「ガンマン十戒」に爆笑。アホ過ぎるッ。だが、それが良い! まさに盛大にしてハイクオリティなネタの数々。これだけのネタをぶち上げることができるというのも製作陣の類稀なる才能があればこそであり素直に羨望の情が湧いてきた。まさに学園祭のノリ(悪乗り)である。だがしかし、実は感動的というサプライズが待っていた。
そこはやはりニトロプラス。
色物かと思いきや、意外と真面目な革命闘争の物語が繰り広げられ、最後は英雄譚として小気味良くまとめられている。
「デモンベイン」のような熱血は求めるべきではなく、「塵骸魔京」ほどの記号論的作法(ステレオタイプ)もないが、
笑えて、泣けて、ハッピーエンド、というまさに「映画」的な佳作となっている。
マカロニウェスタンを題材としていることで敬遠している向きもあるかもしれないが(事実私もそうだった)、特にウェスタンに興味がなくとも十分に楽しめる内容になっている。
主人公は確かに非処女でビッチで性格も悪いが、後半に従い徐々にビッチ臭さは抜けていくのでおそらく大丈夫であろう。
ちなみに、この作品をしていてデジャヴを感じたのは、「陵辱ゲリラ狩り2」である。
そちらでは、反乱軍(ゲリラ)の一員であった主人公が状況を利用して己の欲望を満たすシナリオが描かれている。(この二重スパイ的なシナリオ構成を私は高く評価している。)
そこでは「反乱軍と強盗団とは紙一重であり、奇麗事でしかない理想よりも欲望こそが優先される」という現実主義が描かれており、これは本作と共通する面がある。(抜きゲーではあるが)
久々に「気持ちよく楽しめる」ゲームと出会えた。
これからもハイレベルな作品を世に生み出し続けて欲しい。
製作陣に敬意を表したい。
(2011/01/25 追記)
一度目はネタの方に目が行ってしまい、細かな部分を見落としていました。
なるほど、虚淵氏の語り口は、一行一行、噛み締めてこそ味わいが分かります。
殺戮と乱痴気騒ぎの合間に挿入される、夕焼け空の星々に思いを馳せる澄んだ描写。
そして、淫売と呼ばれ蔑まれようとも強く生き抜こうとする女たちの思い。
それは、机上でこねくり回された理屈ではなく、世間の荒波に揉まれズタボロになってもなお生き抜こうとする者だけが持つ、人生哲学です。
いくら崇高な夢や理想を掲げようと、必ず現実に押し潰される。
稀に成功一歩手前まで行く者もいるかもしれない。しかし、その英雄もまた、結局、必ず転落する。
それが、人類の歴史の中で繰り返されてきたことです。
――しかし、それでも。
挫折が約束された道であったとしても。
下らない夢に人生を捧げる者を、誰が笑うことができようか。
――底辺から這い上がりたかった。
成り上がり、名士になってやる。それが全てだった。
では、名士になった後は?
地べたに這いつくばりながらもギラギラとした目で上を見据えていたあの頃に比べ、今の自分はどうだ?
富も名声も手に入れた。それで、終わりなのか。
無力で、貧しくて、惨めで、
でも、ギラギラした夢だけは熱く語っていたあの頃。
もう一度、思い出してみないか、飢えていた頃の自分を。
……渋い、渋すぎる。涙が出てきます。
これを、エロゲーメーカーへ向けた言葉として見ることもできるように思います。
とても考えさせられますね。
――エロゲーという荒野に生きる。
おれたちはさしずめ、無頼のガンマン――