あまりやらないSRPGというジャンルですが、年甲斐もなく時間を忘れて熱中することが出来た。ゲームシステムとシナリオの融合具合がとても上手い。そして100人近くいるキャラクターの全員が個性満点で素晴らしい。一部うざいキャラとかもいるけれど
久しぶりに数十時間をゲームに使ったという経験をしました。人間、若さを失い老いを感じるようになると、もはや未知よりも既知の体験の方が多く、ゲームのシナリオなどでも「これは以前やった〇〇に似てるな」「ああ、これは〇〇で見た」「なんだか〇〇のような展開だな」「きっとこの先は〇〇みたいになるんだろうな」という予想が先に立ち、どうしてもまっさらな気持ちで物事に取り組めなくなります。
しかしこの「久遠の彼方」は、そんな自分でも若い頃のような気持ちに近づいてプレイが出来ました。とはいえ、やはり多少の既知感はあったものの、そこはもはやどうしようもない。一番の理由は、自分がこのSRPGというジャンルの経験が少なかったことでしょう。これまでせいぜい両手の指で収まるほどの本数しかやってこなかったので。
一番良かったのがキャラクターの個性。次にシナリオとゲーム難易度のバランス、そしてイベントのテンポの良さですね。総勢100人ちかくに登るキャラを、よく皆存在感を薄れさせずに登場させたものです。
この成功の妙味は、やはり普通のゲームならばキャラの「欠点」とされるところをしっかりと描写したところ。実際、アニメなどでこのゲームのキャラのようなムーヴをすれば、結構ヘイトを買って炎上するような嫌われものになる可能性が高いキャラも散見されます。
なので、つらつらと各キャラクターについて語っていきたいと思います。ユニットとしての強さなどはあまり語りません。ほぼキャラクター性についてのみ
順番は、気に入ったキャラがはじめの方で、あまり好きじゃないキャラは後回し。全員を語るのは流石に多すぎて無理なので、さほど好きじゃないキャラは一言二言、嫌いなキャラはダメだしがすごくなります。
なお、プレイ終了後の走り書きメモを割とそのまま載せるので、文章が荒くなります。
クオン
主人公。白磁の肌、紅玉の瞳、輝く銀糸の髪、という神が造った彫刻の如き絶世の美少年。どんなに敵対する存在でも、基本容姿に目を奪われる。作中では周りに女が群がる印象があるが、男も魅了してる描写が多い。主にパーキン王子。というか、基本女たちの感情は『女たち→クオン』で、クオンはその好意を受け止める立場で、基本この子は男女問わず『来るもの拒まず』のスタンス。このあたりは父親似。なのだが、クオンから求愛行動(仮)をする相手は、基本男性であるのはもはや狙ってる。クオンから矢印が伸びてるのは『クオン→パーキン』『クオン→ガジェータス』なのは腐ってる方々にしてみれば垂涎の的。
周囲の人間から「甘い」「甘ちゃん」などと評価されることが多いのだが、実は一番政治的に長期展望を持っていた人物。むしろ彼の方針を『甘い』と評する連中の方こそ、考えが甘かったということが、シナリオ終盤になって分かってくる。我々の世界でも、かつて古代の時代でもっとも栄えたローマ文明の根幹になる思想は『寛容(クレメンティア)』だった。異なる人種、異なる宗教、異なる言語を使おうとも、互いに尊重し合い、排斥しないことを信条としたユリウス・カエサルの『寛容』こそが、以後二度と一つに纏まることなどなかった地中海世界を纏めた基盤。そしてその後の『唯一絶対の神』を信仰する宗教が浸透してしまった後は、互いに排斥し、絶え間なく戦争が続く暗黒の中世。
クオンの作中時代も、いわば魔族・眠り子という存在を宗教によって「魔女」に仕立て上げ、数百年に渡って「魔女狩り」を行い、その果に生き物として破綻している「赤子殺し」を平気で行う、傍から見れば狂気以外のなにものでもない行為を「常識」としていた、言葉飾らずに言えばイカれた思想が跋扈していた腐った時代だった。それを変えた、変えようと発信し始めたのがこの主人公クオン。
根幹のある思想が『寛容』であるためか、またその内在する力の大きさであるが故か、おそらく無自覚に他者を下にみている。これは悪い意味ではなく、神が人間を同じ存在だと認識できるのか、という案件に近い。クオンと一般人の差は、まさに神と人ほどの差がある。彼が他者に対して大きな感情的な発露をしないのは、本人の気質の穏やかさに、この無意識の「上位者」としての絶対的な差を感じているためだと思う。
メリやオーギスに対する態度がそれを証明してると思う。クオンの周りで最も不安定な女がメリだから、メリに一番構う。それがアシュレーだったときは最もアシュレーを気にかけていたところでもそれが伺える。そしてオーギスについては「こいつは構ってやらないとまた暴走するな」と思ってるから、わざとツンとした態度を取り、オーギスが爆発しないように見守ってやってるように感じた。
序盤から中盤までは自分の本質にまだ気づいておらず「トウガの王子」「押し付けられた魔王」という立場に因る行動が多く、切羽詰まった状況も合わさって使命感のようなものにつき動かされていた様子だったのが、過去で出会ったガジェータスと出会ったことで、背負わされた運命に気負うことない強さを手にし、大きく成長した印象。21章以降のクオンからは、その言動の多くにガジェータスの影響を感じる。多分クオンの頭の中で「きっとガジェータスなら……」というシミュレーションがされている。
なんだかクオン個人よりも世界観の感想になってしまったが、主人公を語るには世界観を語るのはある種当然なので仕方ない。
カシュー
侍、忠節の男、武人の中の武人、男の中の男、最強の剣士。
作中No1、ぶっちぎりで好きなキャラ。ゲーム面でも思いっきりえこ贔屓したので、1週クリア時は主人公よりレベルがかなり高くなっていた。ドーピングアイテムも基本カシューにつぎ込んだので、最強ユニットとして無双してくれました。満足。
