い、いつものオーガストじゃないよ。。。こんなに長文を書かせるほどの出来だとは。。。
オーガストって萌えゲーブランドですよね?
いつからこんな萌え要素なしのシナリオゲーを出すようになったんですかwww
まぁ、雑誌の事前情報からも本作は萌えゲーとは
ちょっと違ったジャンルだとは思っていましたがまさか、ここまでの作品とは。。。
こんなにも、ダークでアンダーグラウンドで死や血みどろ描写の多い内容だとは。
本作、今までのオーガスト作品の中でも、一番「オーガストらしくない」作品です。
でも、根っこの部分にはやさしさや、ヒューマニズムがきちんと残っており
そこの部分に特化するといつものオーガストなのかなと思います。
ただ、よくこのようなジャンルに挑戦しましたねぇ。
私は別段、信者という訳ではないですが、オーガストのファンってあまり
こういったジャンルを求めていないように思っていました。(勝手な考えですが)
ブランドとしては一度「あたり」が出ると、その方針でしばらくはゲームのコンセプトを
固めていくと思うので、中々新たな路線を切り開くのは難しいと思いますが、
本作はそれがうまくいったよい例でしょうね。
(その分、今までの路線とは違った本作が高評価を受けたことにより、
次回作はとても慎重にコンセプトを決めないといけないでしょうね。
また学園物の萌えゲーにするのか、本作のような路線にするのか。。。
2011/09時点では、次回作はコンセプトを戻して学園物になるそうです)
まず、ここが良かったという点で最初に出てくるのは作品の雰囲気でしょうか。
ファンタジーと中世の入り混じった話って、人気があるだけに、下手な設定だと直ぐユーザーに
飽きられてしまったりと、評価が真っ二つに分かれる典型的なジャンルだと思います。
そのためには念入りに設定を練らないといけない。
本作では、よく複数ライターなのにここまで念入りな世界観を表現できたなと思いました。
多分、物凄い時間と回数をかけてシナリオ会議やってるんでしょうね。。。恐れ入ります。。。
演出面もかなりのこだわりを見せてもらいました。
立ち絵のエフェクトや背景差分でアニメーションっぽく表現するのはもはや当たり前状態で
物語の肝である崩壊シーンは圧巻モノでした。。。
SDCGが無い分、背景の種類と差分が物凄く多く、これのおかげでシナリオのシーンごとの舞台は
そこまで多いわけではないものの、上手い具合にこの豊富な背景でカバーして
だだっ広いノーヴァス・アイテルの世界観を表現しています。
もちろん背景の塗りも美麗で、細部までこだわりが垣間見られました。
BGMも生演奏かまでは分かりませんが、世界観重視のため、ギターや電子っぽい音よりは
管弦楽やストリングスっぽい音でまとめられていて中々聞き応えある感じです。
シナリオも、オールクリアしないと謎が解けないような作りになっていて、伏線が多岐に渡って張り巡られています。
その謎を解きたいがためにグイグイ引っ張られていく感じでした。ほんと、クリックが止まらなかったですw
~~~中途半端ですが、ここからはネタバレを含みます。クリアした人向けの感想となりますので注意~~~
ただ、不満というか、ここがこうだったら。。。というのももちろんあります。
まずはシナリオ構成。
私の場合は順番にヒロインをクリアしていきまいたが、本作って別にこのキャラをクリアしないと
あのキャラがクリア出来ないとかってのは無いですよね?
まぁ、いないとは思いますがもしティア狙いの人は、
もの凄い長いネタバレ共通ルートをクリアしたってことですよねw
各章毎に区切のセーブがありましたが、本作に関しては〇〇キャラをクリアしないと
XXキャラルートが開放されない。とか、章が終われば一度タイトルに戻るとかで
章選択する作りとかの方が良かったのかなと。
それに、この作り上どうしても、個別パートに入ってからの「あっという間感」がものすごいじゃないですかw
各章=ヒロイン個別+共通ですので、ヒロインのHシーンを見るために最後の選択肢を選ぶだけみたいな。。。
まぁ、これに関してはスタッフも「いけねっ」と思ったのか、
おまけモードのおかげで大分「あっという間感」を補うことは出来ていますが。。。
あとはCG。
本作では世界観重視のため、一切、テキストで英語を使わなかったのをみなさんはお気づきになられたでしょうか?
