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oldreavesさんの終末の過ごし方 DVDの長文感想

ユーザー
oldreaves
ゲーム
終末の過ごし方 DVD
ブランド
アボガドパワーズ
得点
70
参照数
86

一言コメント

世紀末の雰囲気が濃密に結晶している終末モノではあるが、よくよく読んでいくと熱血自己啓発ノリに収束しているのが残念

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

総プレイ時間:4時間35分


・感想まとめ
99年の作品ということで、同年の『終ノ空』と同じく世紀末の終末思想観が色濃く直截に反映されていた。正統的なポスト・エヴァ=セカイ系の建て付けと雰囲気。2ヶ月前に全世界的に宣言された『終末』とは何なのか、どうして起こるのか、本当に起こるのか、その後はどうなったのか、なにも説明されずに終わる。(これは必然だろう)

しかしながら、建て付けはセカイ系で雰囲気は耽美な映画か小説のようだが、物語を進めていき「ヒロイン」たちと結ばれようとする段になるとメッキが剥がれて、途端に熱血少年マンガか体育会系・自己啓発系のノリ──終末だからって「無為」に過ごすな!逃げるな!ちゃんと自分の気持ちに素直になって他人と向き合え!──になるので面食らった。
個人的に「終末」モノの重要なポイントのひとつに、何歳だろうが等しく終わりを間近に約束されることで、「逃げる/逃げない」とか「無為/有為」とかいった二項対立が失効してしまったうえでどうやって過ごすのか、という問題系を扱うことになる特徴があるように思っていたのだけれど、本作ではふつうに「逃げるな」「有意義に過ごそう」的なノリで最後まで進んでしまうので、えぇ……終末モノの意味あった?となってしまった。死ぬという「結果」は変わらないとしても、どう生きてどう死ぬかという「過程」こそが大事なんだうおおおお!!という実存主義を誤解した薄っぺらいトーンで感動できる人間では残念ながらなかった。なまじ雰囲気が良いだけに、それを壊さずに最後までやってほしかったのだが、陳腐さを隠しきれていなかった。

男3人、女6人の計9名のキャラが登場して、主人公の知裕は4人のヒロインそれぞれの√があり、残りの男女4人はそれぞれ留希-多弘、千絵子-重久という固定ペアになっていた。しかし終わってみれば、好みだったといえるのは保健室でのおねショタカップル留希-多弘ペアだけで、あとはまぁ……という感じだった。短編ゲームで尺が短いので掘り下げや積み重ねが足りないのは仕方ないとはいえ。。
ともに「終わり」が迫る時期の学校を舞台にしている点で、『Crescendo ~永遠だと思っていたあの頃~』(2001)とかなり雰囲気が似ていた。終末エロゲも卒業エロゲも実質同じ。終わりまでの残り少ない期間で恋愛してエッチしようぜ!という話になりがちなので。

ビジュアル面は、背景美術が淡い水彩画のようなタッチで素晴らしかった。キャラのCGは目線が鋭いものが多くて好ましかった。立ち絵が画面の中央ではなく左右にズレて映されることが多かったのも、背景とのマッチ具合からしても、「終末」の雰囲気の醸成にしてもなんか良かった。

そういえばヒロイン全員眼鏡(男も3人中2人眼鏡)の、まごうことなき眼鏡ゲーでしたね。これも眼鏡ヒロインが最前線で戦えていた時代の産物ってかんじがして趣深かったです。キャラデザが似てるので正直あんまり区別つかないまま終わっちゃったけど……




・感想メモ

月曜日
全画面ビジュアルノベル形式
「メッセージ履歴ツール」で小さな別ウィンドウを出して、テキスト履歴を見る。
いちいち場所を戯曲のト書きのように併記する。これ三人称の語り手か?
私立緑山高校・3年A組
キャラ多すぎてわからん。眼鏡多くない? もしや全員か?
立ち絵はなく、すべて全画面のスチルでやっていくのか。背景美術が淡い水彩画みたいで良い
いや、タイトルコール後に立ち絵出てきた。耕野知裕(ちひろ)って男子がいちおう主人公らしい。
でも知裕の立ち絵も出てきた。
中学生の頃にちひろは少しだけ宮森香織と付き合って別れた。緑とは幼馴染。ツンデレ眼鏡文学女子
『終末』が世界的に宣言されて、あと一週間しかない状態でも惰性で学校が続いている?
>その場にいる
保健室の看護教諭:留希と、医者の息子:多弘  ここの保健室シーンは三人称だ。
運動場。陸上眼鏡少女の千絵子と、鼻眼鏡ヒゲ男子の重久がカップリングか。三人称
知裕のパートも、彼に焦点化しているだけで厳密には三人称だな。
屋上。天文部2年のショートカットメガネ女子:大村いろは  天文部1年のデカリボン眼鏡元気少女:歌奈となかよし
……マジで眼鏡キャラしかいないな? 多弘だけ違うか
立ち絵の表示が中央ではなく少し左右どちらかに寄っているのが特徴的だ。ふたり表示させるため?
男3、女6、計9名の登場人物による群像劇かな
教室(香織)・図書室(緑)・屋上(いろは、歌奈)・保健室(留希、多弘)・運動場(千絵子、重久)と8人は場所がある程度定まっていて、知裕だけ前3つの場所を移動できる。
>大回避行動