中盤からクオンが中世の魔女狩り、異端審問の如くに「魔王」というレッテルを貼らされて迫害された時に、彼(とピュレ)だけはずっとクオン一家を裏切らずに助けてくれた。その後も一度もクオン陣営から離れることなくクオンの剣となって敵を倒し続けてくれた漢。男が惚れる漢。こういうストイックな人は、多分女は近づかない。剣術談義以外は会話が続かないと言われているが、作中ではそんな印象は抱けないくらいには、周囲ときちんとコミュニケーションが取れている、むしろそういった欠点が見られたのは、同じ剣士キャラでもエクレアの方。ボーロングとの道が分かれてしまった者との会話なども好きでした。
何気に、カダユフとは正反対のキャラ。カダユフは「代々の家訓」のよって「勇者」を守ることを第一としていたが、対してカシューはどこまでも「クオン」を守ることを自身の使命と課していた。そんなカシューの姿を見てカダユフも思うところがあったのか、この2人が敵対した時に会話が発生している。
アスパルト
クオンの父親。長身、耽美な顔立ち、物憂げな表情、絶対的な強さを持つのに孤独を感じさせる、と女性が惚れ込む要素をこれでもかと詰め込んだ存在。そりゃ出会う女みんな惚れるよ……
ハツナギ、ピュレ、カルディナ、フェンネル、パルメラなどなど、きっとまだ見ぬ女もたくさんいる。
典型的な「導く父親」であり、息子の成長を促すための「越えるべき壁」として存在してくれている。あと散々作中で「女好き」とされてるが、一般的な「女好き」とは印象が異なる。自分からがっついて行くタイプではなく、寄ってくる女を拒まないだけ。クオンもそうだが、アスパルトから言い寄っていくシーンは一回もなく、基本女たちが勝手に惚れて、それで周囲が女まみれになっていることを、構ってもらえなくて嫉妬した女が勝手に「女好き」と言っているような印象を受ける。
むしろアスパルトが個人的に気に入ってるのはカクラムだと思う。そのあたりパーキンが一番お気に入りのクオンとやっぱり親子。
パーキン
なろう漫画なら完璧に主人公の踏み台にされる噛ませポジションのキャラだっただろうと思う人。しかしその実態は作中きっての聖人君主。ぐう聖とは彼のためにある言葉。ソルティ国の未来は明るい。
公明正大、冷静沈着、そして質実剛健。まだ16歳とは思えないほどに人間が出来ている。作中通してクオンの味方であり、癒しとなっている存在。彼がオーギスの暴走で怪我した時のクオンの行動は、彼氏に甘える彼女そのもの。もうお前ら結婚しろよと言いたくなる。カナタと混じったんだから、いつかクオンが女体化したときは、クオンは真っ先にパーキンの元に行きそうなほどに、クオンのパーキンラブが濃い。最後の締めもこの2人だったし。なんだかんだでクオンが唯一「対等」でいたいと思っていた相手。メリやナツメなどのクオンに惚れた女たちは、クオンはこれも無意識に「庇護対象」として見ていた節があるが、そんなクオンが意識的に「対等」でありたいと思い続けていたのがパーキン。クオンにとっての特別は誰か? と聞かれたら、自分は真っ先にパーキンと答える。トゥルンもそう言ってる。弟のクオンとはこんな関係になったのに、当初の目的だった姉のカナタの方は出会って一日で眼中になくなったのがもろ分かりで笑える。
ザッハ
見た目イケメン、中身イケメン、即ちイケメン。
最初はちょっと軽い印象を与えるが、ちゃんとした自分の信条をどっしりと据え、状況をみて物事をよく考える冷静さも持っている。でも完璧人間ではなく、やはり納得出来ないことには感情的になることもあるなど、ちゃんと人間としての「隙」もある。でも感情的になった後でも、その後冷静になれば譲歩することも出来る。ザッハが出てくるシーンは、パーキン同様に安心して見ていられる。オペラが頼りきりになるもの、シュナが惚れる理由もよく分かる。あと本人は気づいていないっぽいが、性格はほとんど男版トゥルン。シュナはいい男を捕まえた、婆ちゃんの慧眼は正しい。オペラとの関係は恋人ではなく終始兄妹だった。暴走する妹と、その手綱をしっかり握っていた兄、というのが適切な感。、ザッハが全面的にオペラを守り、世話していた印象しかない。多分オペラだけだったら絶対どこかで野垂れ死んでるのは間違いないだろうし。ただ、オペラ以上に目が離せないシュナが現れたことにより、庇護対象第一位がオペラからシュナにめでたく移行した様子が分かる。
クロック
クオンとは血縁関係にある年の離れた従兄弟。公爵の息子で、後継者としての自覚に溢れ、公子と慕われるのも当然という感じの、これまた人間が出来た男。カノムの未来は明るい。30歳という年齢もあって、年代が一つ上のためか、フレンドリーながらもクオンとは一歩離れた距離感で接している。しかしガジェータスの騎士物語に絡むと、男の子の血が騒ぐのか、茶目っ気たっぷりなところも見せてくれる。人間的に良い意味で重みがあり、奇をてらったところもなく実に「安心できる男」。クロックが出てくるシーンもやっぱり基本的に好きだった。
あとどうしても「ロードス島戦記」のパーンを彷彿とさせてやまない。名前覚えるまで「あれ、名前なんだっけあのパーンの人」と唸っていた記憶がある。
個人的にはサーリィよりティアンの方が絶対お似合いだと思うのだが、ザッハといいクロックといい、安定して頼れる男は、どこか「放っておけない女」を傍におこうとするのかもしれない。ティアンは立派に自立した女性だから、互を必要としなかったんだろうか。自分は正直サーリィは苦手。
シュナ
ザッハの彼女。それこそが彼女のアイデンティティ。
最初はクオンに群がる女の一人かと思われたが、クオンに対するそれはあくまで推しに対するガチファンのそれであって、恋愛対象としては見ていなかった。なので頼れるイケメンが現れたら、あっさり堕ちた女である。まあザッハは心も見た目もイケメンだから、そんな男に助けられたらシュナでなくても
落ちるよ、うん。
