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bitter_snow_fragmentさんのDeep One -ディープワン-の長文感想

ユーザー
bitter_snow_fragment
ゲーム
Deep One -ディープワン-
ブランド
Nameless
得点
30
参照数
3683

一言コメント

クリア後に思ったことを色々と(※辛辣な意見が多めです) 

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず色々と騒がれている点について
・攻略不可能キャラとHシーンについて:通常個人的には、Hシーンが少ないまたはないこと自体は気にしないが、今回は発売前公式が全くこの点を告知せず、むしろ期待させるような発言ばかりしていたことを考えると、怒る人が大勢いるのは当然でしょう。
・分割について:上記と同様、全く告知しなかったことは悪質です。
総じて言えば、公式及びライターの堀之内氏は、ユーザーに対して不誠実である、という印象です。

 以下は、あくまでも私個人が気になった点を述べます(以下で、比較対象として上げる「Fate/Stay night」、「魔法使いの夜」、「11eyes」はいずれもクリア済みであることを予め申し上げておきます)。結論から言えば、挙げている問題点は一応分けておりますが、相互に関連しており、結局は描写が薄い、描写不足に起因する、と考えております。以下で上げる問題は、既に指摘されている方も大勢いるでしょうが、敢えて私からも述べさせてもらいます。まとまりのない文章ですがお許しください。

 まず容量(15GBほど)の割にストーリーがあっさりとしていた、という印象です。おそらく容量のほとんどは演出分に使われていたのでしょうか(正直に言えば、演出自体はすごくても、そのすごさに見合った物語の水準であったかは疑問符が付きますが)。
 というのも、Fateでしたら開幕からアーチャー対ランサー、ランサーに襲われる主人公、セイバー対ランサー、セイバー対バーサーカーとユーザーを盛り上げる戦闘が始まります。その後も各キャラの顔見世を兼ねて、ライダー、アサシンやキャスターらも登場します。そして戦闘を見せるだけでなく、主人公である衛宮士郎がどういう人間かも併せて描かれていきます。
 これに対して、Deeponeはそもそも戦闘が少ないですし、その戦闘の多くも消化不良な感じで終わります。これは個人の感覚と言われればそれまでですが、Deeponeの戦闘シーンは消化不良な中断で毎回終わる印象です。校庭でのカスミ対篤、屋上での衆逸対沙耶は、これから盛り上がるぞという所で終わってしまう感じ。ぶっちゃけ、その後何度も戦闘してくれるならば文句はないのですが、Deeponeではその後再戦とかはないわけで。
魔法使いの夜の場合、戦闘回数はFateより少ない印象ですが、それでも一回の密度とそれを高める演出のレベルが高水準です。遊園地での草十郎と青子、人形対青子、青子対有珠の流れは初見時興奮した記憶があります。
11eyesは、(全体的に間延びしている印象を与える原因の一つでもありますが)一応敵と味方側のバトルが何度か行われ、その過程でキャラクターの戦闘スタイルや個性・信条も開示されていきます。
 何が言いたいのかと言うと、Deeponeは戦闘回数が自体が少ないし、その少ない戦闘でキャラクターの個性や信条が掘り下げられているかと言うと疑問符がつく、ということです。Deeponeでの学校の戦闘などは、Fateで言えばライダーと慎二組との顔合わせに対応するのでしょうが、Deeponeでは本当に顔合わせで終わっている印象です。圧倒的に描写が足りない。体験版でこの戦闘シーンを見たときは、顔見せレベルの戦闘だけど製品版で他に濃厚な戦闘がいくつかあるならまぁ…な感じだったのですがねぇ。

