どこまでいけるのか、どこに向かうのか、ずっと見ていたかった。本当に...。
ざくざくアクターズをやり終えて…いやまだまだやり込みが足りないし、追加コンテンツも現在作成中ということで、本当の終わりを迎えたわけではないがとりあえず大きな区切りはついたので感想を書き綴っていく。
もう本当に楽しかった。プレイしている時は勿論、ちょっと一休みする際や所用で外に出ている時でさえ物語の続きが気になって仕方ないし、何よりハグレ王国民の姿が頭から離れない。そんな軽く病気に近いような日々を送っていたわけだけれど、最高に幸せな時間だった。
完走するのに100時間近くかかる長編RPGということで、始める前は多少身構えたりもしていた。しかし、やり始めてみると戦闘のテンポが非常に良く、テキストもスムーズに進んでいく。長さを感じる瞬間、苦になる時間なんてなかったんじゃないかなと。
特に「戦闘のテンポ」に関しては私がRPGにおいて着目する大きな点であり、長すぎても短すぎてもダメだ。制作陣営からしたらその辺の調整が凄く難しいのだろうと思うが、本作は本当に良くやってくれたなと。エフェクトにキャラクターの動きを取り入れつつ、滑らか且つ爽快感溢れる戦闘を度々見せてくれた。
また、スキルの習得に関してもキャラクターごとに固有のスキルはあれど、ある程度自由にスキルを組めるようにしたのはかなり良かったと思う。炎が得意な魔術師でありながら氷や雷の魔法を放つ事が可能になり、その魔法を入れていたからこそ戦況を覆すことができたり。キャラクターによってはスキル欄がお祭り騒ぎになっていた。また、不要なスキルはスキル欄から消すことができる点も非常に優秀であり、オート戦闘もかなり良い動きをするようになった。消したスキルを戻せる点が素晴らしい。
てな感じで戦闘に関しては満点を上げても良いくらい快適であった。故にレベリングで苦労することもなく、ストレスフリーな状態でプレイすることができた。
戦闘の次に気になってくるのが核となる物語。「戦闘や編成自体は面白いけれど、ストーリーは杜撰」そんな作品を今まで数多く見てきたし、最悪それでもいいかなと思っていたが…たまげた。話までしっかりとしているから驚きだ。
様々な事情を持ったハグレ達と出会い、ぶつかり、そして仲間になっていく。いきなり知らない世界に飛ばされて、すぐ環境に馴染めるはずがない。たとえ本人がそういった気持ちになったとしても、周りは受け入れてくれない。そんな少し差別的な話も含まれている。凄いのはこういった話をハグレ達一人一人に対して用意してくれる点で、本当に丁寧に作られていたなぁと思う。
また、仲間になった後に王国での様子を見に行くと色々な発見があって、ちょっとした会話がまたキャラクターの魅力を際立たせていた。中には意外な組み合わせで仲良くなっていたりもして、笑みを浮かべてしまう瞬間も多々あった。王国といってもみんなが平等、皆が仲良し。そんな光景がとっても眩しい。
そうは言ってもやっぱり賑やかすぎるので、中には王国に馴染めない様子を見せるキャラクターもいるのだが、そこは他のキャラクターが上手く支えてくれる。ただ賑やかなだけではなく、思いやりの心にも溢れている。「ハグレ王国」とはそういった場所なのだ。
だから、中盤において元の世界に帰ることができる流れになった際は少なからず動揺した。いくら王国民でも一人くらいは元の世界に帰りたがっている民がいるのではないのだろうかと。私の期待通りの話運びをしてくれるからこの作品は怖い。そう、雪乃ちゃんなんかはまさにそうだと思っていた。そこからの彼女の葛藤、訴えがこれまた素晴らしい...。
そして、本当の意味で一つになった王国が最後に向かえる一戦。戦闘自体はイベント戦のようなものであり、負けることはそうそうない。だから戦闘における熱さについては前のマクスウェル戦や防衛戦の方が勝っている。だが、あの最終戦には見たかったものの全てが詰まっていた。王とは何か、国とは何か、仲間とは何なのか。それらをシノブパパを通してプレイヤーに訴えてくる。涙が出てこないわけがない。
HP「1」をああいった使い方してくるのは上手いなぁと思う。
あまりに気持ちの良い締め方だったので、エンディング中は余韻に浸り続けていた。そして、次の物語が始まるわけだ。
本編クリア後の追加コンテンツとして「魔王タワー」と「水着イベント」が存在する。が、その内容は決しておまけ程度のものではない。魔王タワーに関してはダンジョンに特化した形になっているが、水着イベントにはきちんとしたストーリーが用意されている。そして、その話の出来が非常に良いのだ。
一話はまあギャグテイストの一瞬で終わってしまう小話だが、二話はそれなりミステリーチックな内容になっていて面白い。苦しい戦闘の果てに待っているのがあのオチかよと、その時はモヤを感じたが、実はそれで終わりではなかったわけだ。
