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lein2709さんの人気声優のつくりかたの長文感想

ユーザー
lein2709
ゲーム
人気声優のつくりかた
ブランド
MintCUBE
得点
90
参照数
122

一言コメント

とっつきやすく平均点の高い、声優ラブコメ~シスコン&ブラコンを添えて~

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

純粋に読むのが楽しかったなあ。

以下 要素ポイント
・圧倒的読みやすさ
基本的にめちゃめちゃ読みやすいです。
終始ラブコメ的展開で物語が進んでいくうえに、
芸能モノあるあるのどうしようもない奴らみたいな不快要素が徹底的に排除されている印象。(後述)
主人公、ヒロイン、サブキャラ、抱えているものこそあれど、みんな善人で終始楽しく読めると思います。
主人公、ヒロインはもちろん、サブキャラの音杏、徹心のクラスメイト勢、
圭さん、いつみさんなどの大人たち、みんな素敵で愉快な人ばかり。
また、ギャグについても、人を選ぶかもしれないが、
無理なく話の中で「何やってんだこいつら…」くすっとくるタイプの笑い。
個人的には超好み。
特に徹心の魂の叫びには何度も笑わせてもらった…声優さんの演技も最高だった。
あと、モブにしっかり声がついていたのも加点ポイント。

・しっかりと落とすところは落とす
8割ラブコメですが、残りの2割は結構重い。
それぞれのヒロインルートで全員が何かしらの壁に当たるわけですが、
わりとどうしようもなくて、
本当に壊れちゃうんじゃないかって、前のめりに心配になるようにハラハラ展開が、
意外とあります。
そんなに長くは続かないけれども、一定の部分の空気の重さ、どうしようもなさは、
なかなかに見ごたえがあると思う。
とはいえ、あくまでラブコメの範疇を脱しない塩梅を配慮しているようには感じられる。
主人公とヒロインと見せ場と言い換えてもいいと思う。

・個人的主人公オブザイヤー
啓人くん、、、めちゃめちゃいいです。個人的に過去1,2を争う良主人公
あくまでヒロイン自身の問題に踏み込むというよりは、
自分がヒロインとどうありたいかということを念頭に置いて、
的確な助言を与えたり、一緒に悩んだりするナイスガイ
かといって、仲間内だといわゆる三枚目キャラになったり、
過度のシスコンだったり、おっぱい星人だったり、
色々と憎めない部分も持っていて、
感情移入もしやすい。
彼のおかげでここまで楽しく読めた部分も正直あると思う。

・ご都合主義??読みやすさ重視??
基本的に過度に重い展開をノイズとしてライターの方が考えているのか、
問題があってもそこまで引きずらずに解決するし、
いわゆる芸能界の闇の部分みたいなゴシップ的ネタはほぼない(重要な要素にならない)です。
たとえば「枕」とかも、祐果子のルートで単語が登場する程度で、
本筋には絡まない。
不快な人間もいないわけではないんだけど、
意図的に排除されてる印象を受けた。
小夏ルートの性格の悪い先輩声優とか、祐果子ルートの元マネとか。
この辺を動かすと良くも悪くもむっとする話にもできたように思う。
それをしない(いつの間にか退場します、この二人)ってことは、
意図的に胸糞展開を避けてるのかなと思った。
この辺を読みやすさへの配慮ととらえるか、
ご都合主義の世界ととらえるかで大きく評価が変わるかなとも思った。

・意外とエロ方面が充実
正直そこを期待していなかったので良くも悪くも驚かされた。
各キャラ5シーンで基本的に3回戦までいきます。すごいでしょ??
バリエーションも意外と豊富で、
王道のPずりやFらから、
声優の設定を活かしたイメージプレイだったり、授乳Tこきだったり、
卑語も多く、ハマれば相当な実用性になるはず。
逆にささらないとここはノイズにしかならないし、
ルートで各自の問題が解決すると半分以上がこれになるので、
ダレる要因にもなってしまうとは思う。
個人的には全員文句なしの巨乳で、声優さんの演技も素晴らしかった。