魔法については問答無用の才女なのだが、メンタル弱々かつフィジカル面が残念そのもの。でもその残念さがザッハの庇護欲を掻き立てるので、気弱なシュナをしっかりもののザッハが守る形で凹凸がきちんと嵌ってるカップル。君たちは今後もそのままでいてくれ。なんだかんだで最後はザッハの方からシュナに告白したのは、さすがザッハ、イケメンだ。
マカロ
初登場時は小物感満載だったのに、話が進むにつれ話の清涼剤になっていくおっさん。正直この話、というよりこのサークルさんのキャラ、特に女キャラ、さらに恋愛絡みの女キャラは、自己中で女のダメなところが爆発しているようなキャラが多く、お世辞にも性格がいい、人格者、と呼べるキャラはほぼいない。そんな中常識や良識をきちんと持ちながらも、適度にくだけた態度やおちゃらけた言動をしてくれたのが、このマカロ。それだけでなく、クオンに政治的な相談を受けた時などは冷静な分析をしっかりと話すなど、大人としての風格もきちんと備わっている。正直、女のメインキャラの中でこのおっさんよりしっかりとした識見と常識をもってるのが、トゥルンしかいない。どうなってんだこのゲームの女キャラ。
失礼にならない範囲で女性を食事に誘ったりもしている。でもこれでも「女好き」という印象はない。なのに作中ではなんかそんな風に言われていたので、このゲームの「女好き」の基準がイマイチ分からん。
ガジェータス
ヤン・ウェンリー。この人物を評するのに、これ以上適切な言葉はない。
500年前の勇者。でも権威によって与えられた虚構の勇者などまっぴらだと、権威にツバ吐きかけて捨てた男。オーギスがめっちゃ振り回されたあげくに暴走して狂い、ルビオルですら「その立場に酔ってしまう」という勇者という立場を、『権力の操り人形』と切り捨てた姿は、勇者というより賢者。
でも普段は怠け者の冴えない優男。もう、なんていうかあらゆる要素がヤン・ウェンリーだった。彼とクオンの関係は、まんまヤン・ウェンリーとユリアン・ミンツなのが面白い。後半のクオンの行動指針はガジェータスの言葉を受けてのものだということがよく分かる。クオンが女だったら元の時代に帰る前にガジェータスの子を身ごもっていた可能性が0とは言えないくらい、クオンに与えた影響が強い人。
でも、この人が「子々孫々にいたるまで、勇者の誕生まで技を鍛えよ」なんて言ったとは思えないので、「500年後の子孫に当たる人で、クオンの心情に共感した人は可能限り助けてやってくれ」と遺したのが、どんどん極端化して「あくまで個人の信念による援助」が「絶対守るべき家訓という義務の鎖」に変わってしまった感じがする。これも人間社会の恐ろしいところ。
そうした家や権威による「鎖」を、誰よりも嫌ったのがガジェータスだったというのに。時の流れは無情。
ルビオル
500年前の偽勇者をやらされていた人。見た目だけなら完璧な勇者。イキり散らしたあげくに偽物だったと判明し、顔面真っ赤にして暴走したオーギスとは違い、初めから自身は偽物と認識し、かつその立場は自分には荷が重いを感じていたためか、本当の勇者(ガジェータスからすればそれすら偽物)と対面しても、どっかの坊やみたいに激高して我を忘れるようなことなどもなかった。
クオンの容姿がどストライクで、しばらく行動してもクオンが女性だと信じて疑わなかったところが気の毒。美しさは罪深い。男だと分かったあとでも「男でもいいか……」とならなかったところは、彼個人の性格の立派さを示すなによりの指標。
しかし、兄はクオンに惚れ、妹はアスパルトに惚れたと思うと、スカリ一族に対するこの親子の特効具合は凄まじい。500後の子孫もクオンに即堕ちしてるし。
メル
ルビオルの子孫。彼とメリのお家騒動が、クオンの物語のある種の始まりだったと言える。彼もクロック、ザッハ、パーキンと並んで人格的に優れた、安心して見ていられる好感度の高いキャラ。作中のとあるキャラもクオンに群がる女キャラたちの暴走具合を見て「まともなのはメル伯爵しかいない」と評するくらいに人格者。
天才の妹に比べて魔法の才が乏しかったが、それを努力によって埋めたすごい人。作中数少ない拳法家なのに、見た目は優美で繊細な麗人。ギャップがすごい。というかどう見ても妹のメリより美人。そういえば先祖のルビオルも顔の造形は妹のパルメラより整っていた。カナタとクオンといい、どうしてこの世界の2人兄妹(姉弟)は男の方が美人なんだ。スカリ一族でありながらクオンに堕ちなかったところは、努力によって培われた精神修行の賜物か。
しかし、常識人かつ物静かな性格ということもあり、後半出番が少なめ。個人的に好きなシーンは、クオンが魔王だと宣伝された時に、おめおめと帰ってきたメリに対して「なぜクオン様の傍に居続けなかった」と叱りつけたところ。しっかりと妹を叱れるお兄ちゃん。
ズコット
これまた、なろう漫画だと間違いなくかませ以外のなにものでもない典型的なやられ役。事実初登場時の印象はまさにそんな感じだった。しかし、母を失ったことをきっかけに次期領主として成長していく。母の形見を見つけることにクオンとカナタが手伝ってくれたことを恩に感じたことを皮切りに、態度は相変わらず大げさに威張る感じなのだが、しっかりとした識見を持つようになり、軽はずみな言葉を吐いたり、どっかの偽勇者のような感情に任せた行動をすることもしなくなっていく。表情が硬いながらも恐怖の対象だったファーブルトンとも正面切って会話が出来るようになったところも、成長が分かるポイント。パーキンやザッハのような、すでに人間が出来ているキャラも安心できて良いが、ズコットのような成長していくキャラも好き。ハクルの未来は明るい。
つかよくメロンさんの件許せたな。
スターアニス
見た目変態、態度も一見変態、しかしその実態は芯の通った心意気を持った男。魔族随一の話のわかる男で、ぶっちゃけナツメは彼と結ばれても問題なかったと思う。
最初から愉快なキャラだとは思って好感度高めだったけど、終盤の株の上がりっぷりは凄かった。スターアニス株は初登場時に買っておくべき。
ニッキー
男は黙って拳で語れ! 拳がダメなら蹴りでもいいぞ!