水着イベント三話はこれまでの一、二話と異なりボリュームが凄まじい。メンバーもこれまでとは異なり全員参加なのだが、彼女達を仲間にするには任務をこなす必要が出てくる。勿論、お金だけで仲間になってくれるメンバーもいるが。
このシステムを見て「またか」と感じた人も中に入ると思うが、私は違った。また本編のように王国づくりができる、その事実がただただ嬉しかった。
戦闘の難易度も上がってきて、本編の時以上に戦略が大切になってくる。推奨レベルを大幅に超えている場合なんかだと力押しもきくが、それだと戦闘の楽しさが減ってしまう。逆に推奨レベルより少し下くらいの方がギリギリの戦いを楽しむことができるのだ。
この作品は本当に戦闘のバランス調整が神がかっていて、「この攻撃で倒し切れなかったらこちらが負けていた」みたいな勝利がいくつも出てくる。調べてみるとやはり製作者さんはバランス調整に注力していたみたいだ。まったく、こんな作品がフリーだなんて信じられない。
摩訶不思議なイベントや悪魔関連の話、それから謎の裁判などなど、楽しい話題が続いていたので完全にぬるま湯に浸りきっていた。流石はざくざくアクターズ、そんな雰囲気で話が終わるはずなどなかった。いや、ほんとリュウビトの設定にはたまげた。なぜあの龍は喋ることができたのだろうかとか、あの魚は何者だったのだろうかとか、一つの真実がやがて複数の答えへと繋がっていく感覚がもう堪らなかった。
また、古代人がなぜ別世界に移動したのか、そして世界樹の正体なんかも明らかになり、本編の補完にもなっていた。話の内容としては本編より面白かったのではないだろうか。加えて今回はラスボス戦にも力が入れられており、私の場合倒すまでに十戦は軽くかかったと思う。BGMも最後を締めくくるにふさわしいもので、それはもう最高に燃えた。ざくアクにおいて最も厳しく、最も楽しい戦闘だったと自信を持って言える。
はじめにも述べた通り、水着イベントはまだ続くらしいので期待に胸が高鳴るばかりだ。
全ての物語を読み終えて本当に100時間もかかったのかと疑いつつ確認したら余裕で超えていて笑ってしまった。もっと早い人は90時間くらいでクリアしてしまいそうだが、それでもそのくらいはかかるのかなと。だが、この作品をクリアして「長かった」と感じる人は少ないはず。そして同時に「まだまだこの世界にいたい」と思うことだろう。
これぞ没頭する価値のあるゲームだ。こんな素晴らしい作品に出会えた事を大変嬉しく思う。
<温泉ダンジョンクリア後追記>
その日が来ることをどれほど待ち望んだか、あの超名作RPG「ざくざくアクターズ」が2022年9月19日にver1.80へとアップデートされた。今年中にできたらいいなくらいの気持ちで待っていたので、突然の発表と公開に驚きを隠せなかった。
急いでダウンロードリンクへと向かうと、私のように公開の瞬間を待ち望んでいた仲間達で溢れかえっていた。回線が非常に重かったのである。幸い、私の場合は30分ほどでダウンロードできたが、環境や時間帯によっては数時間かかるユーザーもいたようで...みんなのざくアク愛がプレイ前ですらよく伝わってきた。
さて、今回のアップデートは水着イベント4話...ではなく、3話の中に新しいダンジョン、物語を組み込んだEXダンジョン追加である。3話に追加したかたちということで、最初はあんまりボリュームがないんじゃないかとか、3話のインパクトに負けてしまうのではないかとか、ちょっとした不安もよぎったが、心配は無用だった。
懐かしい面々との再会だけでなく、新たな物語も用意されている。それだけで嬉しかったが、中身もこれまでの内容に勝るとも劣らない出来で、本当に作者さんには感謝の念を覚えるばかりだった。戦闘バランスに関しても流石の一言で、今回もまたギリギリの戦いを何度も味あわせてくれた。
もうとにかく褒めちぎりたい所だらけなので、ここからはポイントを絞って感想を述べていく。
本作には温泉から始まって、南の島、スイカ村、海中と4つのダンジョンが存在する。それぞれのダンジョンに4パターンほど地形があって、階段を下ることで下層を目指していく形式である。非常にらんだむダンジョンを思い出す作りだ。魔王タワーにも酷似している。
一つの世界のイベントが終わったら、また次の世界へ....そうやって続いていくわけなので毎回、新鮮な気分を味わえるし、まあ楽しくて楽しくて止め時がわからなくなる。おまけにダンジョンを跨ぐことに新しい仲間も増えていくので...もう頬が緩みっぱなしになるのだ。思い返せば本編や次元の塔もそんな感じだった...。
戦闘だけでなく道中のイベントが豊富な点も嬉しく、中には少し感情を揺さぶれてしまうほどに心温まるドラマがあったりする。本当にキャラクターに寄り添った話を書くのが上手い。みんなが協力し、わいわいやったり、しんみりしたり。本当にざくアクの良さが詰まった良質なイベントばかりだった。これはらんダンや魔王タワーのダンジョンにはない良さだと私は思う。
