RPG要素が一般レベルに難易度アップし、オート戦闘で終わらないバランスに。難しくはないものの考える要素が追加され、ゲームとしても楽しめる作品となっていました。シナリオやキャラ個性にも磨きがかかり、旧作シリーズの中では頭一つ抜けたクオリティです。
プレイしたのはWin95版。グラフィックはSFCレベルへと向上され、ヒロインの
ドットグラもより細かく秀麗に。絵的には現代のツクール系RPG以上のクオリティ
です。同人RPGプレイヤーならストレスを抱くことなくプレイできるかなと。
プレイ時間も横道含めれば20時間弱と十分なボリュームです。
お話的にはランスワールドの古の時代について判明する内容。同ブランドの
『闘神都市』にもリンクしていますが、あちらは未プレイでも問題ないかなと。
ランスシリーズも3だけプレイしてあれば理解できる内容です。国対国からスケール
ダウンしたようにも見えますが、今回は世界史がメインなので面白さの方向性が
異なる感じですね。
特徴としては男性キャラへのスポットが大幅に増えた点。リーザス親衛隊のリックが
固有キャラへと昇格し大活躍。敵方にもいい味を出す野郎共が登場し、男臭さがより
増しています。一方でヒロイン個性も3に引き続き掘り下げられていくので、キャラゲー
としては更にパワーアップしています。
唯一残念なのがランスの個性。3までの外道鬼畜は鳴りを潜め、小悪党なセコさと
女にだらしない面だけがピックアップされるように。加えて今回はイケメンセリフも
多数用意されていて、3までのブラックな笑いを期待するとガッカリするかも。
ゼロ年代以降にエロゲを始めたプレイヤーには逆にとっつきやすそうです。
一番の改善点はやはりRPG要素でしょう。適当オートで大半は勝利できた前作から
一転、序盤から主導によるコントロールが求められるバランスに変じています。
特に仲間の増える4章以降が大変。オートで回してるとランスがぼてくり回されて
即ゲームオーバーです。
装備を整え、回復アイテムを用意し、キャラや敵の属性・相性を考えて編成を決めて
いかないと存外苦戦します。終始運用できるリックが強力で救済措置的ポジですが、
それでも苦手はありますし入れておくと見られないエロイベントもそれなりに。かと
いってメリムやジュリアは弱キャラすぎて使えないしで考えさせられます。
イベントをこなせば難易度が下がるバランスもまた良好です。高くて手を出しにくい
装備やアイテムも依頼をこなして値下げできますし、弱キャラには強化イベントが
しっかり用意されています。一部わかりづらいイベントもありますが、それらは幕間で
アリスがヒントをくれるのが嬉しいところ。
難易度も強化を全部こなさないと辛いレベルではなく、気付いた分だけこなして後は
戦闘時の工夫で十分対処できる程度。難しすぎず優しすぎず、シナリオの添え物として
楽しめるバランスで調整されていました。武器防具が大事だからドロップアイテムも
嬉しいですしね。
以上『シナリオ・キャラ・ゲーム要素と全てがバランスよく楽しめる上質なRPG』
というのが私の評です。アイテム管理やセーブ&ロードなど一部UIが小慣れていない
ものの、良作RPGと呼ぶに十分値するかなと。今プレイしても間違いなく楽しめます。
ただし「やり込み要素」に相当するコンテンツは存在しません。90年代後半から
RPG・SLGはやり込み要素が標準搭載されていますが、その辺を期待して遊ぶと肩すかしを
食らいそう。あくまで本編を楽しむ作品である点はご留意ください。
蛇足
「戦闘キツイよ難しいよ」という方には、かなみに敵の攻撃を集める戦術をオススメ
します。防御力はないものの回避力が高く、シィルの回復だけでも大体は間に合うので。
中盤で手に入る「死神の陣羽織」を装備させれば闇魔法への体制も万全。引きつけて
いる間に数を減らせば楽勝です。その上で辛い場合は強化イベント&よっちゃんの
依頼をこなして強化を。