『雨は嫌いじゃありません。すべてを洗い流してくれるから』 欧風の音楽学校を舞台に、淡々と奏でられる切ないセレナーデ。華やかな学園生活も、心躍る冒険も、そこにはない。ただ、「音楽」と「女の子」だけがそこにある。音楽をテーマとした作品でこれ以上の作品を見たことはありません。音楽への愛に溢れている作品です。 曲想はあくまで、ラメンタービレ。決して、カンタービレではなく。 音楽は永遠に……。
――降り続く雨と、遠い彼女と、今そばにいる人と。
そう、この感じは、昔やった「Memories Off」と似ている。
CG、音楽、声、シナリオ、そのどれもが良質ですが、やはり、音楽をテーマとしているだけあって、きっちりと作り込まれた音楽を聴かせてくれます。
豪華競演の実力派声優の皆さんの歌声が素晴らしい。
この歌声を聴くためだけにゲームを購入しても良いほどです。
特にトルタのテーマ曲「秘密」は切なくてとても良い感じです。いつまで聴いていても飽きません。
さすがは岡崎律子さん。
ちなみに、音の妖精・フォーニはとても可愛らしい。
……ちっちゃな雪使いシュガー?(爆)
この作品を終えて、やはり自分でも楽器を演奏してみたくなってきます。
音ゲー部分は「beatmania」以来、たぶん10年くらいぶりでしたが、楽しいですね。
そして、声優のCDを買い漁った遠い日を思い起こして恥ずかしい気分になりました(笑)
作中で印象に残ったのは、コーデル先生の言葉。
あえて書きませんが、プレイした方にはどの言葉を指しているのかはお分かりいただけると思います。
芸術の世界の厳しさを垣間見させてくれる至言ですね。
この作品からは、“芸術”とは、遥か遠くの高みにあるだけではなく、身近なすぐそばにもあるものだということを、強く意識させられました。
製作陣に敬意を表したい。
――今日も明日も明後日も、朝から晩まで、音楽のことだけを考えて、毎日を過ごす。
それはきっと、とても幸せなことなのだと思う。
それは、“芸術”という存在の持つ一つの“力”なのだと思う。
そう、それはきっと、人を幸せにする力だ。
“芸術”には、“人を幸せにする力”が、あるのだと思う。
(……アメノモリ……)
(以下、加筆)
――私の部屋には、一台のエレクトーンがある。
ただし、恥ずかしながら、私は譜面すら読めないし、練習なしで弾けるものと言えば「チューリップ」や「きらきら星」くらいしかない。
昨年、私の一番好きな曲であるショパンの「夜想曲第2番」を弾けるように練習して以来は弾くこともなく、ほとんど部屋のインテリアと化している状態である。
楽器を使いこなし素晴らしい演奏ができる人を尊敬する。
音楽は人の心を揺さぶり、感動を呼び起こす。
そのために必要なものは楽器と楽譜と演奏者および歌手。
そのどれか一つも欠けてはならない。
ギター1つを抱えて街角で路上ライヴをする若者たち。
夢を追う彼らの姿は眩しい輝きに満ちている。
むろん、現実は甘くはない。
しかし、芸術には夢があり、夢を追う人の姿は美しい。
そのような、魂の込められた音楽によって、ゲーム作品は支えられている。
ゲームには音楽がある。
音楽のないゲームは、ただの小説だ。
ゆえに、ゲーム作品は小説をも越える存在となり得る。
私は、そう信じている。