主題として提示された「王国の発展」を達成する為に用意されている課題である、「学園の経営と学生の輩出」が、 ゲームの展開、エンディングに影響しないという奇妙なゲーム。そのため、主題はハリボテ同然。 プレイヤーが与えられた主題「国の発展」を達成する為に経営という課題をこなしても、物語上で報われない事、 それに加えてゲームバランスが緩すぎるので大幅に減点。ゲームの箱(パッケージ)に描かれているイラストのキャラクター以外の扱いがぞんざい。 それは、学園、王国、経営パート、ゲームの目的、学生の扱いなど、このゲームをやる上での部分、やっている間の部分について、(主人公とヒロイン以外)、各種設定からエンディングまで、様々な要素の扱いが適当かつ描写不足。経営シュミレーション部分側が「退屈な作業」。
「王国の発展のために人材が必要なので、学園を興し、優秀な人材を育成せよ」
国からそう命を受け主人公が学園長として学園を経営する話。
学園建設予定地に学園の精霊がいたり他にも古代の6大精霊やほぼ不老の長寿族、
天界や魔界、天使と悪魔などファンタジー世界を象徴付ける王道の設定などに
期待したし、経営ゲームということで読むだけではなく思考と判断をする場面、
資金やコストなどの数字、、建物の設置場所やノルマ的要素の達成による展開の変化など
ゲーム性にも期待したのだけど……。
経営ゲームとしては中途半端、学園を経営して優秀な人材を育成という部分は
工場から商品が出荷されるシーンを見てるだけのような扱い。
ここはゲームの根幹の部分なのに適当な扱いだったのでがっかり。
それから国という大枠に存在感が無くて設定上存在しているだけのような扱い、まるで空気。
女の子可愛いだけでゲームとしては退屈だったかな。
一言でまとめると、ゲームの箱(パッケージ)に描かれているイラストのキャラクター以外の扱いがぞんざい。
それは、このゲームをやる上での、やっている間のあらゆる部分や要素、設定についてまで多岐にわたる。
主人公とヒロインの女性以外にエンディングまでの揺れ(変化)を左右する人物が登場しないことや、
王国、学園、学生、外国(名前有り)、建設した建物の設備としての掘り下げ(学生に利用されている様子)、
ゲームの目的の人材確保、卒園後の元学生の動向、手段である経営、主人公が行った事業への評価、
発展させた事で生まれた王国やその周辺への影響の言及がない、長寿属性など、様々が適当な扱われ方。
主題として提示された「王国の発展」を達成する為に用意されている課題である、「学園の経営と学生の輩出」が、
ゲームの展開、エンディングに影響しないという奇妙なゲーム。そのため、主題はハリボテ同然。
プレイヤーが与えられた主題「国の発展」を達成する為に経営という課題をこなしても、物語上で報われない事、
それに加えてゲームバランスが緩すぎるので大幅に減点。
主題(動機、目的)の達成のために、プレイヤーが登場人物に心理移入して手を付けた課題(経営と人材輩出)は
物語と対であるべきだと私は思う。
しかし、このゲームではそれが対になっていない。
ストーリーといえる要素がヒロイン関連一辺倒で、作品のテーマとして提示したはすの、「国の発展」を目的とした
経営を軌道に乗せて、発展させた場合という、主題であるはずの発展の中途での過程や発展後という側に重点が
置かれていない。
経営の達成と人材の創出という、主題によってもたらされるゲーム上の課題を達成しても、その主題と課題を
主人公へ与えた肝心の王国やその周囲という大きな部分に関しての物語が動かない。
というよりは、もともとその方面に物語が存在せずにヒロインとの関係性とヒロインに関する物語だけに終始するので、
では「王国の発展の為には優秀な人材が必要だから、学園を興し、多くの学生を迎え入れて教育し、優秀な人材を
輩出、仕官させよ。主人公は学園長となって学園をそのために経営せよ。」という目的はどうなっているのか?