以下プレイ中のメモ書き(駄文 個人的な記録用)
裕香子ルート
何も言われない 自分に興味を持たれていない
気を使うよりも気の置けない関係にあこがれている
ラジオからの告白
「お客様」扱いしない普通の付き合いをくれた啓人
くるしーとしてではなく「来栖裕果子」として
どこのフィールドで彼女の熱量とつり合いたいのか
普通の学生の楽しみを、家族ならでは甘えあえる、本当の心のうるおいを
☆アイドル声優というのは、声優としての技術以上に
アイドルとして与えられた役割やキャラを演じることが重要と言われる
裕果子もプロ意識が高く、きっと若くしてずっと
「期待にこたえるようにやってきた」
役は彼女実力ではなく、顔や人気から得たものであったと噂を聞かされた
テレビ出演の際に色々とネットに書かれた
そのことがきっかけで自分には声優としての能力を低く見積もることになった。
芝居で期待されたいというプライドもあったが(役者としてのコンプレックス)
「こんな自分が使われているのだから」
それよりも周りの期待のために与えられたキャラや役割を演じる必要が
それがきっかけとなり、心因性のものとして
他人の期待に応えながら声優を続けることが辛くなってしまう
やがて体調を崩し、啓人とも喧嘩してしまう。
☆人の期待や周りに求められるものは自分の価値を測る尺度にしてはいけない
それらは結果でしかない
それよりも自分が何を信じているものに必死に身を砕くべき
自分の枠組みは自分で決めるべきだ。
与えられた役割を演じることを矜持としていたものとは真逆の方向性を見出した。
それだけの情熱がないと自覚していた部分に突き付けたもの
それに気付くことができたのは、メディアのままのくるしーではなく、
一人の女の子として来栖裕果子としての自分を見てくれる人がいて、
それを出せる場所を見つけたから
辛いことも一緒に考えて、乗り越えるだけでなく前に進もうとする。

小夏ルート
はじめて数か月の彼女は助言の取捨選択が難しい
講師側は行く先の期待や言葉の意図がわかるが、当人からすればただダメ出しされているようにしか思えないだろう
なぜ自分が選ばれたのかもわからない
多くの人がかかわっているものを壊してしまう怖さ
(裕果子)役者としてのコンプレックス、芝居への芯がない
芝居に対する視点が近い先輩
いつみがすごいと思う
兄として、役者適性を感じるポテンシャル
役に没頭する力、声の質 
そんな兄に凄いって言ってもらいたいそのことが環境が変わっても頑張ることのできる原動力
どんどんプロの声優みたいに見えていく…(実際はそんなことない、兄の背中を追いかけているだけ)
☆後ろではなく隣にいてほしい
兄妹としての関係、はたから見たらけして付き合ってるとみられない
「世界は声で溢れてる」アニメや映画だけが声優の仕事ではない
父の意思を受け継いで、自分も役者を支える側になりたい
努力して躓いて立ち上がってる人を見ていたい、支えたい 兄の「芯」
小夏がどんな声優になりたいのか 普通の生活の中で響く声を鳴らしたい
誰よりも何よりもお兄ちゃんを信じている

いつみルート
何か突き抜けない 売りがない
小夏がゴールデンルーキーとして追い越していく
売れていく売れている二人に囲まれた生活が彼女の心に何をもたらすのか
かなめさんも何とか仕事を回したいがうまくいかない
もともと彼女も声優志望 諦めるよりも道を見つけたい
(裕果子)それぞれが違う角度で悩みを抱えて生きているのがこの寮のメンバー
自分が目を背けたものから諦めずにしがみつき続けている 芯のあるかっこよさ
部のわるいオファーしか流れてこない、そもそも事務所の人間がいつみに対して熱をそこまで注いでいない
⇒入れ込みすぎたものに対して、当然のように落選、壊れてしまいそうになる
人気者の裕果子、シンデレラの小夏 対極の自分の存在 みじめな気分になりながらも1パーセントの可能性でもつかみたい
やっと手に入れた自分の居場所だから なんとかなんとか啓人や周りからパワーをもらって強くいられる
啓人について 優しく自分のわがままに付き合ってくれる 強い言葉で自分を正直にいさめてくれる
(小夏)失恋 兄を指針としてしてきた彼女ではなくいつみを選んだ 芝居に戻るきっかけになれなかった
これからのいつみについて…「離」が必要 引きで空席を見つけるようなかんがえ?
役がもらえてもここまでくると疑心暗鬼になる
⇒考えすぎず、あそびをあたえること
タイミング、運、回りだしたら止まらずいける
完璧にしなくてもいいと思えるようになった
いいときもわるいときも目指すものに全力で向かっていける力がいつみの才能
啓人のおかげで変わることができたと周りの証明したいということが叶いつつある
(啓人)彼女の隣を一緒に走っていきたい 何者にでもなれる面白さ⇒声優の道


まとめると、、、
声優、芸能界という題材をラブコメをベースに料理したかなりの良作
だと感じた。
総合力が高く、大きくこの作品を嫌う人はいないんじゃないかな。
結構前の作品なので、望みはないがこの先が読んでみたいなと強く思った。