 次に、全体的な描写の問題とそれに伴う主人公側の問題です。
 Deeponeで主人公側は、家督争いの結果、昔なじみと敵対することになります。普通に考えれば、そこでは友人と戦うことへの葛藤や疑問が生じ、戦いの中でそれがぶつかり合い、それがやがては互いの信念の激突という形で現れる……と期待するのは、過分な要求でしょうか。
 ぶっちゃけて言えば、私は迷う主人公や途中まで戦わない主人公でも全然構わない人間です(当然、限度はあります)。11eyes(これは戦わない期間が長過ぎ、戦い始めれば無双しだした印象が強いですが)では主人公が戦えない自分と守られる自分、幼馴染を守れないことへの葛藤なり悩みなりが描かれていた覚えがあります。つまりキャラの立ち位置に対する描写がしっかりしていれば「ある程度は」許容できるのです。
それに対して、Deeponeの主人公は学校にいる嫌な先輩から襲撃される際の描写は私にはイキっているようにしか見えませんでしたが、それでもこのときはいざというときは戦う主人公なのかな、と思いました(極めて個人的な好みを言えば、篤でなくても主人公には苛つきました。家柄に恵まれて、周りの境遇も知らず、なぜか友人たちやクラスメイトには慕われ、街の人には妹共々もてはやされ、実は才能やら実力もある。そのくせ本人はそれに安住している。体験版でもあった商店街での卵当てのくだりは、私は正直嫌悪感を持ちました)。
 しかしその後、昔なじみの友人と敵対する段では、カスミに戦う覚悟がないのに口を出すなとか、と怒られるキャラになります。これは誇張し過ぎではと思われるかもしれませんが、嫌味な先輩の場合も、篤との敵対の場合も、妹に危険が及ぶ可能性はあり、なおかつ篤の場合は主人公が憎むウェンディゴあるいはヴィクティムを生み出すことができる、という事情があります。友人と戦うことが嫌だと思う、何故だ、どうしてと思うのは人間として当然です。しかし、イキってたシーンでの印象と篤と戦いたがらないシーンを整合的に解すれば、主人公は「武道の達人で自分より弱い見知らぬ人にはイキるが、見知った人には手心を加える。かといって憎むウェンディゴに対して正面から勝てる実力があるわけでもない」人間にしか見えませんでした。その割に妹と家族を護る覚悟覚悟言うものですから、本当に覚悟はあるのか疑問ですし、覚悟に見合う実力があるかも疑問です。あと、カスミたちにも家族になってもらいたんだ云々は、説明不足すぎて理解が追いつかないです。もっと読み手に納得できる言葉で説明していただきたい。
 それとこの家族になって欲しいとか家族を守る云々というのは、もともとの家族のはずだった透花がされたことを踏まえれば、空虚な台詞にしか思えません。兄に執着している、自分の手で主人公を倒したい、という都合のいい設定がない場合(つまり他の人間が篤や透花の立場だったならば)、このセリフを聞いた篤や透花らが開幕主人公を殺しに来る可能性の方がはるかに高いと思います。主人公は当然(たとえ知らなかったとは言え)これまで自分が忘れていた妹の憎しみや怒りに正面から向き合う必要があったと思うのですがねぇ。

 そして、篤と戦うことへの葛藤こそ本来は生かされるべき描写でした。厨ニバトルゲーは戦闘とその中で戦わされる信念や覚悟のぶつかり合いこそ本領発揮の場面です。学校での篤との対峙シーンで求められたのは、篤に対して何故こんなことをしたと問いただす主人公です。カスミにほいほい説得されて、篤が自分と敵対した理由を最後の最後まで有耶無耶にしてしまう主人公ではありません。たとえ力が及ばなくても、篤を止めに行こうと殴りかかるくらいの熱さと無鉄砲さを持つ主人公のほうが、好ましく思えるのは私だけでしょうか。結局その後、主人公はいつの間にか覚悟を決めてしまいます。そして篤が戦う理由を主人公が考える機会もありません。
 厨ニバトルゲーを謳うなら、戦いの中でそれを仄めかすなり、主人公の持つ信念を揺さぶらせてみろ、と言いたいです。普通の作品ならば、あの篤が何故こんなことを?と疑問に思い、戦う中で篤にそれを問いかける、そうして物語を進めていくといったことをするのではないでしょうか。