年月の経過で、主人公が与えられた任務の成果は どうなったか?これが、プレイ中にはわからないままだ。
うまく言いにくいが、課題(経営の安定と人材の育成、輩出が順調に進む)を達成すると、達成状況に沿って何らかの
物語が進行し、ヒロインを含めた人間関係も物語の展開に合わせるように同時的に進行、変化するというのが、
(物語と主題が連動してるのであれば)普通であるはずなのだけど。
プレイヤー=主人公として、主題に取り組んで課題を達成し続けているのに、ゲームの目的
(何のための主人公は行動しているのか?)からずれた部分ばかりが盛り上がっている。
それから、何百年規模の大事業という規模の見せ方、携わる主人公組の並外れた長寿性の強調のためか、
1年=1ターンという設定になっているが、そのせいで季節の情緒はまったく無い。
1ターンが1年では、1年という期間も1日のように感じられてしまう。100年でも100日と何が違うのか?
卒業と入学シーンが100回表示されれば100年なのだと。では、それで良いのだろうか?年月に意味があるのか?
これといった文章もなく1クリックで過ぎ去る1年など、年月の重みが生まれる筈がない。
季節感がないので、お約束というか、ありがちな季節イベントも乏しい。
◆作業と感じる理由の例
発展=王国内の様子の画面で、動き回る人が増えるだけ。
自国からの要望が何年過ぎても変化が無い。経営状態の進行度、状況での変化もない。
また、国の要望を達成できなかった場合の、重大なペナルティもない。
収入施設の工場建設が容易で工場が建つようになれば経営とはいえないほどに資金飽和になる。
工場さえ建てば、資金面がすぐ安定化する。工場1個分の資金がたまれば後は数ターンごとに次の工場が建てられる。
「作中に存在している数少ない顔、名前のあるキャラ」のヒロインと会話する以外することが無くなるのが早い。
建築、会話など指令コマンド選択⇒キャラ会話(学生のネタ会話)⇒人材結果/仕官先決定⇒収支
卒業シーンか入学シーン、小ネタ会話⇒指令コマンド選択の繰り返し、という状態には早期になる。
また、ゲームオーバー要因は破産だけで、通常プレイなら賭博場による破産以外ではまず破産しない。
周回前提ゲームであり、破産するか、うまくいかなくてもう一周するかのどちらかでしかない。
◆物語上の部分での作業感
膨大な人間が入学と卒業を繰り返すが、卒業した後の足跡に触れられるような卒業生は
存在しない(そういったサブキャラがいない)し、王国の発展を示唆するイベントも発生しない。
主人公の目的は、学園を経営して人材を送り出す事で、送り出した人材が国に寄与する学園を、と。
お題だけども、主人公が年月費やして卒業させた人材は、中でも優秀なものもいるだろうに
モブ1名さえ固有の名前すら出てこない。あの子はどうだった、どうなった?というのがない。
学生の扱いがそんななんで、3国+学園の4国に卒業生の進路を設定できるが
外国に進路を設定してもまったくシナリオ上でのイベントが発生しない(変化が無い)。
人材を輩出する、という主題がシナリオ展開での分岐に影響しない。
学園が発展したりどこかか人を送り出す事で学園の影響力と組織関係に影響があってもいいのに。
優秀な人材を輩出しても入学、経営(建築)画面、卒業(進路選択)のお決まりのパートだけでイベントがない。
ゲームの目的をとされる人材排出を達成している(達成し続けている)のにお金が増えるだけ。
発展や卒業は該当する職業のモデリングキャラがガサゴソ動くだけのシーンですべて片付けられるので
1年で1ターンという設定もあいまって野菜や肉の出荷と変わりない感覚となり大変味気ない。
