Any time at all, all you gotta do is call and I'll be there. 前半はネタバレなし
Q.『私は女優になりたいの』ってどんなゲーム……?
A.女優を目指す、女子高生のアカネちゃんの笑いあり、涙ありのドタバタコメディです。
……大嘘です。
(以上Chloroのブログ「KOEDAME」2013/03/01の記事より引用)
西暦2236年でこのサイトを(一部)賑わせているChloroの処女作。そのライターもきね氏は、考察ゲーを出す前にこんな馬鹿ゲーを出してました。
(2236年が何? と思った人はまずはChloroのサイトへ行きましょう行きましょう)
声優の卵を使用し全キャラ全セリフに声が入り、大量のカットイン、漫画のコマ割り風演出など、あらゆる表現方法を施しています。
もきね氏曰く、「西暦2236年を作る前に下積みがてら作ったら馬鹿ゲーになった」とのことだが、確かにこのゲームは「カオス」の一言でまとめようと思えば出来る。
「とてもニッチでベタな話」ということで、以下ネタバレ。嫌なら見るな、見たけりゃ見てね、いそいそと。
いやはやほんとカオスなお話で。だけど最後には哀愁を漂わせる。単なるギャグ作品では終わりませんでした。まさかカオスの皮を被った哲学ゲーだとは。上では考察ゲーではなく馬鹿ゲーとは書いたものの、その実この作品も考察ゲーと呼べる気もする。
とはいえ、流石にエスカルゴ斉藤には噴出しましたよ、ええ。「黒崎ルカ」からどうやったらそのあだ名が付くのよ。しかもそのあだ名つけてもらってから毎日楽しそうにしてたってどういうことだよ!
個人的には四章のシュンとトビオのほんのりBL風味以上に、とか言ってる傍から斉藤エミリでビーフストロガノフ斉藤なんて名付けない!
おジ○魔女もプリ○ュアもコレク○ー・ユイもって伏字にしてもモロ言っちゃってるしね。さくらちゃんとか伏字にもなってない。
だけどハンディ○ムはちゃんと音声でもピー音します。なんでだ。EXIL○隠すのはまぁわかるけど。ポ○モン隠すのも仕方がない。ってだから運命とあずにゃんに出会ってしまったとかもうちょっと隠せよもう!
こんな感じで突っ込みどころ満載でしたけど、それでも根底にあるのは「世界から断絶されたアカネの創作」というところだ。
実際に宇宙船がどうなったかまでは物語の中ではわからない。スペースデブリとして地球を周回してるかもしれないし、地球に落下して摩擦熱で燃え尽きてるかもしれないし、軌道から吹っ飛んで地球とは永遠の別れをしたのかもわからない。
だけど、2221年の単独ミッションに失敗したその時から、アカネの意識だけが置き去りにされたことは事実である。そしてかつて天才と呼ばれた少女の頭の中に閉じた世界にごった煮ちゃんぽんが生まれた。
正直に言ってしまうと、割と個々の話という観点で見れば稚拙なお話だと言える。だが、それはまず間違いなく「アカネ」がこれまで作った42の物語という観点から意図的なものであって、決してもきね氏の筆が宜しくないとかそういう話ではない。
化学などそういった方面には秀でていた彼女が、しかし創作のそれは素人であるからこその落差である。正直この落とし方はそういう意味ではかなりやられました。
あくまで天才少女として名を馳せていたアカネは、断絶されるまでの間の16歳11ヶ月の人生が本当に幸せだったのか、と考えると、作中の描写を見るにNoではないかと思う。
だからこそ、「永遠」に閉じ込められたことで、逆に彼女を縛り付ける者はなくなったと考えることもできないだろうか。
アカネ「本当に……この世界にはもう救いは無いんですか……?」
監督「いい質問だね」
監督「無いと思う」(最終話「Intellectual 42」
女優であり続けること。女優であり続けられる内は、きっと救いになるのでしょう。
メルティー女史(のはず)による第四話以外の各話OPで流れるカヴァー版The Beatlesの「Any time at all」。「いつでも呼べば僕はそこにいるよ」という歌詞の通り、アカネが望めばいつでも物語はそこにいる。
最終話のエンドムービー前に映し出される文字は「THE EN△」。まだ、アカネにとっての女優生活は終わりを迎えてはいない。
YOU ARE NOT ALONE.(Episode:1
追記
シューティング得意じゃないから、自動的についてくる「理系への数学的航空戦線」やってないんだけど、やるべきかなぁ。
追記Ⅱ
……あれ、四話を見る限り実はアカネBL好きだった? つまり16歳11ヶ月の腐女子(ry
追記Ⅲ
アカネ「なんかほら、西暦2236年くらいでドッペルゲンガーが出てくる話とかさっき考えてみたんだけど」(最終話「Intellectual 42」
何西暦2236年はアカネによる43作目の作品だって? でもワタルは出てないから違うかな。
追記Ⅳ
斉藤「時間の流れが速かったり遅かったり感じることがあるでしょう?」
斉藤「そう、あなたはきっと1000分の1秒を1000秒と感じることも出来るでしょう」
斉藤「だから死神はあなたに永遠に追いつけない」(第四話「ウサギとカメと死神」
人が死ぬ時は実際あんな感じに死んだ時間に意識が留められる(「永遠」に閉じ込められる)という話は、説の一つとしてありますよね。確かにアインシュタインにも聞いてみたい。
それでも、もう少しだけ歩いてみようとおもった彼女の志の高さを褒め称えられずにはいられません。