昭和~平成初期の熱血少年漫画の主人公になれるべき器のキャラ。単純明快、自分の強さに自信を持ちながらも、それでも足りないところを求めて努力する姿勢はまさに熱血主人公。
だというのに魔法適性が補助向きというのが、愛嬌になっている。でもファッジに対する面倒見の良い兄貴感からみるに、案外性格にあってるのかもしれない。個人的な好きなやりとりはカナタとの
カ「女の子相手でも拳を向けるの?」
ニ「男女で分ける必要なんてあるのか」
カ「女の子は大事にしないとダメでしょ」
ニ「大事にされたいなら戦場になんか来るな」
これでカナタが論破されてるのが面白い。そしてニッキーはただ「勝ちたい」「勝負したい」だけであって、恨みとか嫉妬とか、そういう感情とは無縁の、本当にカラっとした陽性のキャラ。なんというか夏の熱い風のような男。
どっかの姉への執着心と嫉妬心からアホ丸出しで暴走して、本物をいつまでもひがんでる根性曲がったニセ勇者は見習うべき。
ミノタウルスの魔族のナンが同じ気質をしてるから、ニッキーはナンと喧嘩友達になればいいと思う。
カルディナ
このゲーム恒例の、初登場時からの印象が大きく変わるキャラ。黒幕っぽく登場したが、中盤以降のファッジ、ニッキー、フェンネルとの擬似家族のお母さん感がすごくなる。実際お母さんになるんだけど。あと魔女っぽい服装と喋り方で騙されたが、意外と若かった。EDの化粧落として普通の服を着たときに、ああ、たしかに若いなと実感。
服装のせいだろうけど、絶対シュナの家の関係者だと思ってた。なんだろう、あの前掛けみたいな横から見たら丸見えのデザイン、流行ってるんだろうか。500年前のパルメラも着てたけど…
ピュレ
作中で扱いが雑でひどい人。なんであんな雑に扱われないとダメなんだと憤ったこと何度か。なんの見返りも求めないでクオンを助け続けた彼女は、もっと感謝されてもいいはず。
実際実の母のハナツギは、36にもなってまだ「母である前に一人の女」みたいな立ち位置やってるわけだから、より母親らしいことやってるのはピュレなのは間違いない。母親はどんな時でも無条件に子供を守ろうとするが、クオンに対するピュレの態度はまさに「母」。子供に対しての害になりうるものは敵視し、牙を向け守ろうとする母性本能。そんなピュレに対する態度のせいで、自分の中のカナタとハツナギの評価は大きく落ちている。少しは感謝しろよダメ母&アホ姉。
実子のシロと再会出来て、そしてお母さんと呼ばれて本当に良かったと思う。正直、自分はヨウカも好きになれないキャラ(このキャラも母親としては失格だと思う)なので、本当にピュレの扱いがひどい。このゲームの減点対象の一つ。彼女はもっと報われるべき。
セムラ
物語の後半で出てくる、寡黙で眼光が鋭い、まさに歴戦の兵士、という感じのキャラ。敬語に不慣れで貴族相手にも思わずタメ口を聞いてしまうが、そこで焦ることもなく泰然としてるところに、彼の決まった覚悟を感じさせる。
戦争中に多くの戦友をなくし、なのに自分だけ生き残ってしまったが故なのか、常に死に場所を求めているのが態度でありありと伝わる。そして実際魔法を使えないユニットの中では一番強い。単純なビジュアルならカシューに次いで二番目に好きなので、かなりえこ贔屓して活躍させた記憶がある。
終盤は兵士仲間のビターという新しい戦友が出来て、彼の心境も少しは変化があったのか、無闇に死に場所を求めるような危うさは減っていった。本編終了後に、新しい生き方を見つけてくれることを願う。
あと、このゲームダメージ差分がかなり豊富で作り込みがすごいんだが、他のキャラはみんな瀕死の状態だとめっちゃ苦しそうな表情だったり絶望一歩手前みたいな表情になるのに、セムラさんだけ静かに微笑んでるんだよね…… ああ、ようやく俺も戦友の元へ行ける、みたいな。
トゥルン
飄々とした態度、軽い言動、現実的な意見。でもそれは彼女の見せかけの姿で、彼女の本当の姿は家族が大事な世話焼きのお姉さん。とくに同腹の弟のシェケルの対しては、もはや過保護の域。
自分が憎まれ役をやっても、家族や周囲の和を大事にする人で、基本常に損な役回りをしてばかり。そんな彼女が感情的になってロクムを倒す決意をするという、まさに堪忍袋の緒が切れた結果、その汚れ役を家族の中でもっとも争いごとに向かないアシュレーにさせてしまった、という痛恨事になってしまった。むしろというか、やはり根っこのところでコクト兄妹の中で一番争いごとに向いてないのはトゥルンではないだろうか。彼女にとっては不幸なことに、そうした難事に対処できる能力があったばかりに、紆余曲折を経て本当にひどい目にあった人。ピュレ同様、トゥルンには幸せになってほしいと思っておる。
とはいえ、あまりクオンと相性がよくないのがネック。クオンは基本「手の掛かる奴」を第一に見てしまうので、トゥルンのような「手のかからない自立した女性」は、凹凸がはまらない。
でもFDがあればトゥルンをメインヒロインにしてあげてください。正直メリにクオンはもったいない。
オペラ
感情全開で後先考えないキャラはあまり好きではないのだが、オペラは最初から最後までどこまでも感情に正直で、ブレないその姿は一周回って好きになっていた。
トゥルンやハルヴァに対しての態度がそれで、村を焼いて家族を殺したファーブルトンは殺してやりたいほどに憎いが、その娘であるトゥルンたちまで、その憎しみを飛び火させない姿勢は素直にすごい。あくまで父は父、娘は娘と別個の人間としてちゃんと割り切っている。「私が憎いのはファーブルトンで、娘のアンタじゃない」なんてセリフは、復讐に生きる人間がそうそう言えることじゃない。
だってこのゲームには嫉妬と偏執から粘着暴走ストーカーと化して、粘着対象だけじゃなく周囲の人間全部「目障りだ! 死ね!」みたいな言動してイキり散らかしたシスコンなんかもいたことだし。流石に比較対象がゴミ過ぎたが、それでもオペラは単純ながらもまさに火の玉ストレートないい女だった。
キュネフ
コクトの科学力は世界一ぃぃぃぃぃ!!
