まるで、小津映画を見ているようでした。
前作の「夏ノ雨」が個人的にお気に入りだったのと、原画のカントクさんが好きなので購入しました。
クリアした感想としては、心温まるようなほっこりしたゲームだったかなと。
例えるなら、小津 安二郎作品を見た後の、あの何とも言えないほっとした感覚でしょうか。
テキストも現代風?でとても読みやすく、読後感がよかったです。
(やっぱ、ラノベと同じでエロゲのテキストも読みやすいのがいいですよね)
画面のサイズがワイドになっており、
そのサイズに合わせたカントクさんの原画と美麗な塗りのCGで場面を盛り上げてくれました。
システム面も文句なしです。ボイスカットあり、マウスカーソル自動、システムボイス豊富と至れり尽くせり。。。
(ただ、フルスクリーンで終了したのに、再度起動したらウインドウになってるのは仕様なのか。。。?)
キャラの立ち絵も豊富で、表情パターンも多かったのも好印象でしたね。
また、あらためて思ったことがひとつ。
本作でドンパチやアクションを求めて購入した方はいないと思いますが、もちろんシナリオ上そんなバトル的なものは一切ありません。
なので、バトル系でありがちなエフェクトも本作には当然ありません。
あるのは、CGを拡大して表示させ、画面をスクロールさせるエフェクトです。
これ、最近のエロゲではかなりありがちなので、じっくり考えたりすることはなかったんですが、本作ではエフェクトの少なさが逆に
このエフェクトを引き立てていて、とても場面を盛り上げるのに一役かっているなと思いました。
シナリオに関しては、他の方の感想を見る限りだと、若干違った感想を持ったのかなと。
まず、夕陽&かなでシナリオですが、個人的には面白かったです。
いや、本作がゆあゲーなのは認めますし、紗雪先輩のシナリオだけ力入ってんなぁとは感じましたが
何故あそこまで夕陽&かなでシナリオがボロクソに叩かれてるか不明。。。
それとサブキャラがウザいとのことですが、私は逆に「このサブキャラ、メインくらい台本の量あんじゃね??」といった感想がまず第一に思い浮かびましたw
本作では夕顔亭という喫茶店を中心としたとても小さいエリアでのストーリーになっています。
かつ、みんな幼馴染ないし、幼馴染の友達というこれまた枠が決まりきった中での登場人物になっているので
(最初からヒロインの主人公への高感度が高いのもこれが原因)
必然的に、サブキャラとの会話が多いんですよね。他のエロゲではここはヒロインと2人っきりで会話するイベントじゃん!ってのがサブキャラと。。。とか
他のヒロイン含めてのごちゃまぜ会話になってたりとか。
これが、製作側の意図かどうかは分かりませんが、ユーザの感想からするとこの作りは少々失敗だったのかなと思います。
それに響はそれなりに見せ場がありますが、香穂だけ見せ場がないのも輪かけてるかな。
因みに攻略順はゆあを最後に廻した方がいいです。ゆあゲーなのでw
ただ、ゆあシナリオは紗雪先輩シナリオと密接に絡んでいるので、ゆあの前に紗雪先輩をやったほうがいいかもです。
なので、夕陽orかなで→紗雪先輩→ゆあ がオススメルートですかね。
~~~以下、ヒロインのネタバレ感想~~~
■かなで
何か、本作はゆあゲーの匂いが初めからプンプンしていて、私のカンがゆあは最後にしとけと警告していたので、まずかなでシナリオから始めました。
かなでは告白後の初エッチシーンがなんと言っても見所ですね。
「とも君がしてくれないなら、とも君をおかずにして慰めるのはいいよね?」ってやつですw
普段、影に隠れてるおどおどキャラが、そんなこと言うギャップが良かったです。
かなでは前作「夏ノ雨」で言うところのひな姉的なポジションですね。(姉→妹になってる)
本当の妹ではないが、昔から妹のように接していた相手を一人の女の娘として意識するようになる過程が描かれています。
初めは、ひな姉を妹にしただけか乙。。。と思っていたのですが
ひな姉の位置をキープしつつ、内容は被らないようにまったくの別物として構成していたので、全然心配する必要もなくシナリオを読み進めることが出来ました。
見せ場の絵本の話もこれが完成したら終わりかな~と思っていたら奈月とひともんちゃくあって
