この作品を楽しめるか否かの境界線は、「……それは忍術か?」という突っ込みをするかどうか。
この作品は、山田風太郎っぽいノリの忍者モノです。
ですので、作品中には、
「術の発動前に技名を叫ぶ」
「明らかに人間離れした技・術を繰り出す」
「斬りかかる前に気合の言葉を叫ぶ」
「明らかに死んでるけど実は生きてる」
「ちょっとした偶然で必殺の一撃がかわされる」
「戦闘中に会話している余裕がある」
等々、いくつもの“お約束”的なノリが存在します。
そのため、“お約束”に冷めてしまう人と、“お約束”を楽しめる人とでは、この作品の評価が大きく変わってくるでしょう。
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感想
シナリオ全体を見た場合、重厚さ・重苦しさを抜きに語る事はできません。
開始早々からの里(本拠地)崩壊、里人虐殺という展開に加え、ヒロイン操られ凌辱(以降、そのエロ魔人の肉奴隷)、敵によって主人公改造(?)という重苦しい伏線を張られてしまうため、物語に明るさというものが存在しません。もちろん、細かな日常描写で安らぐことはあるのですが、それでも常に暗雲が立ち込めた状態であることには変わりありません。
このような状況が根底に横たわっていることを許容できるのなら、この作品は十分に楽しむことができるでしょう。
しかし、もしも暗雲立ち込めるストーリー設定(表面的には明るくとも、その裏には暗さが隠れている)が嫌ならば、この作品の評価はがた落ちするでしょう。