あれ…おかしいな、目から汗が…
ただの獣っ娘萌え作品で終わらないあたりが、さすが都築さんと言えるのではないだろうか。
とらハシリーズも暖かい作品ではあったものの、癒しに関しては本作も最上級。
開始30分、ゲーム開始して間もなくの悲しい展開には正直驚いた。
ただ亡くなった主人を待ち続け、その死と直面するシーンでは思わず切ない涙が……
そして日常は主人公と同居人や周囲の人々、またそのペットたちとの穏やかな時間。
特に笑いを誘うようなシナリオでもないので、下手するとまったりしすぎて退屈になりがちなところだが、
ところどころでスパイスを利かせたシナリオになっており、飽きを感じさせないあたりが素晴しい。
ただの雰囲気ゲー、泣きゲーとは一線を画した非常に味のあるシナリオの出来だと思う。
登場人物に関しても、とても魅力的なキャラばかりで、キャラがシナリオの足を引っ張るようなことはない。
主人公は最初こそクールを気取っただけのキャラかと思いきや、決めるところではしっかり決める、
またペットに対する接し方などにもクールでありながら暖かみが感じられる。
ペットたちが主役的な位置を占める本作でありながら、主人公の立ち位置もしっかりしていたのは好印象。
更に、里沙や撫子などの人間キャラ、わんこを始めとする動物キャラも非常に可愛い。
中でも特にお気に入りだったのは里沙(ヒト)、わんこ(犬)、クゥ(猫)。
里沙はひとりエッチ大好きを公言するヒロインというのが珍しくてツボにハマった。
わんこに関しては、可愛さだけでなく主人を想うひたむきさに心打たれた。
また、この手の作品だと癒し、萌えに力が入って、エロにまで手が回っていないかなと思ったが、
動物の発情期や里沙の性癖などの設定がよく活かされており、エロゲーとしてもしっかり作られている。
それでもエロメインというわけではないので、濃さに関してはそうでもないが、
シナリオとエロとのバランスはそれなりに上手くとれていたように感じられた。
総合的に見ても、個人的な名作足りうる作品ではあったが、惜しむらくは攻略ルートの少なさ。
ただ、逆にこれくらいの短さにきっちりまとめたから味わい深さがあったのかもしれないが。
ラストも非常に暖かい感動で終わることができたため、プレイ後の満足度はかなりのもの。
獣っ娘好きはもちろんのこと、未プレイの人には間違いなくおすすめできる作品。