絶望と希望が入り混じった、心に残る物語だった。
「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」を読んで、心が深く揺さぶられた。この物語は、滅んだ世界の中で、ひとりの少女が死んだ人類一人一人の死を繰り返し、そして生き返るという奇妙な設定から始まる。死というテーマがここまで直接的で深く描かれる作品はなかなかない。彼女の無限に繰り返される死と再生を通して、存在することの意味や、終わりのない時間の中で生きることの苦しみを感じさせられた。
物語は、普段の日常を過ごしていた少年が、そんな世界で目を覚ますところから始まる。彼が目を覚ました世界は、彼が知っていたものとはまるで違っていて、最初は何が起こっているのか理解できない。そして、少女が繰り返す死と再生を目の当たりにすることになる。その度に少女は生き返り、そしてまた死ぬ。彼女は一体何を感じているのか、どうしてそのような運命を背負っているのか。少年は彼女の変わり果てた姿に、どんどん惹かれていくが、同時にその無限の繰り返しの中で、彼女がどれほど深い絶望を抱えているのかを想像せずにはいられなかった。
物語の中盤から後半にかけては、少女の過去やその存在が少しずつ明かされ、彼女がどれほど孤独で、そしてそれでも人間らしい感情を持ち続けているのかが伝わってくる。死を繰り返すことの意味は何か、生きることの意味とは何か。この問いが、物語を通じて常に突きつけられ、読者に考えさせられる。
少年が成長していく過程も印象的だった。最初は彼女のことをただ不思議に思い、恐れ、距離を置こうとするが、次第にその運命に共感し、共に生きることの意味を見出していく様子が描かれている。絶望の中にほんの少しの希望が見え隠れする瞬間があり、その描写が非常に美しい。少年の成長とともに、物語全体が一歩一歩、少しずつ前に進んでいく感じがして、心が温かくなる瞬間があった。
最終的に、この物語は単なる死の物語ではなく、生きること、そして死んだ後のことを深く考えさせる作品であった。死と再生を繰り返す中で、どう生きるのか、どう生きるべきなのかを問う。この作品を通して、生きることの尊さや、無駄に思えるような時間が実はどれほど貴重なのかを改めて考えさせられた。
「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」は、絶望と希望が入り混じった、心に残る物語だった。