唯一無二の作品
「普通の人たち」の中で生活できない精神構造をもつ青少年たちが導きだす、「人はなぜ、人を必要とするのか」という問いに対する答えの話。友情、家族、恋すべての要素がその中に盛り込まれている。
攻略(ギャルゲーにおいてこれほど空虚な言葉はない)順などはなく、それぞれのルートは1本道になっている。
主人公の躁的なモノローグ、自転車に乗る意味深な少女、心に「群青」を持っている8人の生徒たち。
それらすべてが「交差」し、圧巻のエンディングへと向かっていく。築き上げることは、心を傷だらけにすることだと改めて実感。
個人的には冬子の気高さと脆さに胸をうたれたし、美希と太一の恋物語はまさしくループものでしかできない表現であったし、霧の臆病な潔癖さを魅力的だと思った。そして主人公に寄り添いつつも、最も遠い存在、曜子のシナリオは特に必見。
このジャンルに興味を持ったなら、出来るだけ早い段階で手にとっておくべき傑作。