキャラが一番かわいくてエロかったと思いますよ。