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inuguma275さんのChronoBox -クロノボックス-の長文感想

ユーザー
inuguma275
ゲーム
ChronoBox -クロノボックス-
ブランド
NO_BRAND
得点
87
参照数
14472

一言コメント

こういったジャンルは初めてでしたが面白かったです

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 こういうグロテスクなシーンがあるゲームは初めてやったのですが十分楽しめました。私は体験版でのシークレットを1つも解放できずに本編をプレイしたので理解できるか心配でしたが杞憂でした。

 序盤は穏やかな雰囲気が流れていき、その中で違和感が見え隠れしていましたが、結構早い段階で穏やかじゃなくなりました。まぁ公式サイトからわかるようにそのようなゲームではないのですが。箱の中身は欠損していくキャラの一部だということはわかっていましたが、それがどういった経緯でのものかはわかっていませんでした。EDENでの話が終わってEdEnの話になり主人公の部位になぞってだと思ったら樺寝がやられたことをやり返しているとは思いませんでした。

 私は本編プレイ前は霍、猶猶、ゆっふぃんがかわいいなぁと思っていましたが、プレイ後は霍、樺音、志依が好きになりました。霍はにわかわだし、樺音はいい子だし、志依は頼りになりますし。逆に猶猶は許せなくなりましたね。EdEnの時の猶猶は特に。

 印象に残ったセリフは「人間としてよ」と「あなたを想うこの気持ち、真実だって誓うよ」です。1つ目は雫流がブルーメ・シンドローム患者に対して言った言葉ですが、樺音が患者に化け物と言ったことと相まって印象に残りました。2つ目は純粋に良いと思いました。EDENの中での天美、EdEnでの樺音の純粋な気持ちということが込められててよかったです。(EDENのなかでもテオドール・ベクトルがあったのかはわかりませんが)このとき樺音が言った言葉を天美が言っていることになりますが、主人公のログワールドであり、天美に樺音を投影していたからと考えるべきなのでしょうか。

 最後の楽園エンドも他の方がおっしゃっているように海に入り自殺したのだと思います。ただ頭の中で樺音の声がしていたことについてはギフトなのかは迷います。

 残念だったことはゲーム内のExtraで作中のBGMやムービーが再生できなかったことです。そのほかにフルプライスにしてはボリューム不足と感じなくもないですが、私としてはこれ以上精神的に辛いシーンが増えてもプレイするのが億劫になるだけなのでちょうどよかったです。

 ここからはいくつか疑問に残ったことなのですが、まず「コートゥリーヌレータルシャ・サバト・リフォシェス」とはどういう意味だったのか?志依が言っていた「サバト」に関しては「暴行・淫行」とわかりましたが他の意味が分かりませんでした。次に天使島の穴です。これは読み飛ばした恐れがあるのですが、主人公の飛行機事故の穴ということでよいのでしょうか。夜々萌の存在も気になりました。ブルーメ・シンドローム患者(主人格とギフト)は主人公のログワールドでは見ることしかできなかったとありましたが、その他の人(夜々萌や晦など)は自由に動くことができたのでしょうか?特に夜々萌は筮の前で主人公を犯していた際、黒山羊(雫流)に襲われたときやりすぎたようなことを言っていました。それはつまり自由に動くことができたということなのでしょうか?

 解離性同一性障害という心理的な題材も興味深く面白かったです。また他の方の考察なども読むことでさらにこの作品を楽しむことができました。ありがとうございました。今後の作品にも期待したいです。