少々頭でっかちでどうしても研究者気質が抜けないところはあるものの、結構堂に入ったコクトの次代っぷりを発揮していた人。感情に流されることなく物事を捉えられるところは、やはり値が研究畑の人間だからだろうか。EDで未来の機械を見たときに興奮しっぱなしだったところが、個人的にツボ。
あとライフルがなんだかんだで強くて、後半かなりのダメージソースになってくれたのにはビビった。出番的には多くないんだけど、要所要所できちんといぶし銀の活躍をしていたように思う。目立ったシ失点がなく、細かく加点していった末、総合評価がかなりいい結果になった、みたいな印象。
以上が主な気に入ったキャラになります。その他のキャラについてはだいたい一言にまとめての紹介になります。
カナタ
双子の弟への執着が普通にキモイ。笑って許せる範囲を超えてる。後半体を乗っ取られたせいもあり、なんか印象薄いし、成長らしい成長をした印象もない。クオンとどこで差が付いた。
シロ
仲間になってから影が薄くなった不遇な子。敗因は普通に可愛くまっとうな感性を持っているせいだろうか。このゲーム、女性キャラは出番の多さと性格の歪み具合が比例関係になってる気がする。
ジャレビ
恒例のマスコット幼女。今回はニンジャ。作中で何かと優遇され、出番も活躍も多いキャラだが好きにはなれなかった。立ち位置的は賑やかしで、物語の中枢からはいつも外れていた感じ。でも正直最終版の里の下りはクオンが絡まないと殺して排除で終わりになるのを如実に表したイベントで印象的。薄ら寒いものを感じた。
ボーロング
立場に縛られてた人。年齢のせいもあるのか、どうしても思い切った行動に踏み切れず、結局悔いの残る結界に終わってしまった可哀想なおじいちゃん。でも最後だけは後ろめたい思いなく戦えて良かったかな
ムース
出番とステータスに恵まれなかった不遇な人。忠義一徹のそのキャラ立ちもカシューと被ってるので余計に気の毒。
ファッジ
意外と成長した男。でもオペラより復讐者としては下。オペラの復讐は収束されたもので不純物がないものだったが、ファッジはファーブルトンには関係ないクオンに飛び火させ、実行したのは減点評価。ピュレに斧で殴られても文句は言えないと思うが、謝れたことで成長を示した。何しろ謝れていない奴がいるからね。
メリ
立ち位置的にはメインヒロインなんだろうけど、それは面倒な奴ほど放っておかずに構う、というクオンの性分によるところが多いように思う。才能と人間としての器が釣り合ってないキャラ一号。でも二号よりは遥かにマシ。そのせいで周りからの評価は割と散々。いつも強がってるがメンタルクソ雑魚。誰かに寄り添ってもらわないと生きていけないタイプ。まったく同じタイプがコクトにいるが、そっちよりは遥かにマシ。
ビター
ガジェータスファン三号、一号はクオン、二号はクロック。その客観的にして詳細な旅の記録で、念入りにオーギスを殺しに来てる人。未来の巨匠。
タフィ
姐さん、という感じのキャラ。行軍にはこういう人材も必要だよね、って感じがして物語に深みが出る。このゲーム、人格的に出来た女性は基本的に出番が少ない。
ロクム
多分根は優しい人。とくに弟たちにも評判が良かったこと、アシュレーを保護していたことからもそれが伺える。ほんとあの赤毛、存在自体が害悪だな。
アシュレー
成長したんだかしてないんだか分からん奴。あまり好きにはなれない。オーギスは一度突き放さないと更生しないと思う。それができない限りアシュレーも成長したとは言えない。あと普通に五歳離れた弟に恋するのはキモイ。
ハルヴァ
腹ペコ鬼娘。頑張って真面目ぶってるけど、根は天然気味。でもその頑張り具合を周りから温かい目で見られてる。だが優等生を演じようと頑張るあまり、大局や大事なことを見落としがちになることが多かった。気をつけろ、それはロクムが通った道だ。
レヴァニ
脳筋に見せかけて、色々頭が回る人。というか問題の根本を把握して、それに対して一直線の最短の解決方法を取りたがるから、脳筋に見えるのかもしれない。この人を殺した外道と手を組んで勇者を殺そうとした弟がいるってマジ?
ストラ
可哀想な目に遭った印象しかない。なんも悪いことしてないのにね。この人の両手足折った挙句に石化の毒を直接流し込んだ外道と手を組んで、勇者を殺そうとした弟がいるってマジ?
ロクマ
まあ、ロクムの同腹のこの人がトゥルンやアシュレー恨んじゃうのは仕方ないと思う。でもその怨恨を整理しようと、自分を変えようと努力する姿勢は好感が持てる。礼儀正しいのもポイント高し。
シェケル
コクトの良い方のシスコン。というかトゥルンがブラコンなのかもしれない。なんというか姉弟のあるあるな関係をみせてくれた。
バクラバ
正直彼のアシュレーに対する感情は、コンプレックスの発露による錯覚だと思う。ボネと暮らしていくうちに、自分でもそれに気づけるようになるだろう。彼も成長枠。ボネは見る目があるよ。
ヨウカ
師匠としてはいいのだろうけど、母親としてはどうなんだ? という人、個人的に毒親だと思ってる。根拠はカダユフの性格。
ラドゥ
脳筋に見せかけたインテリ。まあ魔法使える時点で自然科学に造形深いからね。この人も出番に恵まれなかった。
エイシュ
ごめん、一ステージ限りのお助けユニットだと思ってた。てかツイスターがお助けでこの子がメインユニットな理由が分からん。
ボネ
真面目なエルフ。だが苦労人というわけではない。そもそも積極的に関わろうとしないから、面倒事に巻き込まれない。賢い。男の見る目は確か。意外と若いことにびっくり。ピュレより年上だと思ってた。
ソルベ
こちらも真面目なエルフの族長、てかこの世界のエルフって人間と寿命変わらない感じなのが珍しい。
ハツナギ
親であることよりも女であることを選択した、ある意味正直な女。だが親には持ちたくないタイプ。ピュレに対する態度が最悪なので個人的評価は低い。
ラクガン
意外と弱いことにビックリ、基本ユニットにして強さを数字化しないほうがよかったまである。老いには勝てなかった。
カクラム
次元大介。それ以外何を言えと……?