 上に挙げた問題と重なりますが、校庭での敵との顔見せ後のまともな戦闘シーンが、修行シーンというのは個人的にはいただけません。別にやってもいいのですが、カスミに主人公を認めさせるシーンに使う尺及び演出(と無駄な容量)があるくらいなら、陰翳礼讃や篤と主人公をバトらせておけよ、と思いました。おまけに沙耶との修行シーンでいきなり発狂して辺り一帯を破壊し始める下りは、失笑ものです。主人公に秘められた力を披露するシーンは敵との戦闘シーンにもってくるべきではないのですか。別に修行シーンで覚醒するのもいいけど、覚醒した主人公の強さを示す戦闘シーンはキング・クリムゾンされ、重症を負った沙耶だけが示されるのは消化不良ですし、主人公の強さへ説得力を増すことには繋がりません(おまけに何があったのか知らされないのは、主人公としても哀れです。己の力への葛藤といった要素につながらないのですから)。私は修行シーンには不満で、早く戦闘シーンを寄越せと思っていた時、主人公が覚醒すると思い、こんなんで覚醒して暴走するのかよと思いつつも期待したのですが、肝心の描写がなく終わったことに笑うしかありませんでした。
 またまた他の作品で例えて恐縮ですが、もしFateがサーヴァント同士やマスター同士の戦闘ではなく、遠坂凛に自分を認めさせるために行うセイバーとの修行シーンに大量の尺を割き、おまけに修行の途中秘められた真の力を開放したことでセイバーに手傷を負わせるものの、それを知らされることはない衛宮士郎が主人公で、おまけにその後セイバーの戦闘シーンはない……という展開だったとすれば、ユーザーは金返せ、と言うでしょう。

 ついでに言えば、カスミと主人公の戦いは割と良かったと思います。しかしここで妹のテレパシー能力を使っての連携というものを1から10まで披露して、以後妹と主人公が戦いの中で連携するということを全くやらないというのはどうなのでしょう。篤やら衆逸やら陰翳礼讃やらとの戦いで有効活用することがなかったのは、使うべき場面が間違っていると思わせます(主人公を励ますためにテレパシーを使うことを、ここでは連携とは考えておりません。それは完全に一応出番ありますよアピールでしかありません)。
 というより、カスミの戦いが基本的に相手と互角に渡り合い、裏をかき、そして派手な演出を見せてくれることもあり、戦闘の面白さをほぼ全て彼女が持っていきます(ただ最序盤のカスミと師匠の戦いなどに顕著ですが、「◯◯だった」・「実は◯◯でこういう仕掛けだった」を連発しすぎていてテンポが悪くなる感じがしました。そういうのは一応漫画なのでスラスラ読めるBleachでは許されても、演出やテキストを読むエロゲではテンポが悪くなります)。ぶっちゃけ、敵キャラの掘り下げをカスミさんがほとんどやってくれている印象です。それに対し主人公がやったことと言えば、自分より弱い嫌味な先輩相手にイキる(主人公は武道の実力あり)、手加減してもらってるカスミ相手に妹の手助けを得て勝つ、カスミとの戦いで弱っている陰翳礼讃を制御できない力で追い払う(決して仕留めたわけではありません。おまけにこの時「やめてくれ(この力を制御できないから)」と繰り返すさまは苦笑です)、よくわからないけどすごい力を使って篤やディープワン化した衆逸と戦うくらいです(ビルでの亜紀と爽貴との共闘はただの茶番ですし、最後に書くようにこの辺りに至るまでの問題も多いです)。

 肝心の篤戦に至ると、ここまででユーザーの大半は主人公ではなく篤を応援しているでしょう。というか、陰翳礼讃との関係といい篤の方が描写に恵まれていますね。多くは書きませんが、その後の透花の描写も合わせると、篤と透花を応援したくなります。篤戦での主人公の開き直り方、最終決戦での透花に対する九花の「全て受け止めるから」などは、何様だよいいかげんにしろよお前ら、と思ってしまいました。最終盤は、篤の境遇と思い、透花のキャラクターと描写そして声優さんの演技力のおかげでプレイする意欲が生じていたと言っても過言ではありません。比較されるのはFateの桜ルート最終盤でしょうが、向こうとDeeponeは比べるのは本当に向こうに失礼です。透花に対する主人公側の向き合い方は、本当に酷いです。元々コメントをしなさそうなカスミはともかく(本当はともかくで済ませるのはどうかと思いますが)、盲目的な忠義キャラという記号でしかない沙耶は主家の歪みとも言える透花に思うところはないのかほぼ無反応、主人公はもう少し殊勝な態度とかを取れないかと思う淡白さ、妹は相手を煽っているのかと思うような「会えてよかった」まで言い出します(このセリフは記憶違いではないですよね……?)