学校をがんばって大きくしても、建物大きくなりましたね~とかモブ学生が滑ったギャグ台詞をしゃべるだけ。
25年たちましたね、50年たちましたね、など。ただそれだけ。
新しい建物を建てた時のリアクションはあるが、純粋に、学園経営が軌道に乗ったとか、主人公ががんばったから
優秀な人材を多く得た王国ではこういう動きがあったよ、とか。
卒業生が何人を突破したとか、仕官者が何人突破したとか、純粋な発展した事による直接の影響の描写がなく、
お話の筋に全然影響を与えた形跡が無い。発展したはずなのに、発展であれば年月で目に見えて向上するはずの
日常シーンに何も変化がない。
また、外部イベントがほぼ皆無なので浦島太郎の竜宮か異空間と言うくらいに断絶した雰囲気。
それも、1年=1ターンなのでもうそれは物凄い速度で年月が過ぎ、膨大な卒業生が発生するのに、
王国の「文化上の変化も王国の登場人物の人数、種類」も変化しない。外部へのアクセス、たとえばイベントとしては
発展した町並みを歩いてお店で買い物をする、卒業生と再会するなど。それから、外部(王国や他国)からの学園への
これといったリアクションや反応が発生しないので、遊んでいてもきっとこの先、何か物語の中で意外な出来事や
イベントがありそうだ、とか起きるのでは?と思う事ができず、わくわく、期待感が沸き起こらない。
王国は無意味な課題要求(ゲーム序盤と変化のない)を何十年もし続けている部分がほぼ唯一の外部からの干渉で、
主人公は王国からの代わり映えしない設定としての要望を聴きに行く以外では学園の外に出かけるイベントが
存在しない。ヒロインと外出なんて望むべくもない。
学園建設を希望した国側からの反応もほぼ皆無。外国?関係者の名前すら登場しない。
他国に絡むイベントが用意されていないので、国という概念が早い段階で無意味になる。
設立の経緯から建前では、グリンスヴァール国へも送らないといけない事にはなってるが、自国を仕官先にしなくても
エンディングを問題なく迎えることができるので、自国すらあってもなくても問題がない存在となっている。
◆物語上の部分での作業感*2
何年経っていても王国から行われる要望に変化がない。
30年経っても70年経ってもフリーモードで250年経っても
レグルリアの軍事を1下げろ
学園の評価3増やせ
今から一定期間内に1000人入学させろ
王国へ(誰でもいいので、)16名を仕官させろ
年数の経過や学園の発展度合いで要望の幅が変わってもおかしくない、というか現実的にそうなるはずなのだが。
要望にこたえるメリットは金銭、しかも極わずか。達成できなかった場合でも評価がわずかに減るだけで痛くもかゆくもない。
未達成によるイベントもない(評価は下がりました、といわれるだけ。王国からの評価もごくわずか(2程度)しか減らない)。
致命的な事はおきない為無視してもかまわない。
要求を聞き続けてもシナリオの変化や新しいイベントがおきるわけでもない為要素としては意味がない。
序盤報奨金を得る分には要求を聞くのもいいが結局その程度。 何のためにあるのかわからない。
★主人公のしている事はとてもすごい国家事業のはずなのに、労力が報われた感じがしない。★
◆学園と卒業生
卒業生に一切触れないのでこの学園の何がすごいのかわからない。
一応EDで、選択ヒロインEDキャラは一応卒業してからもすごかったといわれはする。
(ED対象にならなかった生徒ヒロインの進路は言及さえなし)
が、ED迎えていないゲーム中で何年経とうと、モブでは誰一人そのような存在の言及はない。
すごい人をいっぱい輩出したからこの学園はすごい、というならわかるんだが。
卒業生に触れないのであれば他国や自国だけではなく学園さえも空気ではないか?