フェンネル
残念ながら彼女は性格が良い。そのために出番が少ない…… かと思えば意外と出番に恵まれていた気がする。アスパルトやクオンに群がる女はなぜか性格や態度に難がある者ばかりだが、フェンネルはその例外と言える。お父さん子なのも好感高し。
ヘイゼル
今の世の中の常識に疑問を思う人だが、おそらく娘のフェンネルがああじゃなかったら他の人間と同じだったんだろうな。でもきっかけはなんだろうと変われたのは立派だし、彼の知識でストラを救えたことは確かな功績。娘想いの良き父親。
ベニエ
貴重なクオンのタメ口友人枠。どう見ても12歳くらいだが実年齢は19歳…… 19歳!? もはや合法ショタ。お前にエクレアは似合わないというより、エクレアにお前はもったいないと思う。
エクレア
剣聖という大層な肩書きのわりには強かった記憶がない。見た目だけなら彼女こそクオンの姉を名乗れると思う。モフモフに魂を売った女。
サーリィ
うるさい。常に文句言ってないと生きていけんのかお前は。口を開けば文句と我が儘しか言ってない印象。クロックは恋人というより保護者の気持ちでいるのだと思う。
ティアン
正直こっちの方がクロックにお似合い。冒険大好きフィジカル激強の足癖の悪いシスター。しかし服装はどうみても女冒険家。性格に問題がないので出番が少ない。それにしても水の魔法使いは体術使いが多い。
教皇ナパージュ
作中で顔がよく、魔法が使えるだけの無能、という評価を受ける人。そして何も否定できない。
ミント
聖職者から性職者のジョブチェンジした人。クオンに群がる女の中でも、その欲望を隠そうともないヤベー女。口を三日月にした立ち絵は変質者具合が5割増。でもその欲望に忠実な姿勢は嫌いじゃない。
ストロベリ
ハクルナイトシリーズその1 真面目な29歳、驚きの29歳、頑張れ29歳。やっぱり常識を持っている性格に問題のない人のため、出番が少ない。
ナッツ
ハクルナイトシリーズその2 こっちは納得の29歳。常に攻撃力アップのバフを撒いてたイメージ。
レイズン
ハクルナイトシリーズその3 ガジェータスの子孫お前だろ、と言いたくなるくらいに見た目の雰囲気が似てる。性格は全然違うけど。攻撃の射程距離の関係で、一番活躍した人。
ジャモカ
ハクルナイトシリーズその4 ハクルの美少年枠。真面目で悩みと葛藤があって、変わりたいと日々頑張る美少年。見た目と境遇のポテンシャルだけなら主人公になれる男。
オレッジ
ハクルナイトシリーズその5 ハクルの美少女枠にして天才枠。コクトの天才枠に比べると、才能の面では及ばないが、人格面ではそもそも勝負の場に立てないほど差がついている。陽キャの美少女と粘着シスコン、どうしてここまで差が付いた。
メロン
ハクルナイトシリーズその6 いくら戦争でも治療中の法術士を殺すのはルール違反だろう。そんな蛮行に及んだ勇者のまがい物がいるらしい。ハクルの人間は許してはいけない。
レモン
剣で料理するヤベーメイド。でもそれくらいじゃないとせの戦場を生き残れないか。肝っ玉姐さんメイド。
パステル
わかりやすく美少年に弱い姫。500後の子孫ならもう他人なのでセーフ。姫騎士だが露出は少ない、安い女では断じてない。でも美少年にはキスを強要する。
バナジェッツ
素顔を見せろ。勇者の書記担当初代。多分ビターのご先祖さま。
ポルボロン
モフモフ一号。伝説になった男でもある。その手でどうやって鍛冶をするのかは謎。あと人間のメスに抱きつかれて嬉しいんだろうか? 自分より何倍も大きな生き物に抱きしめられるのって、怖くないか? 逆の立場になって巨大なメス猫に抱きしめられる姿を想像すると、かなり恐怖なんだが
フィナンシェ&タルトタタン
モフモフ二号&三号。名前が直球で美味しそう。繰り返すがやっぱり自分より何倍もある生き物に抱かれるのは怖いと思うんだ。
ユベシ
画に書いたような剣士ジジイ。画に書いたような剣士の生き様を示し、死に華を咲かせた。
ツイスター
悪いことしてないのに、性格の曲がった妹に逆恨みされてる可哀想な人。剣術だって人並み以上に使えるし、子供に構って遊んであげるのが何よりな楽しみなマイホームパパ。そりゃ前当主だって、魔法しか取り柄のない性格の悪い妹なんかより、多少魔法は弱くとも人格円満な兄を選ぶよ。
魔族
ナツメ
いろいろとあざといサキュバス。でもクオンに群がる女たちでは一番マシなのがこの子。目指せ子供10人! 彼女一人で少ない魔族の繁殖に大分貢献出来ると考えれば、魔族の未来は彼女にかかってると言っても過言ではない。(現在大陸の魔族数、100人以下)
ネクロム、アセスファ、ディル
この3人についてはなんというか分かりやすい悪役。でもディルに殺されてた方がオーギスは楽だったかもしれない。分かりやすく敵意を向けやすい分、戦いやすい男たち。ディルが最後クオンの側についたのはちょっと意外だったが、こいつはこいつなりに魔族の未来を考えていた節があったから、他二人とは根本の考えが違ったのかもしれない。
ドゥルチ、ナン、カルダ
この3人は成長枠の敵キャラ。考え方が柔軟で、彼らが魔族のスタンダードなら、たしかに500年後の未来は来るだろうと思わせてくれる。でも暗黒の未来での彼らはどうなったのか気になるところ。
マドレー、アネット
むしろ君たちなんで敵対してたの?枠。ナツメやスターアニス枠で良かったのでは…… そもそも性格が争いごとに向かなすぎる。
チクロ
こいつを制御できるかどうかが、魔族との共存の試金石といったところ。恐怖で押さえつけてはリューシャと同じだが、甘やかしては付け上がる。これはカナタの成長力が試される。
