本作は、主人公が創った妹そして入院患者の女の子が生きるか死ぬかと、どのヒロインを攻略するかの三連で考えながら多数有る選択肢を越えていく良作だった。妹ゲーとして秀逸。声優もシナリオも音楽も良いのに攻略サイトが無いくらいのマイナー作品だった。
もう今から15年前の2004年作品であり、今までの経験で行くと『こんなマイナー作品にも攻略サイトがあるのか』と驚かされること多数だったが、本作はそんな攻略サイトからも漏れてしまっているどマイナーな作品だった。しかし、選択肢次第では妹が死ぬという展開が俺の琴線に触れてしまった。輪廻転生ものである点も素晴らしい。
天才医学者である主人公は、目の前で交通事故に遭いそうな妹をかばって瀕死の重症を負った。
病院のベッドで目覚めた主人公が周囲に居る家族や病院関係者に「妹は無事だったのか?」と聞いたところ、「何を言っているんだ?お前には妹はいない。お前は最初からひとりっ子だ」と返されるのだった。
しかし、主人公には妹が居た記憶が鮮明にあり、周囲の言うことに納得が出来ないのだった。
結局、入院中は妹の話はしないほうが良いと判断した主人公は、回復後は手術経験を積み、論文を書き、父親の跡を継いで総合病院の院長となった。
そして主人公は地下研究室で秘密裏に実験・研究をおこない、自分の脳内に居る「死んだ妹」を創るための計画を立てるのだった。
その計画を、名付けて「妹レシピ」と言う。
本作は、攻略するヒロインによって、生まれてくる妹がくりす・ことりのふたりのどちらかとなる。
そして、入院患者のほのかが関わってくる。
生まれたばかりで肉体と魂の融合が不安定な妹が生きるか死ぬか、また、入院患者のほのかが生きるか死ぬか、そしてどのヒロインを攻略するかの三連で考えながら多数の選択肢を越えていく作品である。
そこに伝奇や輪廻転生感的な要素が加わり、物語は当初の予想以上にスケールが大きいものとなるのだった。
個人的に、妹が死ぬ妹ゲーに当たる経験が何回かあるのだが、本作も病院モノらしくルートによっては妹が死ぬ作品だった。
ただ、妹が死んで終わりではなく、その後の展開が本作はうまく作られており、感心した。
こういう高得点を付けたくなる作品が「クソゲー」としてワゴン売りされている現実には参った。
妹モノ&声優で拾って来なかったら、本作とは一生出逢うことも無かったのかと思うと運命的なものさえ感じてしまった。
先人はどこを見ていたのかと思うと同時に、2004年当時はそれほど優秀なエロゲにあふれていた時代だったのかという背景が見えて来るのだった。
・立ち絵+CG 15点/20点
・設定(システム、作品世界観) 17点/20点
・シナリオ 17点/20点
・音楽 15点/20点
・声優 16点/20点
●合計80点