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ktonさんの魔女こいにっきの長文感想

ユーザー
kton
ゲーム
魔女こいにっき
ブランド
Qoo brand
得点
79
参照数
2505

一言コメント

allクリア後は公式ページに言って発売後カウントダウンボイスを聞くべきですこの作品のテーマがわかるはずです  end2についての考察あり

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

2014年に発売された中でシナリオの評価がかなり良くて絵も可愛いことで購入
trueエンドの評価が高くプレイして納得の出来だったが各キャラのエピソードは普通のエロゲーなので先の展開が待ち遠しかった複数原画家の作品だったけれどどのキャラもなかなかの可愛いさだった特に狗神煌のキャラが可愛かった
全体的にネットスラング使いすぎなように感じた特に演劇でのワッフルワッフルっていうネタは長いしくどいしで残念だった
好きなキャラは崑崙>ありす>梢先生>歌音>美衣>聖>零
前半のほうはこのゲーム3つの視点を行き来するというシステムに混乱しっぱなしでした
だから恋ルートがどのような話か全然覚えてない始末になりました
美衣先輩ルートは普通のルートでした
個人的に嬉しかったのは眼鏡を後半でも完全に外さなかったことです(ルートに入ってからのcgは眼鏡外してるものだけですが)
あと美衣選抜が早苗のことをけーこちゃんと呼んでるのが気になりました
この様な矛盾が生じるならここでのけーこちゃんの出番は削ってもよかったんじゃないかと思います
対して聖ルートは微妙な出来でした
母親との問題解決もなんだか腑に落ちない感じだし聖の神とか臭いいうのが微妙でした見た目が可愛かっただけに残念
梢先生のHシーンでパイズリ パイズリ 無理やり気味のSEXといった感じなんでラブラブHがなかったのが悔やまれます
その後今までの話が繋がる所で面白くなってきたと感じましたけれども同じエロシーンはカットしてもよかったと思います回想で見れるわけだし
歌音ルートと歌音との決着ではまず文化祭のくだりは何があったのか思い出せないほど印象が薄いしネットスラングは寒いし長々聞かせた演劇の内容も退屈だしせっかく全員のヒロインを出せるのでここを生かして欲しかったです
シンデレラストーリーはありす目線で描かれるたくみは最初すこし鼻につきました
ありす絵も可愛いしくすはらゆいさんの演技も最高ですごくニヤニヤできてよかったです
崑崙ルートもとても可愛かったですルートに入るまではあんまり興味が湧いてなかったんですけどデレたときの可愛さやばかったですHシーンお漏らしするとこがあるなら差分も欲しかったありすではあったのだし
ed1は綺麗に纏まってよかったですまさかありすが60代とは思いもしなかったので途中までこの展開に全く気付きませんでした
そしてend2はまず見るまでスキップで飛ばしても意外と大変でした次の選択肢までスキップをつけて欲しかったです
初めてend2を見た時後味が悪くてなんでこんなものがあるんだと思いました桜井たくみの態度にも納得出来ないですし、けれど一ヶ月後のカウントダウンボイスを聞いてこのシーンが何を意味していたのかということを考えつきました


「何?私?私はアリスよ。今更こんな所に何のようなの?知ってる。ここ一ヶ月あなたが何をしていたか。散々私たちを弄んで翌月には別のゲームのヒロインにうつつを抜かしていたのよね。知っているわ。でもいいわ。恋ってそういうものだよね。心はいつだってヒラヒラと移り気で取り残された物語だけが漂い続けるのね。私はここであなたとの物語を何度も繰り返すことにするわ。だからあなたは帰っていいの。あなたは違う。あなたはいらない。だからバイバイ」

上に書いたものはそのカウントダウンボイスのセリフを全て書いたものです

このカウントダウンボイスでアリスは一ヶ月のうちに何人ものヒロインを攻略している私達エロゲーマーを非難し
(物語の主人公としての)あなたとの日々を繰り返すことを選び
(プレイヤーとしての)あなたはいらないと言っているんだと思うんですよ

桜井たくみ=プレイヤーという比喩を踏まえてこのゲームを思い返してみると思う所が何個かあります
まずヒロイン達はエンディングまで迎えたら記憶を失ってしまう所ですがこれは通常のエロゲにおいてエンディング後にヒロイン達がこの様な境遇に置かれてしまうのではないかということを示唆していると思ういます
通常のエロゲにおいてエンディング後の話が描かれることはFDがない限りありません
私達はヒロインとの生活がその後も続いていくことを確信していますがそんな保証はどこにもありませんこのゲームのように主人公が消えてヒロイン達の心に穴を開けてしまうかもしれません

end1で救われたからいいとしても美衣先輩はしばらくの間恋をすることを諦めすことになり
歌音に至ってはすこしでも褒めてもらう為に永遠の時計塔になることを決意させてしまいます

