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bitter_snow_fragmentさんのPURELY×CATIONの長文感想

ユーザー
bitter_snow_fragment
ゲーム
PURELY×CATION
ブランド
hibiki works(暁WORKS響SIDE)
得点
75
参照数
339

一言コメント

クールに見えてとんでもないポンコツだけど成長著しい葵澄怜というキャラクターの魅力

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

E-moteでキャラクターが動くことの利点として、セリフだけでは伝わない音声でも伝えきれない、キャラクターの微妙な感情や思いを動きで伝えられるというのがあると思う。

特に、葵澄怜というキャラクターにE-moteは抜群に合っていた。クールに見えてとんでもないポンコツの彼女が、親しくなっていく内に見せる様々な表情や思いというものが、目線や口元・頭の動きで表現されていた。
本編の1ヶ月の間での「急成長」っぷりには若干違和感というか都合を感じなくはないものの、冒頭の声をかけられなかった澄怜と本編ラストの成長した彼女の対比は良かったし、アペンドで描かれたアルバイト・ビデオカメラ・映画の撮影・研究会の立ち上げに至っては感無量モノ。特に映画の撮影時は、本編で彼女が何を考えていたのかが彼女自身の言葉で語られるのだが、これが実に読ませる。本編・アペンド問わず、映画好きな彼女の紡ぐ言葉や思いは、いわゆるオタク的熱意とはかけ離れている。けれど、控えめながらも心の籠もった言葉から彼女が映画を愛していることはこの上なく伝わったし、映画の中の人々と自身を重ね合わせるような所もあったり。
正直、自分でも驚くほど彼女の成長物語と、秋野花氏の演技力に魅せられた。またいつか記憶が薄れた頃、彼女のシナリオを読み返してみたい。