火曜日
これ一週間たって「週末」になったら終末が来るってことか。「残された5日間」らしい
いまだに学校に来ているのは家族や恋人などと『終末』を過ごすことを選んでいない、不器用な人々
重久って生徒じゃなくて部外者なのか……
>教室にいる
保健室のおねショタ平和でいいな…… いっぽう教室では元カノと幼馴染の三角関係が……
留希センセーが同棲してた元彼の話題を……
『終末』─死の前に人は平等になり、子供と大人、生徒と教師といったしがらみが無くなる。
強姦も増えている。そりゃそうだろうけど、ギャルゲでは特に重要だ。
重久ってマジでおじさんなの? 年齢不詳 
終末の過ごし方と「自殺」 『終末』を救済だと思えば、逃げてしまえば自殺になる。しかし逃げない過ごし方とは?
重久の兄は32歳教師で14歳の教え子に手を出して無理心中…… もしかして千絵子はその教え子の姉妹とか?
シゲさんの大人な深そうなお言葉
知裕は元陸上部だが怪我で辞めた。陸上名門校らしい

水曜日
ラジオが止まった
>教室にいる
あと数日で滅ぶというのに真面目に学校に来て授業を聞いているのは果たして「優等生」なのだろうか
非常事態下でも日常を送ろうとする。のちの『がっこうぐらし』や『少女終末旅行』などと同系譜か。
映画と小説の両取り、中間みたいな叙情を志向した演出/文体
「終末」モノのノベルゲームに選択肢/分岐があるってことは、何度も物語を繰り返すことが前提になっているわけで、それは「終末」というコンセプトとは素朴に矛盾する気がする。どうなるんだろう
BGMがプツプツいってる〜〜どんどん悪化している PCM再生ツールで間隔を長く取ってみる
多弘の父親(開業医)はノイローゼで強迫性障害になった妻を軟禁して自殺に追い込んだ……重ッ
いっぽうの留希センセーのほうもまた重い。元彼と同じく外科医志望だったが、女性医師への門戸の狭さから断念して養護教諭へ。7年付き合って2ヶ月前に、相手に院長娘の婚約者が出来てフラれた。そして『終末』宣言。(約2ヶ月前ってことか) 元彼の病院から医薬品をぶんどってきて最後にお医者さんごっこ……
あっ、これエロゲなんだ…… 全年齢かと思ってた
留希センセーのガーターストッキングえっろ。そりゃそうか、昨日のために勝負下着を……
「クレヴァス」って割れ目か
そのまま一日が終わった……留希センセーめっちゃエッチで最高でした おねショタ!!! 生徒を「少年」と呼ぶお下げ眼鏡巨乳保健室の先生ヒロイン最高!!!

木曜日
ラジオも政府直轄になったが電波ジャックして放送継続
>このままいる
>香織「…みんな私の事を真面目だっていうけど、私は真面目なんかじゃないわ。他にどうしていいかわからないだけ」
宮森香織さん、羽川翼っぽいんだよな
弟が生まれて、父親が自分に跡継ぎのことを話さなくなった。親の気を引くために良い子になろうとした。
>このままいる
運動場。重久パートでも選択肢あるんだ
>それは違うと励ます
夕方、公園のブランコで知裕が多弘を
>はげます
ええ……重久、歳上と見せかけて実は同年代な気がするけど、にしてもこれは強姦っぽくないか? 怖いよ。これが「逃げない」ってことなのかよ というか、深そうな台詞も要するにぜんぶ、好きな子とヤるためのものだったのか。兄と同じ轍を……
留希と多弘のおねショタは受け入れられるが、男が歳上かつやや強引に主導するのはヒヤヒヤしてしまう。
しかしながらエロシーンのスチルも素晴らしいなぁ。
がっつりHシーンあるってことは、屋上のふたりはどうするんだろう。同性でするのか、知裕とやるのか

金曜日
DJのひとがいちばん立派だよほんと
露骨に4ヒロインの√分岐してわろた 屋上のふたりも知裕との組み合わせか〜
>香織
付き合っていたのは4年前。
あっさり復縁、仲直り。右側の香織と手を繋ぐために知裕の立ち絵が中央に表示されている。
ヤマアラシのジレンマノルマ達成 ほんと90年代ポストエヴァ〜セカイ系の流れを直球に汲んでいるな
終末バーゲンセールでヤりまくろう! 『Crescendo ~永遠だと思っていたあの頃~』的な、卒業間近の時期を扱ったエロゲとも構造/雰囲気が似ている。あるいは最終回発情期か
陸上×パンのペアはなんかハッピーエンドを迎えたっぽい。こいつらになんも感動できないけど幸せそうで何より
香織との性行為。終末モノで膣内射精をしないことの意義とは。香織側は少しは中に出してほしかったらしい
今のところ3日連続でSEX終わりだ。