また、今まで一緒に戦い抜いてきた仲間達とまた新たな戦場に赴くこともできる。その喜びだけで今回もやっていけそうだったのだが、今回はなんと新たに仲間に追加された!サポーターを含めるとその数はなんと10人。ダンジョン外でも自由に編成できるのはリリィとスライミーズ二人だけだが、それでもサポーターたちにはしっかりと会話が用意されているし、物語にも密接に絡んでくる。
おまけにどの子も個性的で凄く可愛いので...また好きなキャラクターが増えてしまう。中でも特に印象深かったのはスライミーズとメガちゃんの二人。
スライミーズはほんとまさかのまさかで、いきなり仲間になった時は少し困惑した。何せ私は彼女達の大ファンなのだから...。中ボスにしておくには惜しい存在だとは常々思っていたので、素直に嬉しかった。しかも本編の時よりも更に愛くるしい立ち絵になっている。仲間に加入したその瞬間から彼女達を全力で育て始めた。リリィはシリアスな場面で登場することが多いのに対して、彼女達の出番は大体、茶番か可愛い反応を見せる時。ミルフィーユとの一件なんかは凄く良いキャラしていて、またあのやりとりを見たいと思ったほど。セーブデータを分けておけばよかったと少し後悔した。
続いてはメガちゃんについて。もうこの子は本当にズルいとしか言いようがない。らんだむダンジョンをやったことがある者ならば"メガちゃん"呼びは自然と出てしまうだろうし、わりと序盤で「もしかして今回の黒幕あいつなんじゃね」と気が付くかなと。モグラ兄貴の「黒い羽」発言で確信して、そこから先はもうドキドキしながら読み進めていた。今作だけみるとメガちゃんは元気な女の子という印象を受けるが、彼女の過去に何があったのか、昔の彼女はどうだったかを知っていると、そうやって元気にやっている姿を見るだけで涙が出てくる。お弁当の話とかを思い出すともう...。
あとは密かに望んでいたマオちゃんとの会話があるのも凄く嬉しかったなぁと。恐らく、全てのらんダンファンが歓喜した光景だろう。二人の会話から彼女達の名前が出るだけで心が躍った。個人的にアオボシの名前を入れてくれたのが凄く嬉しい。
バトルシステムは今までと同じだが、敵の強さ加減も同じ。「ここで回復ではなく攻撃に転じれば押し切れる」といったギリギリの戦いを堪能させてくれる。今回のアップデートにあたってレベルを適正レベルまで落としてきたのだが、正解だった。
詰まったのは途中のモグラ兄貴くらいで、ラスボス戦なんかは本当に白熱だった。次くらいで倒れないと負けてしまう...そんな緊張感のあるバトルができた。ちなみになぜモグラ兄貴で詰まったかというと...大地属性持ちを全く育てていなかったからだ。本当にリリィちゃんには感謝している。せっかく仲間になったのに村八分にしてごめんなさい。
また、本編クリア後の敵が軒並み強いのは嬉しかったなぁと。特に後に後述する裏ボス(最新版)とお師匠様は、こちらのレベルがカンストしていても決して気を抜けない強敵だった。お師匠様に関しては今やっても勝率は50%くらいなのではないだろうか...。
で、肝心のシナリオについて。表シナリオではヒナヒナのお話に心打たれたし、夏時計のお話も思う所はあったものの、あの工房一筋だったカナヅチ妖精が母親になるというのはやはり来るものがあった。ただ、やはり3話のぞくっとするような感覚はなかったので、表シナリオを読んだ時点では多少の物足りなさもあった。しかし、裏シナリオが始まると評価がガラッと変わった。再び味わえたのだ、あの感覚を。
アマビエ所長との通信が始まると雰囲気が一気に変わって、霊子力ネットワークなんていかにもやばそうなエリアに飛ばされる。そして、そこで衝撃を受けることになるわけだ。ヘラちゃんが何気なく言った「何でこの島の人たちは絵になっちゃったの?」という台詞が頭から離れなかった自分はもう驚きで、うわぁ!やってきたなぁ...と。リュウビトの事実を知った時と同じくらい興奮してしまった。
そして、純粋無垢に見える、いや純粋無垢だからこそ彼女が最後の敵だと気付いてしまう。戦う前の作者さんからのコメントも心が熱くなるようなもので、これが本当に最後の戦いなのだということがひしひしと伝わってきた。武器に合わせて立ち絵が用意されている点が凄すぎる。十二の武器が、らんダンの最上位のレア武器な点にもこだわりが感じられる。
ちょっと振り返るだけで楽しくなってしまうし、今もなお楽しんでプレイしている。作者さんもおっしゃっていた通り、今回でざくざくアクターズは完結となる。これを寂しいと感じる自分もいれば、喜ばしいと思う自分もいる。けれども、一番に湧き上がってくるのはただひたすらの感謝の気持ち。
素敵な時間をありがとう。