やり終えての印象は熱いというより渋い、か。作品全体に漂うトーンはいわゆる都会派の小説--ぐちゃぐちゃとした粘っこい心理描写はしない、登場人物を必要以上に掘り下げずさらりと描く--に近い(が、話の中心人物が純粋で正義感あふれる若者なので変にスカした雰囲気というのはない)。また一見話の本筋に関係のないようなエピソードや人物が多く出てくるのもこの作品の特徴で、アノミー化した都市の様相をかなりリアルに伝えている。本作品ではそれらに対して批判ではなく、むしろ共感と哀愁のこもった視線を投げかけている。
気に入ったキャラは沙耶と邦博、そして大隅さん。
大隅さんを好きな人なんて他にいないんだろうけど、
三沢さんとのやり取りが印象に残りました。