また桜井たくみがが何人とのヒロインとSEXすることに関して何かしらの不満を感じる人も多かったと思います私もその内の一人です
ネットでは主人公のヤリチン具合を批判している人も多くいました
しかしこの姿は他のエロゲにおいて架空上とはいえ多くのヒロインとsexをしている我々エロゲーマー自身に重なる所があると思います

そしてオープニングムービーに流れてくる文字

あなたを好きになりました
日記を買いました
物語が始まりました
まず最初に出てくるこの文章はエロゲーマーがヒロインを好きになってエロゲーを買いプレイし始めることを意味していると思います

一目惚れより永遠を
どうか日記に残せたら
あなたが明日へ去らぬよう
私に魔法が使えたら
この文章ではヒロイン達の一目惚れではなく永遠の愛をエロゲに残せたらあなたが他のゲームに去っていかないように魔法が使えたならと言う思いが込められていると思います


八方美人で 調子いい事言って
理想語る 瞳は まっすぐ
その気にさせるのは 上手いのに
実現できないね 結局

どうにかするきっと
死んでも守るから 絶対
一生懸命 やったふりして
あきらめて

やがて おとぎ話だけが 取り残されて
ただ恋心だけ取り残されて
どこにも行けず たたずむ僕は
魔法を使うよ
永遠なれ


一生一度の恋だ ブラボー!
君のいない世界なんて ありえない
口にするたび どうして
後ろめたいんだろう

永遠に愛する
死んでも離さない 君を
強く抱きしめるふりをして
遠ざかる

やがて恋心だけ 取り残されて
おとぎ話だけが取り残されて
どこにも行けず たたずむ僕は
魔法を叫ぶよ

やがて君が 大人になったら
ぼんやり思い出すだろうか
馬鹿な 望みさ

そしてまだ君が好きで
取り残された 魔法使いがたそがれる町に
かなうことない 未来だけが
歌い続ける
いつか君は 古ぼけた
おとぎ話を 読むだろう ああ
どこにも行けず たたずむ僕が
そこにいるだろう
永遠なれ


上記のものはエンディング曲の永遠の魔法使いの歌詞これもサビに入るまでの部分でエロゲーマーがヒロインに永遠を誓ったのにも関わらず去っていきサビの部分ではヒロイン達が取り残されて佇んでいる様子が表されているはずです

隠しエンディング曲のヒステリアについては私は何も感じることが出来ませんでしたが多くの比喩が用いられているので何かしらのメッセージがあると思います

男と女が出会う
女のほほを光が照らしていた加減が美しくて男は恋をする
それだけのことだ
その光が別の女性を照らしたなら、男はその子に恋をするだろう
お前は何も見ていない子供だよ確かなものだけを俺たちは語ればいいのか君に一目惚れしたから永遠に一緒にいたいと思ったけど変わっていくんだ確かなものなんてないだから人はいや俺は物語を求めるのかもしれないなそこには永遠が閉じ込めらているからめでたしめでたしだけが閉じ込められているから人は本当に世界にあるものだけではやっぱり寂しいからその果てにあるはずのないものを信じないと生きていけないのだから

上のものはend2の桜井たくみのセリフの抜粋ですが
ここでも現実世界は苦しいのでエロゲを求めてその時々で違うヒロインを愛することを意味していると思います




長々と書きましたが僕はこの作品がどのようなテーマで作られたかと考えたかというと
エロゲーマー達のヒロインに対する誠実さに対しての問題提起あるいは皮肉であると思います


エロゲーという媒体においてそのプレイヤーや物語へのあり方を問いたこの作品はなかなか面白いと思います




頑張っていらっしゃるようで何よりです。魔女こいにっきは、一種のアイロニーだったのか、それともその裏に何か伝えたいものがあったのか、未だに考察を続けている最中です。もし夢の続きがあるとするなら、その答えを是非、新島先生の紡ぐ物語から教えて頂ければ幸いです



答えをというわけにはいかんですが、アイロニー的なものがあるのかもしませんね。。ひねくれてる時期ですので;


上が個人の方の新島夕さんへのTwitterでの質問で下に書いてあるのがその回答なんですがこの回答の仕方は皮肉を含んでいるのでないかという根拠の一つになるのではないでしょうか



2015年12月24日に発売のpsvita移植版にて謎のヒロインアリスの謎などの多くの核心に迫る新章が追加されるらしいです
もしかしたらこの考察に即した話になるかもしれないしこの考察は検討違いも甚だしいものになるかもしれんません
そこで作中のアリスのセリフで筆を置きたいと思います



物語の読み方はそれぞれだわ