文章で発展を描写しない、卒業生の功績に触れない、では学園の存在意義をどう考えればよいかもわからない。
学園から輩出される職業で判断するのであれば、主夫や一般市民などのぱっとしない一般国民的存在もいるが、
一方で英雄も魔法使いも医療関係者もいるため、卒園後に学園出身者が各国で活躍する立場を相当数
担ってるはずなのに。
中でも、LV10は学園内の優秀技能者と思われるので、LV10の卒園者が増えるようになったあたりから
国家の繁栄に関わる人もすごい数になってるはずだ。
そのクラスの出身者を何百人輩出してるなら、いちいち描写できないだろうけど何とか考えて欲しかった。
学園出身者が優秀なら何百人も送り出した数十年、2~30年後以降くらいで情勢が激変していないなら
不自然なはず。 すごい功績を残す人とかね。「◆物語上の部分での作業感」、でも書いたけど。
それに、超有能人材をいっぱい送り込めば、学園と自国や他国との関係は劇的に変わるはず……なのだけど
国家間の描写がなく自他国の存在感が希薄なので、全体の世界観レベルでの大きな力関係の変化ってのが
さっぱりわからない。
功績(プレイヤーが操作した結果)が良くも悪くも、評価されないというのは、プレイヤーとしては面白みがなく
つまらない。 出身者名鑑のようなものがあればよかったのに。
◆ヒロイン&H関連
女の子はすごいかわいい。
ヴィヴィの内心があれ(ヴィヴィルートにおける種族上の問題によるあきらめと押さえ込んだクライスへの愛情)なら
他のキャラ別EDが正史なら、彼女にとっては気持ち的に残酷な気がする。
他の学園ができたということで正史がハーレム、もしくはシャルEDだと思われる為、ヴィヴィが不憫かな。
メルエルートのメルエの変心も唐突。ずっと仲良くしてきた描写だったはずでは?
また、「レイプから始まるデレ」というのも奇妙に思える。
★
「性欲がほとんど無いはずの長寿族」なのに長寿族のクライスがHしまくりって、これも設定と矛盾では?。
長寿男が彼以外登場しないので作劇上の都合、仕方ないのだろうけど。
長寿族は一途で想い続けるという設定なのにヴィヴィを差し置いて他の女性に手出し放題で、ルートによっては
すでに最初から全員と関係持った後という設定で開始するし・・・・・・。
水増しHシーン。これも、CGの画力に明確な違いがありすぎる。使えないシーンを増やされても戸惑うだけ。
◆感想
★「奨学金のお礼とレルグリアからの戦争以外で」、人材送った事で発生するイベントを用意してほしい。
★国がらみで士官先に選んだ相手、国ごとに送った人数と質に応じたイベント用意して欲しい。
★仕官させること自体がイベントとして空気なのは致命的。 学園が破綻しなければそれでいいの?
★長寿族という設定も100ターン100年という期間をプレイヤーに遊ばせる為以外に生かされていない。
★年数がたっても、どの人物の老いや死、世代交代も描写されない。
多くの出会いと別れ、生と死、老化が何十年の経過の間であるはずだが、接しているはずの主人公らに
精神のありように深みが生まれているように見えず、相変わらず。
★森の中の学園だけの状態の描写だけで断絶感が強い。
★王国の王、姫の葬儀イベント程度はあってもよいのでは?王国の主人物の世代交代のイベントとか。
★主要キャラを学園外にお出かけさせるイベントがあるほうがよいのではないか?
プレイヤーとしては経営でも戦闘ものでも、シュミレーションゲームはコマンド、選択肢などをプレイヤーが判断して
行動した部分に対して、結果やレスポンスなど反応がゲーム上のシナリオ展開やイベント、数値という形で
返ってくるのが遊ぶ上での大きな楽しみなのだけど、それなのに思考しながら試行(洒落じゃない)するのに
建物とお金が増えて年数が過ぎるだけで学園側の発展イベントも建物イベントに偏り、エンディングまで
ヒロインとの恋愛イベントばかりでは、経営シュミレーション部分側は単なる「退屈な作業」だ。
主題の経営とその功績、結果がストーリーの進展に影響しないのは大きな問題だと思う。
上記1行部分について、ストーリーとなるシナリオがそこに用意されていない事に大きな不満あり。
春夏秋冬(四季)がこの世界観にあっているかどうかはわからないけれど、1年=1ターンという設定自体が意味が薄いと思う。
主人公は王国に理由があって仕事のために呼ばれてやってきたのだという事実がある以上は、その仕事の過程と
評価については、コーエーの三国志のような、文章描写がなくてシュミレーションゲーム部分として数値&結果で
表現するようにする手法に特化しているのではないのだから、文章で見せないとだめだと思うし、
文章での描写を省いてはいけない部分だと思います。
主題がおろそかな作品については音楽やキャラの魅力(声優さんの演技や絵の画力)以外の点は付けようがない。