魔王リューシャ
孫娘の体を乗っ取るエロじじい。
サツカ
壊れた未来から来た、壊れた心の魔族。もういろいろと最初から手遅れだったんだと思う。あの未来で一人だけ生きていたという時点で、異常な精神構造になっていることは疑いない。むしろあの未来でまともな精神をしていたら、絶対に発狂する。赤子に戻ったのは不死鳥の魔族という特性のおかげだろうか。最初に子供クオンが夢見たセリフを言うことで幕が開いた物語を、サツカ(新)が500年越しに同じ言葉を誓うシーンで幕を閉じるというのはニクイ演出。
次に、好きにはなれなかったが印象深かったキャラを紹介します。
ファーブルトン
結局、彼の人生はなんだったんだろうか。成功だったのか、失敗だったのか、大失敗だったのか。
彼は貴族としての在り方を全うしたが、それはしかし時代によって全否定される負の遺産として後世の記録されることは、EDのサツカ(新)の未来を見れば分かる。コクトは彼が一代で築いた国とのことだが、結局彼の元に残ったものは何もなかった。子供に後継者として序列を付け、競わせた結果、一位のオーギスは大陸中に恥を晒す偽勇者という醜態、第二位のロクムは生来の性格に沿わぬ無理をし続けた結果無残な最後を遂げ、第三位のトゥルンはコクトを捨てた。彼の眼鏡はことごとく間違えたことを、知らしめられることになった。
領土は増えず、それどころか傘下であったブラン家は半ば独立し、むしろ減ったとも言っていい。そして本領の民は魔族侵攻時に見捨てられたことからも、コクト家に不信を向けることは疑いない。
最後に残った後継者のキュネフもクオンと同調路線を示しているので、父と戦う意志をすでに明確にしている。ファーブルトン自身もそれで良いと思っているようだが、結局家族に多くの犠牲者を出し、多くの兵士を戦争で死なせ、得るものなく時代の徒花となる彼を、歴史はどう裁くだろうか。
野心を肥大させ、無為な侵略を図った愚か者か。それとも滅びゆく貴族という形に殉じた殉教者か。それともあえて敵役になることで勇者の元の団結を狙った信奉者か。
個人的には、ファーブルトンは自分の力で貴族社会の歪みを正したかったのだと思う。しかし、50歳という年齢になり、自分の限界が見えてしまった。そしてこれまでの自分がやってきたことを振り返り、今更自分が貴族社会を正すなどといったところで、響かない鐘の音になるだけだということも理解した、してしまった。
だから、子供たちに託そうと考えたのだと思う。しかしロクムはただコクトを継ぐだけなら不足はないが、彼の夢である貴族社会の是正など出来ようはずもない。自分に憧れる限り、その上限が自分になってしまうのだから。だから天才であるオーギスに一縷の望みをかけた。自分の血筋に類まれな天才が生まれことも、やはり彼も人の親だったか贔屓目をしてしまったのだろう。オーギスの器を完全に計り間違えた。オーギスの暴走ほど、彼の人生の中で痛手もなかっただろう。もっとも期待をかけ、もっとも手を尽くしてレールを敷いてやった相手が、最悪の形で期待を裏切ったのだから。ED後のかれの老け込みは、そうしたことに疲れてしまったせいもあるのかもしれない。
クオンが魔王だと思考誘導されたときは、それが破滅との綱渡りだとわかった上で、渡りきれると踏んだんだろう。クオンを魔王に、自分の息子を勇者に仕立て上げることで大陸を調整し、勇者の名のもとで改革を行う、それがファーブルトンの描いた青写真だったのだろう。残念ながら肝心の「勇者」がまったく使い物にならないどころか、最悪のやらかしをしてしまったことで綱渡りに失敗し、彼は堕ちた。まあ、そのオーギスの精神を追い込んだのもファーブルトンの方策のせいなので、結局彼は「策士、策に溺れる」の見本となってしまった。
自分の失敗を痛いほど理解していたからか、最終的にファーブルトンは、自分にも、そして子供達も出来なかった貴族社会の是正という目標を、自分が望んだ形ではないにしても、その方向性を示したクオンに全て託したのではないだろうか。
カダユフ
なんとなくだが、彼は自分の血族を縛ってきた「ガジュータスの遺訓」を誰よりも嫌っていたのではないかと思う。
彼は「クオン」ではなく「勇者」を守ると何度も公言してる。「俺は『勇者』を守る。そして勇者はお前(クオン)だ、だからお前を守る」という彼の言葉を逆説的に捉えれば、「勇者であれば誰でも構わない」と言っているも同然。カシューの項目でも書いたが、カシューが「クオン個人」に対して忠誠と守護を自らに任じていたのに対し、カダユフは最後まで「クオン」という個人と触れ合わずにいた。
自分の一族を数百年も縛ってきた教え。それ以外の生き方を許さなかった鎖。それに対する最大限の反抗が、心情を封じ、感情を一切出さない合理的な行動に終止すること、ではなかったか。
カダユフにとって勇者の守護はどこまでいっても「義務」であり、自分の心情や信念から出たものではない。だから目的遂行のためならば、冷淡、非情な行動や提案も平気で行う。
結果でいえば、カダユフがオーギスを勇者にしたことによりオーギスが暴走し、魔王リューシャ復活の原因を作ってしまったわけだが、オーギスにとっては絶対に忘れたい黒歴史になること請け合いのこの出来事も、カダユフにとってはむしろ願ったり叶ったりではなかっただろうか。