 付け加えると、お手伝いであり後見人である一葉の思いや描写も全くないため、プレイしている側からすると、主人公側を讃えて敵対する相手を見下しているキャラにしか見えませんでした。最初の出番が雛森家のシーンでそこで出てくるのが、どう考えてもユーザーにドン引きされる視野狭窄時代錯誤の雛森のババアなので、余計にその印象を強めます(こいつも同じ穴のムジナか的な)。体験版では、商店街のシーンと併せて雛森家のシーンを見せられた挙げ句、屋上での篤からの説教が入るので、私はこの時点で篤に共感していました。話を戻すと、最終盤で出てくる一葉もイキった挙げ句、透花にやられるキャラでしかないので、透花の残虐性というよりは「そりゃこんな奴らに憎しみを持つのは当たり前だよなぁ」と思います。透花も決して篤や衆逸を蔑ろにしてはいないので、余計に主人公側が酷く思えます。憎しみに染まった透花(実際は魔導書?)の方が半分歪みつつも篤や衆逸に目を向ける描写があるので、ほぼ無反応の主人公側が非道に見える。憎む相手から更にどうでもいい扱いをされる透花というのは、描写不足の問題かそれとも書き手の問題か。

 大変長くなり恐縮ですが、何が言いたいのかと言うと、透花の憎しみや篤の憤り、衆逸の覚悟に相応するものを、主人公側は全く示せていないというのが問題です。主人公には特筆すべき信念や覚悟はなく(家族を守りたい云々は、結局読み手に説得力を示せていないと思いますし、透花の境遇からすると空虚な台詞にしかなってません)、沙耶は作中で狂っていると言われるくらい忠義忠義なので見ている側は共感できませんし、そんな奴がなにか言ってもなぁ、と個人的には思いました。厨ニバトルゲーで、アレな人間や倫理・常識と反する性格や信条を持った人間が出てくるのはよくあることですが、沙耶の場合、主人公に尽くす理由も曖昧で、存在意義やら役目やらも「狂ってる」と作中で言われるだけで、正直読み手としては彼女に、厨ニバトルゲー的なカッコよさを持っている、あるいは信念を持った頼れる味方、と感じたことはありませんでしたし、そんなのに慕われても嬉しくはありません。特に屋上での戦闘では、衆逸からお前の考える秤や物差しと異なるからと言って、理解しようともせず、一方的に俺たちの考えを間違っていると断ずるな、と言われています(ニュアンスを十分に再現できないのは私の文章力の問題です)。厨ニバトルゲーではこれを言われて反論できていない時点で、沙耶の負けですね。ここは掘り下げられていませんでしたが、主人公側とくに沙耶はこの指摘を重く受け止めかつ乗り越えるべきでした。篤や衆逸の方がはるかにカッコいいセリフを言い、厨ニバトルゲーらしいキャラをしています。
 ちなみに私が思うに、主人公側全体に共通している問題(=この作品全体に欠けているもの)とは、「陰で虐げられた者/
犠牲になった者 / 疎外され排除された者の思いを、知ろうとする・理解しようとする・受け止めようとする姿勢」です。一つの例を挙げると、沙耶は忠義の対象やら長年の掟しか見ておらず、始めから自身が犠牲になることは何も問題と思っていないため、本家の犠牲となった者らの辛さや憤りをそもそも理解しようともしていません。普通の作品ならば、自分とは似て非なる境遇の者の思いや感情を知れば、人は己の価値観を揺さぶられ、少なくとも相手の覚悟や思いというものを、賛同はできないにしても理解する、という流れが来ることを望むのは、私の勝手な期待だったのでしょうか。
 なおカスミは良くも悪くもそもそも揺さぶられる信念やら覚悟やらを抱いていないキャラですし、厨ニバトルゲー的な葛藤をそもそもしないキャラです。マイナス要素が少なく、戦闘シーンがこの作品の中では面白い、ということからそこまで嫌悪感はわきません。もっとも、ドライなキャラのせいで葛藤やら何やらは当然行えないという。
 
