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kaperureiさんのリアライズの長文感想

ユーザー
kaperurei
ゲーム
リアライズ
ブランド
PLAYM
得点
85
参照数
53

一言コメント

今までプレイしたエロゲの中で自分は一番「麻生春秋」に共感できる。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

①エンディング
最初にプレイした時は転結の弱い微妙な作品に感じたが、時間が経ってから(自分の価値観の変化もあり)良作扱いに。
転結の弱さに関しては、エロゲ的なロマンチックな演出ではなく小説的?な演出なんだなと後から思うようになった。

エンド1:八重の思惑を阻止して亮と八重が一緒に炎に包まれる感じのがトゥルーエンド
(正直ここよく分からん、主人公から「ありがとう」ってメールが届いた蛍たちは現実にいるままだと思うんだが、その後光に包まれて夢を見せられるのかもしれんし(こういう分からん部分を他人の考察を見て客観的により正しそうな答えを見つけるのも自分にとっての答えではない気がするし))
エンド2:八重の思惑が成就して八重一人炎に包まれるのが八重エンド
エンド3:思い出した倫の絵の光景に後押しされ再び八重に立ち向かうところで終わるのが倫エンド
エンド4:亮が修二の背中に追いつこうと歩き出す、二人の決別で終わるのがバッドエンドというかサブキャラエンド?

八重がエゴを通して見ている世界=プレイヤーが見せられている内容だと仮定するとエンド1~3は八重の世界が終わった後のことは描かれていない、エンド4に関しては亮や修二・沙耶への興味が薄れて邦博や春秋の方に注目してたのかね、など。
選択させられているプレイヤー=(八重の)エゴって感じもするね。

八重の考えは「世界の幸せの総量は決まってるから全ての人が幸せになるにはそれぞれが別の世界を持つしかない」的なもの。結局八重の力でも半径1キロの、花火客十数万人にしか夢を見せられないのでその外の人には同じだけの不幸を与えてるよねって皮肉。地球全てを覆えるなら理想ではあると思う、まあこの場合も「自分が認識できてる世界が全て幸せで満たされてたらいいよね」を前提とした話ではあると思う。僕個人としては幸せなら夢でもいい。

②麻生春秋
今までプレイしたエロゲの中で自分が一番共感できるキャラ。勝手な解釈かもしれないが以下のような点に共感した。
・結局は自分自身に受け入れられたかった
・(他人のエゴを吸収しない)沙耶への憧れ
・他者の価値観を咀嚼してはくだらないものと切り捨てることの繰り返しでしか自分の価値観を高められない、そういう人との繋がり方しか知らない

その他共感したセリフ、好きなセリフ等。
・「くだらなさに呆れている、くだらない自分。無意味な時間。死んでるのと同じだ」
・「結局さ、俺には俺の、邦博には邦博のエゴがあって、お互いぶつかり合ってるだけなんだろうね。エゴってのは、やっぱり分かり合ったりなんかしないんだね。ぶつかって、ぶつかって、どっちかが折れるしかないんだろうね」
・(亮「あいつは……少なくとも、ルールを守るやつだと思った」ルール。社会規範、社会道徳、法律。亮が言ったルールとは、そういったものではない。あえて言葉にするのなら、春秋が春秋たりえるルールとでも言うべきだろうか。春秋が他の誰でもなく、麻生春秋である部分。目的を達成するためには最大限に知恵を使うが、人を欺いてまで、それを成そうとはしない。亮にはそう思えた。)
・「それに、俺は今の自分のエゴが気に入ってるから。Σの集団みたいに、誰とでもバンバンコネクトするなんて、特に最悪。それって最終的には価値観とか美意識のでこぼこが無くなって、のっぺりした精神になるってことじゃない。そんな人間存在してる価値ないよ」

③春秋以外のキャラ
亮のよく考えて考えて結論を出すところ(明確な結論を出さない場合もあるところ)は感情移入できるんだが、キャラとして薄いよね、バトルは強すぎて苦戦しないし。
蛍の普通の善人って感じの性格というか考え方など好きではないが、ヒロインとしての巡り合わせの悪さみたいなものは可哀想可愛い。
沙耶は魅力的だけど、修二と出会って変わっていく沙耶には失望。カップリングとしては沙耶・修二が強くなってしまうのはまあ分かる。それ以外だとBL臭のある男同士のカップリングになってしまう。

春秋関連以外で好きなシーン
・亮「お前にはお前の世界があるように、俺には俺の、修二は修二の世界がある。お前の見ているものだけが全てだと思うな」小田「俺にとっては、俺の見えているものが全てです」
他にも良いシーン良いセリフいっぱいあった。

④その他
他人のエゴを吸収しない沙耶と、意識の共有をするコネクトとの対比があったのかなと思う。
曲は結構どれも良い感じ、飛び抜けてこれ!ってのは無かった。
CGは独特な絵柄だけど作品の雰囲気に合ってる。
スキップはかなり速い。