考え深いシナリオでした。
一から十まですべてを書いてあるシナリオ。途中で脳内補完をするシナリオ。
前者の方が分かりやすくて、感情移入もしやすく、評価も高くなるのでしょう。しかし私は、ある程度、描写の不足やわかり辛くさせる事で「ここはこうなったのだろう」とか「ここはこういう気持ちだからこういう行動をとったのだろう」というような脳内補完をしたほうがワクワクして好きです。
さて、この話といえば、間違いなく後者であるのでしょう。所謂、私好みの作品です。
それではネタバレ感想を、
この話は終末の一週間前から始まります。
もう発表されてから幾分と日数はたつのでしょうし、政府や学者さんはもっと前から知っていて終末回避に躍起になってたのでしょう。それでも回避はできなくて、大半は諦めの気持ちでここにいるのでしょう。
しかし、その諦めは世界の話であって、幸せの諦めではありません。みんなが貪欲に幸せを探していたように思います。それがどんなに小さなものだとしても。
この話に出てくる人は、それぞれが劣等感、立場、しがらみ、過去などの様々な悩みを抱えています。それを行動できたのは、あと一週間しかないという終末のおかげです。
確かに、そういうことは、傍目から見るとただの日常なのでしょう。しかし、終末という非日常的なことが起こらなければ、この日常はあったのでしょうか?・・・やはりなかったのでしょう。
この作品は、終末という不幸がもたらした、ちょっとした幸せな話なのだと思います。
私はこの話で、たとえ世界が終わり無になろうとも成長し進化していく人間の凄さと、明日がないと思えばどんなことでもできる人間の可能性というものを感じました。
・・・さて、この話は終末が訪れる前に終わります。本当に終末はあったのでしょうか?
99%、終末は訪れたのでしょう。しかし、私は1%、たとえそれ以下でもあっても、奇跡を信じたいです。
彼らがもっと幸せでありますように。よい月曜日を―