取引先との関係を重視した面白い視点で描かれる経営SLG(RPG要素もあるよ)
経営SLGとしても比較的良質な部類に収まったといえる。具体的には仕入先を重視するシステムであるため、各組織との関係強化が欠かせないことを示したゲームデザインは世界観の構築にも影響していることに興味を覚えた。経営SLGゲームでも仕入先に着目する例は殆どなく(どちらかというと面倒だと捨象される部分)、これは積極的に讃えたい。
欲を言えばお気に入りのスタッフ候補(冒険者)にはこちらからスタッフにスカウトできるシステム、宿屋としての規模や名声が上がるごとに台詞の変わるモブ(当初は「小さな落ち着ける宿ですね」から「賑やかになってきたな」に変化するようなもの)や現状の経営についての客からの不満や要望、宿屋としてのアメニティ等のグレードアップ、素材の仕入れを冒険者にも依頼できるクエスト発注といった経営ゲームとしてカスタマイズしやすい機能があればよりよかっただろう。もし、EXとは別に有料のマシマシアップデートのようなものを作るつもりならいれて欲しいところ。
シナリオは(最近の流行りものも混じっているとはいえ)主として90年代ライトノベルを意識したもので、未成年期にそれらを読んでいた身としても存分に楽しめた。異世界転生の皮を被っているが、実際には死神に一目惚れされて運命共同体になる物語で、シイネが主人公が(人間として)誰とセックスしようが気にしないのは、正妻としての余裕であるのと同時にシイネなりの葛藤だったのだろうか。言い方を変えれば、彼氏(夫)寝取らせものと言えるかもしれない。これはダンジョンタウンの主人公がEX終了時点ではどのヒロインにも独占されていないのとある意味で対照的。メインヒロイン(というか妻)のシイネのみサークル主宰者の作画で、それ以外のヒロインが他の絵師になっているのも、主人公のパートナーはどこまでいってもシイネですよという制作側のメッセージのようにも感じた。
シイネを除くヒロインの中ではミルテがお気に入り。
ダンジョン探索ゲームとしてもバランスがお気に入りで、個人的にはかなり好み。特に上位装備に切り替えるタイミングを見極めるのが楽しくて、経営SLG要素と併せて周回プレイのモチベーションの一つになっている。
同人エロゲは寝取られ・寝取らせが中心になっている中、妥協案とはいえ娼館部分は夢の中だけの話にしたのは個人的には英断の類。ダンジョンタウンにもあった密着モードでセックス(密着合体モード)に持ち込める機能さえあればいうことはなかったが、削除されたのは残念。それこそ、(本編で事実上自由に起こせるのは当然として)自由に密着モード・密着合体モードが時間無制限、どちらが何度でもイくことのできるフリープレイのおまけでもあればエロ方面での満足度は十分すぎるほどだったろうに。個人的には本編中におけるそれ以外のモブの陵辱すら必要ないとすら思える。今後のアップデートに期待する。