魅力ある敵がいない シナリオの大筋、世界設定とキャラがいいのにもったいない
サブ主役の兄はまったくダメダメだけど(終盤ある出来事で格好良くなる)
主人公のキャラ造詣は魅力的で本当にいい男ですばらしい。
登場する女性キャラも本当に魅力あふれる。
お話は妹を取り返すところから始まり、規模の大きい実質帝国といえるだけの領土を持つ国に戦を仕掛けると
宣言して徐々に世界の過去と成り立ち、主人公「アロウン」の出自の秘密に迫るという流れで進んでいく。
妹を取り返すのはかなり序盤なのでそこからの敵は野生生物とガイウス率いる帝国兵とが大半でその割合が
シナリオ中7:3ほどというなんとも言えない感じに。カニ、猪などと戦ってばかりでたまに帝国兵。
のんきにのんびりに、と帝国が攻め寄せてきそうでという緊張感はなかった。
堅牢な城に囲まれているので安心しすぎだったのだろうか。
魅力のある敵が1名しかいない。 敵国の国家体制の描写が少ない、ガイウスという敵司令官の男が格好いいのだが
結局彼以上に魅力ある敵役は現れなかった。 彼の退場までに敵国をもう少し前面に出して魅力のある人物を敵側に出し
帝国からの難が去るまでを盛り上げて欲しかった。彼一人で中盤まで引っ張るのはさすがに無理。
ガイウスは特に有能だったと見ているが彼の退場後は帝国はほとんどお話しに関係しなくなっていく。
代わりにアロウンの関係者として帝国側の一員で出てくるあの方(白いの)も流れで言えばかなり登場が唐突で
帝国の一員といっても帝国の立場とは無縁の立ち居地で出てくる。だけどシナリオにあまりからまず世界設定として
存在しているだけのような感じ。
出てきたかと思えばラスボスを置いて倒されて退場。 ラスボスは知性もないただの巨大モンスターで、会話もなく
ただ倒されておしまい。 その後のEDにつながるシーンは及第点以上だけどラスボスが適当なので感動が薄い。
序盤、妹をさらった司祭、ガイウス、中盤明らかになるアロウンの関係者、そして帝国の市長とラスボスの5つくらいしか
まともな敵がいない。 後はケダモノ、兵士、モンスターばかり。
敵役がスカスカ。ガイウスですらもう少し踏み込んで描写して欲しい。戦略的に計算高く武力もあり人間的にもいいのに
登場シーンが少なくて人間像が確かでない。部下とのやり取りなど見たかった。
強大な敵の存在の魅力、対峙で盛り上がるのではなく敵が残す状況によるピンチの描写で盛り上がっていた。
その見せ方はいいのでまだ点数は高め。 敵さん少なすぎですよ、顔絵ありの存在がね。
世界設定はいい、キャラの魅力は主人公側、それとその関係する側のものについてはとてもいいので
その魅力に肩を並べる敵役が登場すればすごい作品になった。ラスボスは?(これなの?唐突)だった。
つくづく敵役と帝国という存在が意味をなしてないと思った。
今まで起きていたこういうこれこれの出来事は実はこうだったのか!という驚きはなく、過去に起きた戦い、過去の人物など
アロウンと関わった善側登場人物の魅力で盛り上げた作品だったように思う。 対立軸にいる存在を魅力的に描けてない。
それから、過去の時代の描写もアロウンの親とプィルしかいないの? 他の人いなかったの? 出てこないけど
関わった人もう少しいたんじゃないの? プリムラはもう少し描写増やすべきでは?
話は一本道。トータルで見たらよくできている。 本当にもったいない、うたわれるものでは敵役に魅力あったしね。
序盤の村からの反乱を受ける領主。典型的なくずの悪党だけど村側が鬱憤を爆発させるだけのことをしているので。
悪党領主と幼馴染の子供時代はまともだった青年が一緒に登場するのがGood。
ハクオロを狙う戦闘狂、中盤の他部族(その部族も格好いい)ラスボス。
うたわれのラスボスなんてあのラスボスでなければあのシーンにつながらない、ラスボスはあれしか考えられないものだった。
魅せ方もそこにいたるまでに色々燃えたり壊れたり悲しいことがおきたり謎が明らかになったり。
(序盤、村の痩せて荒れた土地に施した土壌改良/村人から見てまじないと思われる。すらかなりの伏線だった)
という事で、主人公側の魅せ方は同等、主人公側のキャラ魅力OKだけど対立軸の見せ方が退化してる。
敵を描写し、魅力のある人物を主人公と対峙させる事で作品に深みが出るはず。
帝国を打倒するぞといったが、妹を取り返したらそっちはもういいのか?
戦いを仕掛けられた側の帝国なんて、規模、威信から一歩も引かないのが普通だと思うのだが。
仕掛けてきたのが小規模の蛮族だとしても戦いを仕掛けられた上、自分の側(帝国ね)が負かされ続けてきたら
全力でつぶしに来るはずなんだが反撃が半端すぎる。だから帝国ってなんなの?ってね。
ガイウス以外では描写不足。 他に将軍とか司令官が1名は必要。 あんな元老院でよく国の規模が維持できるよね?
戦闘相手が小物か獣ばかり。たまにただの帝国兵を引き連れた小悪党と戦っても感動しないし重要な敵役であっても
描写のないまま戦わされては感動も何もない。
ラスボスを無個性の超兵器獣にすると倒した後からEDへの一本道までのシーンの感動も薄い。
黄金の時代、なんていう魅力のある設定があるなら描写すべきだ。300年前の勝利後の描写がまったくないのは失敗。
例えプィルの作った国が徐々に滅び行くとしても、300年の描写の一部があるのとないのとでは大違い。
もったいない部分が多い作品。
登場人物ではアルサルの人の話を聞こうとしないところが少し嫌だったかな。
★まとめ
帝国と敵対しているのに戦闘が動物相手ばかりで?
もっとシナリオの山、谷で魅力のある敵を用意してほしかった。ラスボスがチープ。
過去編、黄金の時代ををもう少ししっかりとやってほしい。アロウンが倒れてからプィルだけになった時点から
現代までが空白すぎる。