久々に「elfらしい」と感じさせるような作品だった。
建物内に終始する移動範囲、その中でフラグを立てるだけの作業的な物である問題はあるが、それでも最後までやる気を持続させる事が出来る出来になっている。
問題がないわけではない。
まず大きな問題が、シナリオ分岐と移動が殆ど関連していない事だ。
各種エンディングは、この作品の大きな特徴である移動部分で決定されるのではなく、単純に選択肢で決定されてしまう。
このことから、総合的に見た場合、「移動シーンは必要だったのか？」との疑念を抱かざるを得ない。
また、シナリオそのものにも大きな問題がある。
というのも、この作品のシナリオは一本だけであり、他のエンディングはバッドエンド程度の位置づけしかないためだ。
一度でも、その本当のシナリオに入って、選択肢も全く誤らずにクリアしてしまうと、この作品をどのように遊べばよいのかが分からなくなってしまう。
出来れば、「もしも」という話があって、名探偵ぶりを見せつけるとか、次々と陰謀をくじいていくとか、逆に利用するとか、そういう事があった方がずっと評価が上がる要因になっただろう。
丁度、話の折り返し地点で終わってしまった幹事で、これからが本当に面白くなる部分を見極められていなかったのが残念だ。
とは言え、品質の面で言えば、際だって良い代物だ。
安定しきっている絵と言い、全く動作に問題がない部分と言い、誤字脱字が見あたらない事と言い、さすがはelfだと言える。
少々残念な部分が見えたが、「選択肢ミス＝バッドエンド」と言うシビアな部分が、どんどん引き込ませる。
話自体も、少々足りない感じはあるが、それでも魅力のある物だ。
恋愛云々のネタに飽きた人には、強く勧められる。