猟奇殺人事件がテーマだが、主人公が探偵にも関わらず殺人事件の現場を一切調査しない。主人公サイドがやることはあくまで人捜しであり、全体の進行としてかなり地味な作品。それでも、アメリカが舞台で終始シリアスな作風という物珍しさは新鮮な為それなりには楽しめた。被害者のバラバラ遺体を組み合わせたCGもあるので猟奇描写が苦手な人は注意かも。回想に官能シーンではなく、犯人視点の犯行シーンが登録されるというのは中々珍しいと思う。
猟奇殺人事件というミステリーの定番な題材で序盤から先が気になる展開であるが、問題点も多い。
・序盤のパーティー会場のフラグ立てが異様に面倒くさい
基本的にマップを行ったり来たりになる作品だが、それ以上にゲーム開始直後のパーティー会場を突破するのはかなり面倒くさい。私がこの作品を長年放置していたのは正直なところ、これのせいである。中盤以降で面倒くさいシーンが出るなら、費やした時間を無駄にしないために頑張れるが、最初からこんな面倒くさい場面が出たら後回しにしたくなる。人も選択肢も多すぎる。
・主人公が無能
探偵なのに新聞すら読まない主人公って流石にぼんくらすぎる。祖父の遺産を使って道楽で探偵をやっているらしいけどそれにしても探偵として活躍する場面がほぼないのはいかがな物かと。
警察に知り合いがいるわけでもないから殺人事件の現場調査も出来ないし。人捜しに時間費やしすぎ。
あと無味乾燥。感情に乏しい。
・出来事の羅列、思い入れのないキャラクターの死亡。
登場人物は主人公と関わりが薄く、深い絆で結ばれたキャラがいないので被害者になっても「へー、そうなんだ」位にしか思わない。殺され方はかなりエグいが、ショックを受けるシーンはほぼ無い。
ボリュームはある作品だけど、ミステリー物としての深みは正直ほとんどない。
登場人物も嫌な奴が多く、かと言って深くは関わらない。なんだろう、干渉されるのを嫌う奴が多いから一歩踏み込んで話し合う場面が殆ど無いからかな。個人主義のアメリカという背景を表現したのかもしれないけど、そのせいでどの人物もモブっぽく見える。
事件に関係ありそうな人物にも関わらず、あっけなく海外公演でアメリカを離れてそれ以降登場しない奴とかもいるし。
犯人の立ち位置が特殊すぎて動機を聞いても「うーん」って感じ。
題材は良いけどもう少し色々と工夫が欲しかったかなと。
因みに最後に分岐があるが、合計で3人の女性とやっていると問答無用でバッドエンドらしい。
私は2人としかやっていないから何とかトゥルーエンドも見れた、その代わり官能シーンは1つ見れていないが、別にメインヒロインでも何でも無いし今更やり直して見る気にもなれない。
攻略前は知らなかったが、3人とやって分岐エンドが見れないという事態を避けられて本当に良かった。
10時間以上かけてまたやり直すのは苦痛過ぎるので。
以下ネタバレ有り(ほぼ自分用。作品の内容を忘れたときに後で見返すため。未クリアの人は回避推奨)
※ニューヨーク以外の3人とニューヨークの5人では殺した犯人が異なる。それは分かる。
しかし、オープニングで殺されたニューヨークの女性は「しゃぶってあげようか?」と喋る。
これが男性器のことなら矛盾する。なぜならこの女性を殺した犯人は女性のはず。
しゃぶるとは胸のことを言っている?
そしてユリコはなぜグッゲンハイムではなく、近代美術館に行った?主人公もいぶかしんでいたが結局語られることは無かった。最後までやっても何点かモヤモヤが残る。