全ての文章に意味があるのではないかと勘ぐってしまうようなテキスト。しっかりと最後までやって良かったです。……以下、いつもの雑記
彼―黒須太一―の苦悩・成長を第三者の視点で見た僕は、「個」として生きていくことの難しさを知ったと同時に、自身の生き方を見直さねばならないと思った
狂ってしまった獣は人の真似をして、生きるために、「個」であろうとするしかない。
本作の主人公である黒須太一はそんな生物学上の”人間”でした。
やたらと豊富な語彙に偏った知識、白髪で常人とは変わった目、そして学院内ではいつも躁状態のハイテンションで下ネタ連発、女の子にセクハラ三昧。……それでも彼には理性がありました。
とある町。他人を傷つける可能性を持つ人間が隔離された先―群青学院―。その放送部。
季節は夏。部員同士の溝を埋めようと企画した合宿で、逆に亀裂を大きくしてしまった。
仲間はバラバラで、それでなんとなくむずがゆくて。
帰り道で少しいつもと違う道へ、それてしまった。
そうして合宿は終わり毎日は巡ってくる。
彼ら以外は誰もいない町で。
きっちり一週間でリセットされて繰り返す毎日が。
序盤は少し退屈に感じてしまう部分もありましたが、それは不気味な雰囲気や流れが読めない不安がそうさせてたのかと自己分析します。
主人公の黒須太一は群青学院のなかでも畏敬の対象とされるような異常な生徒。僕はその異常性云々の前にあまりのぶっ飛んだ言動に最初はクスリでもキメてるのかと思ってしまいました。……実際はそんなことなかったのですが。
ともかく個性的な主人公だなーっと。
まぁざっくばらんに言うと、この物語は太一が放送部の面々を繰り返す(ループする)世界から元居た世界へ送り返す英雄譚的(?)物語です。
えー……僕は今から難しいことを書こうと思ったものの、まとめる力がないので泣く泣くこの文を挿入いたしまして唐突に実直な感想をば
太一のループする度にどんどん精神的に強くなっていく感じが最高だった。 (10代男性)
送還直前の桜庭の何気ないセリフが切なくてヤバかった。 (10代男性)
七香の胸に抱かれたい人生だった。 (10代男性)
……すごく頭悪そう(自明の理)
最期に、引用という名のコピペ
「人はただ、いてくれるだけでいい。場所もまた、性質も、性別も、問わない。いてほしいんだ。人は人にいてほしい。より近くに感じたい。手を伸ばした先に、誰かがいるという安心。それを得たい。だから人は呼びかける。電話で。言葉で。手紙で。態度で。、、、無線で。どこかで誰かが聞いてくれますように。そう願って」
「こちら、群青学院放送部。生きている人、いますか?もしいるのであれば、聞いてください。今あなたがどんな状況に置かれているのか、俺は知りません。絶望しているかもしれない。苦しい思いをしているかもしれない。あるいは、死の直前であるかもしれない。そんな、全部の人に、俺は言います、、、生きてください。ただ、生きてください」
「人は一人で生まれて、一人で死にます。誰と仲良くしても、本質的には一人です。通じ合っても、すべてを共有するわけじゃない。生きることは、寂しいことです。寂しさを、どう誤魔化すかは、、、大切なことです。そのために、、、他人がいるんじゃないかと思います。あなたには誰かとの思い出が、ありますか?それは貴重なものです。決して忘れないようにしてください。孤独と向かい合った人の、唯一の支えだからです。理想は近くにいてくれる誰か。けど今は、そんな当たり前さえ保証されない。けれど、、、俺はここにいます。あなたがそこにいるように」
本当に素晴らしい作品でした