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asteryukariさんのコイ×ミツ ~千葉静玖とサボテンの手紙~の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
コイ×ミツ ~千葉静玖とサボテンの手紙~
ブランド
とるてそふと
得点
70
参照数
314

一言コメント

ヒロインの魅力を引き出すようなシナリオになっていたかは微妙なところだが、前作ヒロインを立て、次作への期待を高めるような作りになっていた点はとても好印象。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作から派生する形で物語はスタートするわけだが、まあ紗折ちゃんが可愛い。前作のヒロインでありながら今作のヒロインを喰らってしまうような勢いでバンバン可愛らしい一面を見せてくるので気持ちもかなり揺らぐ。前作を起動しそうになってしまったくらいだ。

今作のヒロインである静玖は主人公の幼馴染であり、女友達の一人すらいないという主人公にとっては最優良物件…なのだが前作ではあまり見せ場が少なく、あったとしても嫉妬するシーンばかりでイマイチ魅力が伝わってこなかった。

加えてそれは今作でも変わらない様子でメインヒロインになったことにより、以前にもまして紗折や双鳩に対して嫉妬心を抱くようになっていた。おまけに自身の恋心を自覚していないせいで主人公の告白を断ってしまうなんて爆弾みたいなおまけもついてくる。正直、序盤にのみ限って言えば本作のどこに魅力があるのかわからなかった。

しかしながら恋心を自覚してからは晴れて恋人関係になり、恋人らしいやりとりをするようになるので、それまでと比べるとだいぶ良いなと思う部分も増える。お互いの趣味を共有し、中を深めていく光景はまさに恋人のそれだ。

では彼女がどうやって恋心を自覚したかというと、そこで前作のヒロインである紗折が登場するわけだ。前作では似非恋愛マスターだったが、今作では本当に恋愛マスターになってしまった彼女。彼女の行動の何が良かったかというと、静玖の意見を聞いた上で自身の考えを述べてくれた点。複雑に絡み合った静玖の糸を、時間をかけて丁寧に解いてくれた。それがとても嬉しかった。前作から常々感じていた事ではあるが本当に良い女の子だ。

また、今回の話で主人公が昔好きだった相手の正体が判明する。薄々気づいてはいたが、なるほどそうやって入れてくるのかと。驚きよりもまず先に感心してしまった。こんなの次回作を買わないわけがないだろう。「どう?初恋の女の子が~だとわかってっ」じゃないぞまったく、早く続きがやりたくて仕方がなくなってしまった。

振り返ってみると静玖自身に魅力を感じたというよりは、静玖の周りの温かさに惹かれたといったところだが、何はともあれ期待していた分には応えてくれたのかなと。エピローグで笑顔を浮かべる彼女を見てやっておいてよかったなぁと。思わぬ収穫もあったのでそれなりに良い作品だったなと今は思う。

次回作が非常に楽しみだ...。