フルプライスで売られていたとは思えないボリューム不足,ゲームのルールの整合性といった大きな欠点があるため,総合的な完成度はリメイク後の「リベリオンズ」の方が上であろう。しかし,シーンによってはこちらにも光るものがあり,個人的には「キャラクターへの共感のしやすさ」「一部キャラクター間の関係性」「純粋にデスゲームのみを楽しめる」などの点でこちらの方が好みだった。長文感想はキラークイーン・シークレットゲーム・リベリオンズをプレイした上での感想。ネタバレはしないようにしたが,シナリオの具体的内容への軽微な言及はあり。
「リベリオンズ Secret Game 2nd Stage」のリメイク前の作品。最初のエピソードの序盤〜中盤の展開はほぼリベリオンズの Episode A と同じだが,それ以降は別物。シナリオだけではなく,クリア条件の言い回しやキャラクターの思考や性格が少しずつ異なる。
フルプライスで売られていたとは思えないボリューム不足,ゲームのルールの整合性といった大きな欠点があり,総合的な完成度はリメイク後の「リベリオンズ」の方が上だと言えるだろう。しかし,シーンによってはこちらにも光るものがあり,個人的にはリベリオンズより本作よりも好みだと思った点が3点ある。
1点目がキャラクターへの共感のしやすさである。キャラクターの性格や設定は,基本的にはリベリオンズと同じである。しかし本作の方が,各キャラクターの弱さの面を比較的はっきりと描写しているように思えた。例えば,琴美が瞳に対して語った修平への想いなどがそれに当たる。彼女の優しさや芯の強さはリベリオンで描かれたそれと変わらない。しかし,リベリオンズにはない本シーンでは,修平以外の人間ともチームを組んで生き抜いてきた中で彼女が感じていた綺麗事では済まされない感情や,その感情を自覚してしまった,それでも心優しい彼女の苦悩がとても響いた。
2点目が,一部のキャラクター間の関係性である。ベースになる設定はリベリオンズと変わらない。キャラクター間の関係性も結局 (リベリオンズのみ成立するカップルがあることを除けば) 似たようなところに着地する。しかし,その過程がリベリオンズより納得しやすいものがあった。はっきりと例を挙げるとネタバレの危険性があるためキャラクター名でぼかすと,特に琴美または玲周りの人間関係はこちらの方が納得しやすかったかもしれない。一方で,リベリオンズとは異なり CODE:Revise では全くと言っていいほど見せ場をもらえなかったキャラクターも複数存在するので,一概にどちらが良いとは言えない。
3点目は少しネタバレ気味ではあるが,運営やゲームマスターがゲームに介入することも,運営組織を壊滅させるということもなく,純粋にデスゲームが楽しめるという点である。個人的にはこれが一番重要であった。「キラークイーン」「シークレットゲーム 」「リベリオンズ」いずれも,運営ががっつり介入してくるルートが存在していた。それだけ主人公たちが運営を追い詰めたということではあるが,デスゲームでの参加者の駆け引きや人間関係の変化を望んでいるユーザとしてはやや興醒めだったため,これは大きな長所のように感じた。
結局のところ自分としては,本作は「リベリオンズをやってキャラクターが気に入った人,またはリベリオンズの殺伐とした部分だけもっと摂取したい人には勧めたいが,基本的にはリベリオンズの方からプレイすることを推奨したい」という立ち位置のゲームとなった。
(以下ネタバレ)
両エピソードで生き残ったにもかかわらずエピローグに一秒たりとも登場させてもらえない玲ちゃん……。