実はそっちが見せ場になっていたと、ちょっと予想が外れて驚きでしたね。
因みに最後の絵本って、自費出版なので同人誌になるのでは。。。と個人的にニヤリとしてしまいましたw
■夕陽
これまた「夏ノ雨」では母がいい位置占めてたので、今度は父か。。。と思っていましたが、これはこれで中々新鮮だったかなと。
前作の子供に興味の無い母→愛娘を溺愛するがゆえのひねくれ親父みたいな、まったく真逆とも言える性格だったのがよかったです。
(多分、被りを意識して意図的に間逆のキャラ設定にしたんでしょうかね)
夕陽はあれだけ昔から主人公のことを好きだったので、付きあうようになって本当によかったです~。
本作では一番、エロゲらしいキャラであり、エロゲらしいシナリオでしたね。
夕陽の数々の頑張りがやっとこさ報われたと思うと、感慨深いものがあります。
因みにこれは個人的なものですが、本作では夕陽が一番お気に入りです。
ゆあもお気に入りですが、どっちかというとゆあはカワイイという感覚の方が強いので、付きあうとするなら夕陽ですかね。
料理も美味いし、面倒見がいいし。。。
シナリオは、母の味を再現するのが見せ場なんだと思っていたら、主人公とひともんちゃくあってそっちがホントの見せ場だったのに驚き(ry
原画のカントクさんは無類のチェック好きと名を馳せていますが、本作でもチェック柄がかなり頻繁に出てきます。
実は制服のスカートもチェック柄なんですが皆さん気付いたでしょうか?(メッセージウインドウが邪魔して気付かない方もいたのでは?)
中でも一番目を引いたのが夕陽の私服のチェック柄だと思うんですが、どうでしょうか。。。?
個人的に夕陽の私服はピカイチのデザインだと思うんですけど。。。
■紗雪
紗雪先輩シナリオは。。。すみません。。。主人公と付きあうまでが微妙にイライラしました(汗
というのも、あらためて考えてみたんですよ。
紗雪先輩シナリオだけ、やたらと付きあうまでのプロセスが、青春というか青臭いというか。。。
「私と一緒にいると不幸になります。。。」とか言ってるくせに
気になる人が帰るまで影で隠れて見てたり、そのくせ会いたくないと逃げ回っていたり。。。
これって、普段、ヘタレ主人公がやる行動ですよね?
いや、私は何にイラっとしていたのかを考えてみると、エロゲでありがちなヘタレ主人公に対して
「何言ってんだ、さっさと付き合え、ばかやろう!」って感情を紗雪先輩に対して向けていたのかなと。
これ、あらためてみると、かなり斬新でないですか?だってメインヒロインに対してこんなこと言うのって中々ないかなと思うんですよ。
それを踏まえると、やはり紗雪先輩シナリオの力の入れようが尋常ではないですね。
付き合った後の、まるで主人公に依存するかのように性格が変わってしまうギャップも中々でした。
■ゆあ
まさに、ゆあの日記、ゆあダイアリーといえるシナリオでしたね。
冷静に考えてみると、ゆあシナリオはかなりご都合主義なエンドかもしれませんが、
それでもゆあシナリオはかなりキレイに纏められていて、それを感じさせないテキストになっていたのかなと。
どちらかというと、ラストはあれでよかったです。とてもほっこりしましたから。
色々とゆあや美鈴さんの謎もこれで解けるので、個人的にはご都合主義とは思わず、納得のいくラストでした。
主人公の幸せを見つけるのがゆあの仕事であり、主人公はゆあに、ゆあ自身の幸せを自分で見つけて欲しいと願う。
主人公にとってゆあは幸せの神様であり、ゆあにとっての主人公もまた、幸せの神様である。
そして、新たなゆあの日記は、2人がずっと一緒にいることという願いであることで
終わりのページはこないというのが、小難しいことを考えずに、するすると素直に頭に入っていく感覚がとても心地よかったです。
いや、神様系のシナリオってちょっと難解だったり、考えされられたりすることが多いと思いますが
前述のとおり、とても分かり易い話で纏められてて、これがクリア後の読後感に繋がっているんだなと感じました。
あと、ゆあがかなりカワイイですw
久し振りに「ふみぃぃ」とか「ふみゅぅぅ」とか変な口癖があるキャラの出てくるゲームやりましたw