スッカスカな中身
HOOKらしい、よくある学園モノでした。
しかし、よくあるということは何か個性的なモノが無いと他のゲームとの差別化が出来ないということであり、何かプレイを継続させるような要素が無ければただの睡眠導入剤と化すことが多いです。
HOOKはオーソドックスな学園モノの中に、しっかりとしたキャラクターや深みのある恋愛模様を表現してきたことで「質の高い学園モノ」を提供してきた事で定評を得たメーカーだと思っています。
しかし今作はキャラクター・物語のどちらをとっても厚みが無く、スカスカな中身の学園モノを延々と流し続けられるのでとても眠くなりました。
そもそも、いくら質が高いと言っても主軸となるストーリーが無ければグダるのは当然です。過去のHOOK作品であるPriministArでも「手芸部(他の部の手伝い含む?)」があったように、この作品にも「選挙管理委員」という主軸が一応存在しています。
しかしこの主軸のストーリーが全く深く語られず、また「楽しい選挙活動を!」という主人公の宣言を基本として動いているにも関わらず具体的な手法や内容が殆ど語られずにそれらしい活動や取り組みも見えなかったため、結局普通の委員会活動をしているようにしか思えません。深みを出すためにいくつか問題が発生していたようにも思えますが、楽しい選挙をするための活動が見えない以上普通の委員会活動で起きた普通の問題と私は感じましたので殆ど記憶に残っていません。
そして実際の選挙当日にも「こうして選挙は無事完了した。評判は良かった」と結果だけ語られて具体的にどのように楽しい選挙だったのか、楽しい委員会活動だったのかがまるで語られないため、ユーザーとしては「ぽかーん」と置いてけぼりになるか、「ふーん」と流して読むかしかありませんでした。
仮にこの学園生活が「どのように選挙を楽しくしするのか、どのように委員会を楽しくするのか」という活動に焦点を置いて描写されていればもう少し厚みがあったのかもしれません。現状では委員会活動シーンは主人公をただ意味も分からずに持ち上げるためだけのシーンとなっており、「楽しい選挙」の活動を見せて貰っていないユーザー側としては違和感しか残らない展開でした。
このように、全体的にシナリオが薄く、また各ガーリートーキング、選択肢での会話等キャラクターの心理描写も他作品より気持ち薄く感じてしましました。絵師さんの引退作としては少し残念な出来だったように思いました。
せめてPriministAr程度には主人公がどのように活動しているか描写されればもう少し違った気がします。あの作品ではモブキャラとの描写も多めで、主人公が具体的にどうやって他の部を手伝ったかがそこそこ描けていた気がします。