破綻のないシナリオと、十分なゲーム性のおかげで、全体としてみれば十分にお勧めできる。
別のブランドでは、大したゲーム性でないにもかかわらず、シナリオが完全に破綻している物がある中で、「普通にやれるレベルでのシナリオ」を持っていることは評価できる。
FPS部分は、敵が山ほど重なったときに、少し処理落ちすることがあるが、それでも致命的とまでは言えないほどに抑えてあることは高評価だ。
また、マップがごく一部を除き広くないため、迷子になって無駄に時間をとられることがないことも良い。
シナリオについても、ある程度のバックボーンを構築しており、分岐してもかなりの水準で破綻を見せていないところは良い。
そして、分岐した後に、自然にエンディングに向かっていくので、実はご都合主義ではあるが、それが違和感を持って受け入れられることはない。
ただし。
では、完全無欠かと言われれば、決してそうではない。
まずFPS部分だが、一般向けとしては許容される操作方法だが、エロゲユーザーはライトゲーマーが多いため、遙かに簡略化する必要があっただろう。
キーボードとマウスの併用は、非常に面倒だ。
また、FPSでの基本的な戦闘方法が「移動しながらの遠距離攻撃」になるため、刀の存在意義は最後まで感じなかった。
これは、刀の攻撃力が大したことがないことと、至近距離でしか攻撃が当たらないこと、そして連続攻撃をいつまでも続けられないことも相まって、刀は完全に要らない子に転落した。
同様に、人間の限界として、マウスの超連射を何分も継続できない問題があるため、フルオートのマシンガン以外の武器は実用にならなかった。
この問題は、単純に、「マウス1回で発砲1回」で有ることに起因し、いちいち狙いを定めてクリックするよりも、マシンガンを左右に持たせ、自動的に連射させていた方が圧倒的に楽で、戦略性も高くなる。
つまり、殆どの人が、FPS部分では早々に「左右にマシンガン」にしてしまう。
シナリオについてもだが。
どうにも世界が狭すぎる。
「とりあえずアルバイト気分」で乗り込んでいった島が、いきなり「最後の舞台」に変貌するのは、いくら何でも強引すぎる。
というよりも、その程度で終わる話なのなら、なぜ大風呂敷を広げたのかさっぱりわからない。
島をいくつも盥回しにされた後に、ようやくNon-Humanを追い詰めましたとした方が、遙かにシナリオに奥行きが出た。
結論を言えば、十分な出来だ。
ゲームをする中にエロがあることを求める人には、これ以上最適な物はないだろう。
少々複雑な操作を許せる人であれば、この作品は十分お薦めできる。