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myself6さんのランス・クエストの長文感想

ユーザー
myself6
ゲーム
ランス・クエスト
ブランド
ALICESOFT
得点
50
参照数
4369

一言コメント

なにがあれかって「雑魚とか後回しだー!スキル回数の計算なんて誰かにやらせとけー!俺はボスの女の子にしか興味はないのだ!わははははは」とか素で言いそうな爽快な主人公でありながら、やってることは素晴らしくストレスのたまるちまちまちまちまとしたスキル回数のやりくりなんですよね…。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ランスクエストのもっとも大きな特徴はスキル回数を使って難易度調節したことだと思います。
普通のRPGではほぼ使い放題に近い通常攻撃ですらランスクエストでは7回程度しか使えません。結果、雑魚と遊びすぎると全員攻撃ができなくなって全滅します。
加えて逃げるコマンドがほぼないに等しく、待機コマンドもないので雑魚をやりすごすこともできません。(逃げるはランスのスキルで2回使えるだけ。戦闘開始直後は20%で失敗しても消費)


先の見えないダンジョン探索で、少ないスキル回数をいかにやりくりして雑魚を倒しながら来るべきボスに備えて進むか!

という今までのRPGにはなかった非常に面白い発想を元にしっかりとしたバランス調整もされデスペナもないので安心して死ねる親切設計で作られてます。
なのでとても面白いです
面白いですが、 爽 快 感 が ね ぇ 。
もう一度言います、
  爽  快  感  が  ね  ぇ  。

強い弱いに関係なく一定以上雑魚とエンカウントしたら終わりですので、切迫した状況になると「雑魚でないでくれ~!頼むから!あと少しなんだから!」と祈るような気持ちで進みます。
ところが、そういう時に限って雑魚がでてきて、スキルが足りなくなって、1からそのクエストをやり直す羽目になるわけです。
その時はイベントもまた1から見ないといけません。マッピングしてくれないので忘れた部分はまた探し直しです。
強い敵にやられたとかならまだ納得もできますが、やられているのは焦土作戦並みの絡め手です。しかもボスがやっているわけではなく雑魚がそれをやっているわけです。
そりゃストレスもたまるわ。



あまり関係はないのですが、同じくエロゲのRPGで遠望のフェルシスというゲームがありますが、あれの良かったところはこれとは真逆の「鬼畜なボスと、パフスキルを使いまくり、MP回復を利用して魔法打ち放題の爽快なバトル」という王道な良さにあったんだろうな~と思いました。ランスクエストが合わなかった人はぜひやってみてください。ただし絵は期待したら負けです。




ストレスがたまるのは、これだけではありません。
新しく入る仲間に関してもいらっとする場面があります。
というのも、新しく入ってくるキャラは大抵既存の育てたキャラよりも成長限界が大きくスキルも優秀で…早い話が未来があるわけです。
それでいながらLv1で入ってくるのでまともに使うとなると少しは育てないといけません。
つまりはこんな感じです。

魔法使いが足りないから今まで放置してたあいつを育てよう!
→よし、ようやく育ったから少し進めるかな
→新しいキャラがはいってくる
→育てたキャラより何倍も未来があるのでそっちを使わないといけないことが目に見えてる
→ところが、新しく入ってくるキャラはLv1…
→また、レベル上げかよ…

なんというかキャラ選択の自由が狭いんです。古いキャラはステータスは悪いけど覚えるスキルがいい、といった個別差があるわけではなく本当にただの劣化版です。
愛着ってなぁに?というレベルで消えていくキャラ達には涙を禁じえません。



爽快感のないバトル、自由度の低さと聞くと思いだすのが大帝国です。
大帝国も詰み将棋と例えられるほど自由度が低く、ちまちまちまちまとしたものでした。
一体、アリスは大帝国の失敗から何を学んだんでしょうね。
好きな会社だけに残念です。