キャラゲーとしては優秀。中盤まではイベントとキャラの掘り下げが絶妙なバランスで飽きさせない。ただし個別に入ってからはありがちな展開の連続なので本数をこなしているプレイヤーからしたら退屈。ずっと共通ルートのままでいてほしい。図書部の日常をもっと見たい。そう感じさせてくれる作品でした。
オーガストの作品はユースティアと本作しかプレイしていませんが、ここのブランドはキャラ作りが本当に丁寧だと感じました。他のキャラゲーにありがちな奇人変人や萌特化といった濃いキャラは皆無なのに、魅力的なキャラばかりです。原画やキャラ自身の魅力もそうですが、今回キャラの魅力を引き出した一番の功労者は主人公である筧京太郎かと。本作の主人公は周囲をよく観察するタイプで、長所も短所も見抜いて、しかもそれを独り語りとしてプレイヤーに伝える役目を果たしてくれます。だから共通ルートのうちからヒロインについて十分に掘り下げが出来ていて、感情移入しやすい→魅力的なキャラに見えるといった感じです。個人的に気に入ったのは佳奈、玉藻、凪の三人ですね。
一見しっかり者に見えて、誰かに舵を取ってもらわないと不安で堪らない絶賛モラトリアム中の”玉藻”。無意識に他人との距離を取って本音が言えない”佳奈”。周囲を見下すこと(或いは自分を何か異質な者とすること)でセンチメンタルに浸る”凪”。この三人なんかは僕にとって感情移入しやすい良キャラだと思いました。この三人のルートをプレイしてる時なんかは自分のダメな所をグサグサ指摘されているみたいで耳が痛かったw
シナリオは凡。キャラと雰囲気は優。総評して良作といった所かと。まあこのパッケージ・タイトルでガチガチのシナリオゲーを期待する人なんて居ないでしょうし、ほとんどの人は満足できるのではないでしょうか?