(デートではなくて買い物とか一緒に出かけるとかの表現で回避してたのにはホント感服しましたよ。。。)
ここまで世界観を重視していたのに、例えばフィオネの2回目のエロシーンでカイムにフェラしてるCGの
ブラジャーが、首紐とカップのつなぎ目ってこれプラスチックっぽく見えますよねw
ティアとのエッチ後にベッドのうえにカイムといるCG(CGモードの2枚目)では、
カイムの顔の位置って多分ベッドの背もたれか壁ですよねw
まぁ、主人公の顔をCGに入れたくなかったのは分かりますがこれは。。。(むしろ木を描かなければよかった)
立ち絵の顔とCGの顔がのバランスが若干違うところも気になりました。
また、本作はあえての描き方なのか、CGにおける体の輪郭線がやけに太く描かれています。
このせいで、CGのキャラとCGのキャラ以外の部分がミスマッチに見えて違和感があります。
とまぁ、CG面がちょっと弱かったかなと感じました。
世界観でいうと、エリスが言った、麻酔というものをカイムが初めて知ったみたいな描写がありましたが
それほどまでに文明レベルが低い(というか時代が古い)設定であれば、
ティアを使っての実験ってどれほどのレベルであったのかなと。
いや、羽を計測したり~という描写はありましたが、もちろん機械なんかない設定での実験と研究なので
それこそ保護施設で羽つきを使った実験なんてのもどれほどのレベルの実験だったのか気になりました。
(この辺はちょっとごまかしごまかし表現していたと思ったので)
シナリオについては、フィオネ~リシアまでの各章はとてもおもしろかったです。
各章毎に、驚愕の事実が混じっていて、読んでいてまったく飽きがきませんでした。
ただ、最後のティアルートだけはちょっと飽きがきましたね。
クリア後になんでティアルートだけ飽きがあったのか考えてみると、
個人的に、ヒロインのことを思うがために別れて、しばらく紆余曲折があり
最終的にヒロインとくっつくというのがあまり好きではないこと。
というよりも、カイムがここだけヘタレて話自体も中だるみしたと思います。
(ただ、物語のラストの核がティアを迎えに行くことなので、一旦別れるしかなかったのは心では分かってるんですがね)
大抵この手の場合、迎えに行く前に主人公の友人(メモオフの稲穂信みたいなやつ)に諭されたり、ケンカしたりして
ヒロインの大切さに気づいて迎えに行く。その気づかせてくれた友人はやっぱかっこいいやつだったな。。。
みたいのが好みなんですが、本作では色々ヒントは周りから与えてくれたものの、結局は屋根の上で塔が光ってるのを見て
主人公が自力で気づくというか解決してしまう所がつまらなかったのかなと。
それにこの主人公が自己解決という流れも、先にエリスルートで似た感じのを見ていたこともあるかもしれません。
また、ラストも「ん?」といった感じでした。
というよりも、クリア後のもやもや感がハンパなかったです。
もやもやの質こそ違いますが、例えるなら黒澤監督の「どん底」を観た後の感覚に似ていますか。
(例えが分かる人にしか分からないよw)
とに角、他のシナリオでは章のクリア後にある程度のクリア後談というか説明がなんかしらあったのに対し
ティア編のクリア後はそのままするっと終わってしまい、もやもや。
個人的にはその後、街や生き残った人、フィオネ、エリス、ジーク、リシア、コレットあたりの描写
とカイムについての何かが欲しかったです。(例えば街を復興させるとか)
~~~ここからはキャラクタについて(クリアした人向けのネタバレありです)~~~
■フィオネ
フィオネルートは本作の初めの章ですが、これ、ユーザを引きつける手法がなかなかに上手かったなと思います。
というのも、ラング副体長や黒羽の正体について、あっと驚く展開に早くもグイグイ惹きつけられたからです。
その中でフィオネとカイムは一蓮托生のコンビとなって行き、それが恋愛へと発展していく。
フィオネは本作の中でも結構萌えられたかなと個人的には思います。結構こういったツンデレじゃないけど
普段は高貴な態度だが、恋愛になるとテレまくる~みたいなの好きですw
シナリオの中でフィオネの様子が変になる箇所がありましたが、てっきり私は外套を返しに行った際に
ティアの正体に気づいたからだと思い、すっかり騙されましたw
■エリス
エリスはメガネ以外認めませんwww
中々にエリスは病んでいましたね~。でも、それもエリスの境遇からするとそれも仕方の無いことだったのかなと。
CGについてもエリスのCGは、先に記載したバランスは良かったように見えました。
ただ、ベルナドを倒すためにジークが耐えてくれ耐えてくれ~って内容にはホントこっちもやきもきしました~w
シナリオでは、まず騙すには味方から。隠し扉からティアが「てへっ」って感じで出てきたのには
「おい、おまえwww」と思わずつっこみがw
後の重要人物であるルキウスやシスティナも登場しました。
■コレット&ラヴィリア
3章は結構ご都合主義でしたねw処刑台でのシーンのことですw
ただ、それをカバーできるほどの、驚愕の事実が本章で判明するので、さほど気になりませんでしたが。
それと崩壊でしょう。いやぁ、あの演出(崩壊のアニメーションとヴィノレタの扉を開ける演出)には参りました。
崩壊後は「あのヴィノレタが!?嘘だ嘘だ嘘だ」って感じでクリックが止まらなかったですw
それにしてもラヴィの血みどろのCGはちょっとだけトラウマですね(汗
いや、だって個人的にヒロインの中で一番ラヴィがタイプだったんで。。。
(人気投票では攻略ヒロインの中でビリケッツだったのにはショックでした(泣)
ラヴィの声優さんはホントに新人の方なんでしょうか。。。?