なぜなら、勇者と魔王は二つで一つ。魔王が復活しなければ、勇者もまた現れない。どちらかひとつでも現れなければ、「魔王と戦う勇者を助ける」という自分たちの一族の「義務の鎖」はいつまでも解かれない。だからこそ、あの瞬間リューシャが復活し、ある意味長年の使命からの開放が決まったことに、内心カダユフは喜んだのではないか。勝っても負けても、使命に縛られ続けた人生は終わるのだかから。
しかし、カダユフにとってはそれでもよくても、それで暴走してねじ曲がったオーギスや、そんなオーギスの有様をみて悲しむアシュレー、自分が関わった暗殺偽装で壊してしまったコクトの兄弟関係などを見て、彼もようやく自分がやったこと、関わったことへの罪悪感が芽生えたのだろう。また、自分たち一族を縛る元凶だった先祖ガジェータスが、そんな義務の鎖を課すような男ではなかったことをクオンたちから知らされた時のカダユフは、どんな心境だったのだろう。
彼がEDで大陸から離れ、ガジュータスの辿った道を自分も歩もうとしたのは、彼が生まれて始めて芽生えた「彼自身のやりたいこと」ではなかったか。おそらく彼は、もう2度とこの大陸にも、クオンたちの前にも現れないように思える。
そして最後に、明確に「嫌い」と言えるキャラ。これ以降は基本的に罵詈雑言になります。ご注意を。
オーギス
粘着野郎、嫉妬むき出し暴走マン、ヒステリー男、近親相姦ダメ絶対、コクトのダメな方のシスコン、成長どころか退行、偽勇者、大陸中の笑いもの。
悪口を並べようと思えばいくらでも並べられるキャラ。クオン、ズコット、シュナ、ファッジ、スターアニスなど、本編開始時や登場時から大きく成長したキャラもいれば、もともと完成度が高かったが、より高まったパーキン、クロック、ザッハなど、ほとんどキャラが良い方向に成長した中で、オーギスだけはぶっちぎりで転落したキャラ。ほぼ唯一と言っていい闇落ちキャラ。変化が横ばいで、あまり成長が見られなかったとかではなく、本当に落ちるところまで堕ちた。
やらかし列挙
・アシュレーと一緒にいるクオンに嫉妬し暴走、不意打ちでクオンを殺しかける
・その傷を治していたズコットの部下のメロンを、嫉妬を暴走させたままに殺害
・オーギスの凶刃からクオンを庇おうとしてカナタがユナイトした結果、魔王復活
・記憶操作されたとは言え、人格は変わらない。だというのに自分を勇者だと慕っていたコクトの人間に剣を向け、殺害する。
・姉であるレヴァニを殺し、ストラを拷問の末石化させたサツカと共謀し、クオンを暗殺しようとする。
・クオンを庇ったパーキンに瀕死の重傷を負わせる
・これだけのことをやらかして置きながら、謝罪や反省の様子はない
いやもう、ダメだろこいつ。なんというか、いいのは顔だけ。顔がいいだけのクズ。アシュレーはあれだね、ホストとかに引っかかりそう。もしくはヒモ男を飼うタイプになりそう。ダメ男に尽くしちゃうタイプの人、いるよね。アシュレ-はまさにそんな感じ。
いやさ、こいつが「万能の天才」とか言われても、信じられないんだわ。まあ中盤まではまだ良かったけど、後半のダメダメっぷりはもう、どう頑張っても擁護のしようがない。ファーブルトンの評価通りに、人間としての器が小さすぎる。その上シスコン、姉を恋愛対象と見るとかキモすぎる。それはエロゲーの中だけにしとけ。
正直、ビターが書き記すであろう新しい勇者物語を読むこと確実の大陸中の人からすれば、こいつの評価はいったいどうなるだろうか。どう客観的にみても「自分を勇者だと勘違いしてイキリ散らかしたあげくに本物の勇者を何度も殺そうとしたニセモノ」以外にならんと思う。おそらくサツカ(新)の未来の500年後までその醜態は語り継がれるんだろうなぁ。でも実際にやらかしたことだからね、仕方ないね。一生笑いものにされながら、姉の背中に隠れる人生を送るのがお似合いだよ。まあ王になったらしいけど、つまりは面倒くさい政治関係を押し付けられる係りになったということでしょ。頑張ってクオンたちが神の塔とかを冒険してる最中も、一人寂しく事務作業に励んでくれ。、まあそんな場合でも最終的な責任はクオンが持つだろうことは間違いないけど。こいつに責任を持たせてはいけない。
ちなみにこいつだけは29章から使えるようになったとでも、一度もLv上がらなかった。まあ開始位置でずっと棒立ちさせてたからね。
ミルフィーユ
生理的に無理。このサークルさんの作品に、なぜか必ず出てくる別の女を信仰対象のようにしてるキモイ女。そして周りには暴言、とくに主人公に悪口を言いまくる。いやもうほんとこいつは無理。
そしてこいつの一番嫌なところが、メリに対する依存が、メリのためではなく結局自分が報われたかっただけだった、ということ。兄のツイスターとの確執が判明した時、地金を晒したというか、正体を表した感じがした。結局この女は、自分が不当(本人の思い込み)に当主になれなかったという悔しさを、メリに代替させていたに過ぎなかった。メリ自身はメルと仲良くしたかったのに、この女がメリを焚きつけて、クオンがくるまでこじれにこじれる関係まで追いやった。
本当は大好きだった兄との関係修復をしてくれたクオンに、メリが感謝し惚れるのも無理からんことなのだが、それに対しこの女はクオンに嫉妬むき出しで敵意と暴言を向けてくる。メリがこんな性格になったのは、そもそもお前が原因だろうが。
この女は一見メリ第一に行動してるように見えて、結局は全部自分のため。なのにこの女はその事実から目を背けてる節がある。オーギスのように堕ちはしなかったものの、一切成長せず、むしろ正体が暴かれたキャラが、この女だった。いやもう、ほんと嫌い。こいつも一周クリア時に極端にレベル低かった記憶がある。周回プレイ後でも一切の経験値は与えていない。