 というか、Fateや11eyesと違って篤たちが悪役と即座に断言できるか疑問なのも主人公側の薄っぺらさの原因です。前者なら聖杯戦争での被害や聖杯の悪用を防ぐ、後者なら(物語の当初においては)黒騎士の目的を防ぐ・正当防衛というのがありました。魔法使いの夜も相手が自分の命を狙ってきているといった理由があったと思います。ライターの描写不足のため、結局篤が民間人をウェンディゴ化させたのか、マンション内にウェンディゴを解き放ったのか正直不明瞭ですが、少なくとも篤は積極的に一般人を巻き込む外道戦法とかを取らず、あくまでも憎いやつ(主人公及び親族)を倒したいという目的で戦っています。つまり、良くも悪くも狭い範囲でのお家騒動なわけで。そして主人公側への印象がそんなに良くないのもあって、「ぶっちゃけ代替わりして篤が一番偉くなっても別に主人公には不利益ないし、雛森が老害な理由でキレて、カスミがよくわかんないけど主人公側についているからややこしくなったんじゃ……」疑惑があります。後半明らかになる本家の近親婚やら透花の下りなどで、主人公側に正義はないどころか(それまでのストーリーの流れのせいで)無知である主人公らに悪印象を与えてしまいました。
 陵辱され精神を病んでいった透花、己への怒りと無力感に苛まれ力を求めた篤、命をかけて戦う覚悟を決めて傷つき人の姿すら捨てた衆逸の描写を見た後、この物語の冒頭と日常シーンを思い返したとき、篤が憤るのも無理はないと言えるでしょう。篤が、主人公の家族を守りたい云々の台詞を聞いたかどうかよく覚えていませんが、殺意を覚えたでしょう。透花が主人公に執着しているというご都合主義がない場合、家族云々言っているのを聞いた透花は、間違いなく主人公を即座に殺しに来たと思うのですが、どうでしょう。この作品の主人公に信念あるいは覚悟や行動原理というものがあったとしても、それはピンポイントで相手の地雷を踏み抜き、相手を侮辱するようなものだった、という。

 最後に以下、気になった点や思ったことを細々と。
・設定を匂わせるのは厨ニバトルゲーだしいいけど、それにしても中身がないし、設定だけ語っている感じがすごい。
・ほのめかすだけ、語ってみただけのシーンが多い。その説明が、本当に後々出てくる話と整合していたかは大いに疑問です。
・繰り返しになるが、主人公の覚醒の仕方は理屈はよくわかんないけど強い力でブッパしているだけに見える
・幼少期、どういう経緯で全てが始まったのか、しっかりと描写してください。
・主人公の鍛錬(時速60km以上で走る自転車に妹を乗せて)云々は、ネタでやってるのですか?
・暴走してすることが妹を襲うことって……これも近親相姦を繰り返してきた本家の血や本能かなにかでしょうか。というか、このシーンは夢なのか否かもよくわからない。
・主人公と妹のために半身不随になった友人へのその後のフォローは? というかエピローグを用意していないせいで、ぶつ切り打ち切りENDにしか見えない。
・全体的によくわからない説明不足も多い:例えば、屋上での沙耶対衆逸のシーンも、朝は家にいた沙耶がいつの間にか屋上にいることになっている。私の記憶では、「実は追跡していた」「異変を感じ取って瞬間移動した」とかそういう説明はありませんでした。続編で説明するのかもしれませんが、続編への布石・伏線と、最低限この作品の中で読み手に何故そうなったのかを説明しなくてはならないこと、は絶対に違うと思うのですが、どうでしょうか。一々覚えていませんが、この作品を読んでいく中で、直前の説明と違う・矛盾する描写は、極めて多くありました。
・ビルでの共闘シーンに至るまでの展開も、忠義キャラの沙耶は何故一人で主人公を行かせるのか、妹や沙耶は主人公の危機を感じ取れないのか、と釈然としない要素が多くあり、酷いです。これらの問題は、衆逸の実家の神社に行く下りでもまた生じます。というか結局、主人公は衆逸が敵だと最後まで気がついていなかったのか、知っていたのか。知っていたなら、いつかから知っていたのか。神社の下りで知っていたなら何故主人公は迷わず行ったのか。こういう疑問点が次々湧いて出てきますが、この作品ではこういうのが多く生じています。
・作中のキャラの立ち位置や設定を見る限り、Fateと比較されるのは不可避でしょう。パクリではなく、換骨奪胎・オマージュは創作物として大いに推奨されるべきものですが、残念ながらこの作品は元ネタの模倣の域を超えてはいないと評価せざるを得ません。

 以上、大変長くなりました。ここまで読んでいただいた方には、お目汚し失礼いたしました。
 最後に次回作?続編?について。ライターを変えて一作目をまっとうなレベルに書き換えない限り、続編を買うつもりはありません。