死生観をテーマにする作品は少ないと言えないが、本作みたいのは初めてかもしれない。シナリオライターは巧妙にいくつかの矛盾を設定に嵌め、プレイヤーに異なる世界とその中での過酷さを表現した。けれど残念ながら日常シーンはテーマと遠く離れてつまらない。
まずは欠点についていろいろ。
日常シーンが酷い。おっぱいがいくら好きでも毎度おっぱいって話さなくてもいいと私は思う。
加えてテキストも殆ど無関係で、シリアスなシナリオ(あるいは話題)に切替える時に何度も不自然さが感じられる。
藍と鈴の声がマズイ・・・最初に聞いた時ギヴアップしそうなレベル。
咲子√の後半のテキストは極めて読みにくくて理解できない。
アドバイス:ゲームを最大限に楽しめるため、怜√を最後に攻略することがオススメです。
ネタバレ注意
ここからの内容はあくまでも個人的な感想しか過ぎないので、意見が違う場合はご容赦ください。
序章
女神はうるさがった。
最初は軽音や学園ものだと思ったのでいきなりGODSという病を授業で語りはじめた時にかなりのショックを受けた。正直、なんの話もさっぱり分からない状態で物語が進め、謎の転校生が現れ、そして軽音部は作られた。
ここまでは平凡な展開だったが、みずほの両親の事と世界の現状の事を知り始めたからこのゲームの本当の姿は見られた。
設定について。
人はGODSに罹る。人にラブレプリカの臓器を移植するのはGODSのただひとつの治療法。ラブレプリカは人間と同じ外見を持っているが、愛で生きてる。最も愛する人間からの愛が消えた時、A-10死という現象は起こりラブレプリカの死を告げる。そしてルベライト試薬はラブレプリカと人間を区別できる唯一の手段。
本当の設定は何倍も複雑だったが(エレナ博士とか)、主にそういうところです。
そして合宿シナリオに切替、何もかも始まった。
エリザベスの死にライターはいくつかの伏線を設けて、後で起こる事件を試演した。その目的は多分プレイヤーに世の過酷さを表現することでしょう。
エリザベスを殺したからみんなは「ラブレプリカに人権を与えるべきかどうか」について議論し始めた。キャラの根本的な違いはここにすべてプレイヤーに表した。各√もその議論での意見を基調にし展開するものだった。ともかくとても素晴らしいワンシーンだった。
鈴とのデートは特に光ることがなかったが、そのイヤリングは象徴としてとても役に立った。
みずほについて。
私は序章のみずほが好きだったが、残念ながらみずほを選んだらお終いだ。みずほの愛はラブレプリカである鈴の愛よりもっと忠実な形をしている。誰かにすべてを捧げたい気持ちはきっと尊敬すべきだが、この理不尽な世界では通じない。通じて欲しくても主人公は鈴を選んだ。
二章
藍
さすがに藍√は酷い。本当に何も知らないままでエンディングまで一直線だったなんて・・・
咲子
私が浅はかな存在かも知れないが・・・これは流石に無理だった。わかるのは「ファーストの藍」は第三者かもしれないことのみ。
強いて言えばちょっとご都合主義展開に近いな。主人公が突然に天才になってルベライトへの疑問(具体の話は覚えていないが)を提出する時が特に。
みずほ
愛を追うひと
みずほ√は良かった。もはや最初から私が望んでいるのはそういう結末かもしれない。みずほは主人公と一緒にいられるように頑張ってきた甲斐があったというわけだな。流れも特に不自然なところがなく、ハッピーエンドに一番相応しいのだ。
みずほはそう語っていた:「どうして、私はこんなに醜いんだ?」
みずほを動かすのは「愛」。生きるか死ぬかという選択肢に満たされた世界に愛を追い続ける人はきっと醜くないはず。これはみずほが最後に成し遂げた恋、鈴の代わりに。
千佳
愛をするラブレプリカ
本当は主人公のお姉さんのラブレプリカという事実は序盤からお姉さんのCGによってなんとなく感じられる。本来ならラブレプリカは厳密に管理されるはずだが、千佳は主人公の両親の関係で人としての生活を送っていた。
みずほ√と同じ、みずほはGODSに罹ったが、今度の助け役が鈴のかわりに千佳になった。彼女は鈴と違ってどんなに主人公を愛しても絶対にみずほを救う、最後の選択肢がそれを証明した。年下のお姉さんでありながらも、区別をするラブレプリカだから。
鈴
愛で生きるラブレプリカ
みずほと違ってラブレプリカとして主人公を愛している。基本的にはいいシナリオだが、エピローグにみずほに子供を産ませてほしいって言ったから印象が落ちた。彼女が自分の事(特に、子供が産めない事)を自覚してたのはいいことだとしても、いくら過酷な世界に生きてるとしても、そんなこと言ったらダメだよ。
特に光るシーンはみずほと鈴が屋上にお互い説得しようとしたシーン、もしくは二つの愛が重なったシーン。
怜
非常にまとまった裏話。
二人目の鈴、三人目の鈴や亜透お父さんの実験と目的についてはすべて解明した。読み終わった瞬間になにもかもつながっているような、十分に楽しめた気がした。
ちなみに
エンディングテーマは「愛のうた」で、グランドエンディングテーマは「藍のうた」と推測する。