土曜日
香織は父親のツテで横須賀の米軍基地シェルターへ
千絵子の回想。3つ上の優秀な姉。親までもが姉のおさがりだと気付いた。初めて自分を認めてくれた中学の陸上部顧問が重久の兄だろう。
なんかどのカップルもラストのハッピーエンドに向けて熱血胸熱展開をやってて草 そういうトーンの物語だっけか
やっぱ保健室おねショタカップルしか応援できないな…… こいつらだけは好き
「まるで、ペキンパーの映画のワンフレーズの様に見えた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/サム%E3%83%BBペキンパー
>「──週末さぁ…空いてる?」
これがやりたかったのか〜

終末の日
ロメロ『ゾンビ』 やけに映画ネタ多いな
最後の陶酔的なモノローグ(知裕?)
─良い終末を!

1周目 香織ENDおわり。2時間40分くらい
めっちゃあっさり終わった。『終末』とは一体どんなものなのか、なぜ起こるのか/本当に起こったのか、その後どうなったのかを一切描かずに決然と終わったのは解釈一致で良かった。
重久と千絵子のエピソードが回収されていない。

2周目以降
>緑を追いかける
>受け止める
>教室から出る
ある教室で昼間から堂々とヤるモブカップル。しかも姉弟!?
>図書室
>教室を出る
>図書室
終末期に坂口安吾を読む緑 文字(記録媒体)の獲得こそ人類のアイデンティティ ノベルゲームへのメタ言及
本好きだけど読むの遅い緑さんいいな
>教室から出る
>緑の事
「書を捨てよ、町へ出よう」…… 儚い叙情を志向していると見せかけてけっきょくノリが熱血少年マンガというか体育会系?なんだよな。終末だろうと逃げるな!好きなコに会いにいってセックスしろ!!という……。セカイ系の建て付けも、それを率直にやるためのお膳立てに過ぎない。
「終末」モノの面白さって、「逃げる/逃げない」などの問題系が失効するところにあると思うんだけど、そういう方向を期待していた自分が間違いだったかな
緑がこっちを見るスチルの表情目線差分よすぎる
>何も言えず押し黙る
>一緒に悩む
>緑
いつの間にこんないい雰囲気になってるの この横からの両眼鏡スチルいいな
えっ、本読むのも遅くなかったのか……ちひろと長く一緒にいるために……帰り道わざとゆっくり歩く理論やないか! 裏切られた〜
しょうじき、ヒロインみんな同じ顔に見えて区別がつかない…… 眼鏡ばっかだから……
香織もたしかそうだったけど行為時の腕時計が気になる
・おしまいの日
千絵子-重久と、多弘-留希は結ばれなかった。
緑ENDおわり!!


3周目。あとは屋上勢の√を回収する。
火曜日
>屋上
月の成立。地球の「出産説」
やっぱり「因果もはっきりしないまま滅亡の事実だけがある」んだ
>屋上
「疎開」とかあるんだ
>教室から出る
>いろはの事
大村いろはさんは病弱ヒロインだった…… 洞機能不全症候群 
ペースメーカーのリチウム電池交換を2年前から拒否している
>いろは──
屋上をふたりだけの「世界」にする
入院で留年していたため後輩だが同年齢
知裕は靭帯を切って陸上を辞めたのか
都合良くヤるためだけの心臓病設定!! 終末モノに病弱ヒロインを重ねるのってよくあるのかな
病身とセックスする後ろめたさを「どうせもうすぐみんな死ぬんだし」でかき消せる
胸の手術跡だって「記号/属性」として消費対象になる スレンダーでもある
そのための体操マット! 密閉された屋上青姦だ!
「りゅいりゅいと股間を突き上げてくる」ってどういう擬態語
今にも死にそうな病身ヒロインからこそすべてを包み込んで「聖母」になれるという逆説
けっきょくドアノブを破壊して帰宅したんかい
>「もし、世界が終わらなかったら」
>「ん──…」
>「一緒にラーメン食べにいかん?」
>「んー。オレ、ソバ」
>「──うん」
いろはENDおわり!!

4周目。歌奈√
>歌奈の事
>歌奈──
稲穂歌奈っていうんだ
>あきらめる
ひとりEND
>大回避行動
>保健室
ここで歌奈に会って√のフラグを立てるのね
>もう少し探す
「戦後半世紀以上を経て」ってこれが発売された2000年代初頭の設定なのかこれ 近未来じゃなくて
>歌奈──
私服の白タイツ 背面座位
スチルのトランジション演出がパワポ初心者みたいでウケる
明らかにいちばん手抜きだったな歌奈√…… ひらすらにポジティブで元気な良い子ではあった。
歌奈ENDおわり!


これで全回収したかな
回想モードで「覗き1H回想」というのだけ気になる。「覗き2H回想」があるってこと? CGモード見る限り、そうっぽいな……
http://sagaoz.net/foolmaker/game/s/weekend.html
レズビアンプレイか〜〜オマケ要素で付けてくるのが時代だな〜〜  有里と玲子

全回収おわり!
CGモードで背景スチルも見せてくれるのが嬉しい