存じませんでしたが、かなり声も気に入りました。エロシーンも意外と上手かったと思います。
とにかくこの世間知らずな二人には今までの聖堂での暮らしから、普通の暮らしに早く慣れて欲しいですね。
そういえば、書いてて思い出しましたが、ナダルってどうなったんでしたっけ?
ティア編の武装蜂起あたりでしれっとテキストに死んだ的なのを見た様な見なかった様な。。。
■リシア
リシアたんかわいいよリシアたん。。。
とまぁ、普段は高貴な態度だが、2人っきりになると好き好きオーラだすようなキャラは個人的に大好物なんです。
リシア編ではホントに色々と問題や謎が出てきてホントあっという間に終わってしまいましたね。
ここはもう少しシナリオの尺を長くしてもよかったかもしれません。
特にヴァリアス。城の庭でリシアがヴァリアスを説得して、「リシア様に続け~」みたいな呼びかけで
後ろに居た近衛騎士団が一斉に立ち上がるシーンで何故かウルっときましたwww
だので、共通ルートでは是非ともヴァリアスに生きていて欲しかった。。。
リシア編は王冠のエピソードといい、伏線やいい話が盛りだくさんで何度も言いますがホント良かったです。
個人的には庭師のじいさん。あれも良かった。
初め、カイムが「ちょっと話をいいか」みたいな感じで声かけた時は悪いやつなんじゃ。。。と疑ってましたが
このじいさんも中々にいい人で良かったです。
このじいさんやサイ、赤毛とデブの羽狩りとか立ち絵が無いけど魅力的なキャラが沢山登場したのも印象的ですね。
因みに私は、お城の中の背景に王の肖像画が描かれてるじゃないですか。
ティアが年寄り2人が揉めてケンカしてる夢を見たとのシーンがあったので、
「あれ、あの夢のオヤジってこの肖像画の人(王様)なんじゃね?」と思ってましたが
(この時点では夢の中のオヤジが誰だか判明してなかった)ティアを城に連れて行った時にティアが無反応だったので
「あれ、おっかしいな~?」と思っていたら執政公と王ではなかったんですよね。。。すっかり騙されましたよ。。。
■ティア
先にも記載したとおり、5章ではちょっとここはこうした方が良かったかなというのがあって中々書きづらいですね。
もうティア編はライターさんが決めた以上はこう!と割り切るのも手かもしれません。
本当はナウシカやもののけみたいなラストを書きたかったのかな?とも思いましたが、
少々ケツカッチンで、もやもやしてしまいましたね。
ティアはカイムのため辛い実験にも耐えて、それでもなお、カイムや周囲には笑っているような強くて優しい娘なので
ホント5章こそご都合主義でよいからティアに幸せになって欲しかったです。
いや、ティアはティア自身の「カイムを護る」という役目を果たせたので、体は無くなってしまっても
最後はまだ幸せだったのかなと割り切ることが出来ます。
ただ、本作の最大のテーマであり、カイム自身のテーマでもある「己の生きる意味」
カイムはティア編でやっとそれを見つけることが出来ましたが、このティアのいない世界ではある意味
カイムの生きる意味は無くなったに等しいと思います。
果たして、新たな生きる意味を見出すことが出来たのかどうか。。。
おまけシナリオの楽園幻想はカイムが生きる意味を失って、自暴自棄の果てに見ることが出来た夢に思えてなりません。。。
カイム自身、壮絶な人生を送ってきたのでカイムもまた幸せになって欲しいです。