深い絆を描いた名作
昔PKG版をプレイ済みでしたが、DL版にて再プレイ。
女性ライターのためか心理描写が繊細で丁寧です。
心の絆をここまで濃密に描いた百合ゲーは稀有。
魂の片割れという表現に相応しいカップルだった。
終盤までは女学園という箱庭の中で物語が展開され、戦闘アニメも今見たらチープ感はあります。
ジャンルが耽美系少女漫画風とあるだけに、学園の世界観はウテナやストパニ、舞Hime系です。
文体に少し癖がありますが緻密な心理描写と神秘的で美しいBGM、特に理多の歌(ED「コイノニア」)や演技が素晴らしい働きをしてくれた。
理理がノエルをバックハグして、すすり泣きながら秘めていた想いをぶつけるシーンはもらい泣きしそうになりました。
葵や雪野といったサブキャラのバックグラウンドもしっかりしており、どうしても思い入れが強くなる。
ピアニスト志望の雪野が弾く(という設定)ピアノ曲「親友へ、別れのために」は今でも聴いているレベル。
雪野が唯一の肉親である兄の子を妊娠しているのもショッキングでしたが、
組織に拉致監禁され指をバキバキに折られた上に輪姦され、その後は路上に打ち捨てられて車で何度も轢かれる展開は当時なかなか立ち直れなかった。
ノエルが裕樹(兄役の保護者)とペッティングしたり、意識を失っている間にモブ男にレイプされるという、本来百合好きにとって核地雷級の展開がありますが、理理ノエルの絆の前では障害にすらなりません。
ちなみにドラマCDでは理理は「一生処女(男性経験なし)でいる」と覚悟を決めています。
ノエルが好き故に怖気づいて理理とHしない選択肢を選び、プラトニックを貫いても、理理の愛は少しも揺らがず正史エンディングに進めます。
互いへの想いは恋愛感情として自覚し伝え合っていますが、理理の方はそれを超えた深い母性愛、神の愛に近い気がする。
CVや音楽は文句のつけようがないほどこの作品にぴったりマッチしているので、システム、キャラデザや絵を今風にして(特に理理のアホ毛丸顔や、お蝶婦人風の貴子、葵の青いアイシャドウ厚塗りは時代を感じる)、CSでもいいからリメイクして欲しい。
後世に伝えて欲しい作品。