まさかの良作だった。個人的に、アパタイトや関連ブランドが発売したTS作品の中では一番面白かった。いつもの「アパタイトタイマー」を考えると『都合が良すぎるストーリー展開』も『登場人物全員アタマがおかしい』もすべてほめ言葉となるのである。NornのTS作品を思い出させるような主人公のヤンキーっぷりもすがすがしい。2つあるエンドのどちらも納得が行く仕上がりであり、Hシーンの尺が短いこと以外には大きな問題がなかった。特に、作品構成はちゃんと考えられており、エンディング後にもう1エピソードあるところも良かった。
※本作のレビューには多数のネタバレがあります。未プレイの方はご承知の上で読んでください。
アパタイトの4本目のTSゲーをクリアした。
「女体化パニック」のシリーズとしては本作が、個人的に一番面白かった。
学校内で不良たち相手にいつもケンカをしている主人公・江藤伊織が、親戚でもある化学教師が作った薬を誤って飲んで女体化してしまうのである。
作品の冒頭で、女子制服姿の主人公がトイレで放尿の後、勢いでオナニーをしてしまった時の回想シーンとして薬を誤飲した顛末が描かれており、TS作品の構成としてのうまさがゲーム開始直後から伝わり、その後の展開に期待を持たせてくれるのであった。
親戚の化学教師は主人公を実験台に、これまでに様々な新薬を試しているマッドケミストのような存在である。しかし、女体化に対する研究者の最大の興味として、拘束された主人公が最初のHシーンをこの化学教師に持って行かれるところが痛快だった。当初は強引な展開だなと思ったが、このあとの展開のほうがもっと強引であり、過去作品を知っていると予想外に世界観が広がっているのがわかるのである。
女体化した主人公は、家庭の事情で学校を休学し、短期間だけ転入生の女生徒として別室で単独で授業を受けることとなった。
ところが、いつもケンカをしている不良の高野、そして後輩の木島(高野にいじめられているところを毎回主人公が助けている)はなぜか、転入生である女生徒が『女体化した江藤伊織』であると見破るのであった。また、主人公のことをひそかに慕っていた女子の智恵理も同様に見破ってしまうのである。なぜ見破ったのかについては一応の説明があるが、このあたりから本作のストーリー展開が予想以上に都合がいいことが知れてくるのであった。
主人公は、高野と取り巻きの3人から学校内で凌辱されてしまうが、めげない主人公は、高野たちにいじめられた後輩の木島に自信を付けさせようと木島の筆下ろしをするのだった。保健室のベッドでの騎上位がなかなか良かった。
本作では、(男の時の)主人公を好きな女子として智恵理が登場するところが過去のTS作品とは違うところである。
この種の短編抜きゲーの場合、女性キャラ(本作では主人公)はひとりしか登場しないものであるが、本作ではなぜかもうひとり登場し、しかも女体化していることを見破るのである。さらに、女体化した主人公とのレズシーンへの持って行き方が強引ながら実に見事で笑ってしまった。
この智恵理は、髪の色が違うガルパンの沙織のような容姿であり、主人公同様になぜか胸がでかいのである。
そして主人公は、その後もしつこくからんでくる不良の高野に宣告するのである。
『おい高野、俺とエロで勝負しろ!』
そしてまさかの、先にイッたほうが負けという「69勝負」となるのだった。
また、マッドな化学教師は主人公に『男に戻す薬を作るための次の実験に協力してくれ』と言いつつ、主人公に魔法少女コスプレをさせた上で拘束し、アナルセックスをしようとするのであった。ところが、その現場を木島と智恵理に見られてしまい、出た結論が、主人公・智恵理・木島で3Pをするというくだりには笑ってしまった。
しかも化学教師は『私は記録係でいい。私がすべて記録しよう』と動画を撮るのであった、
もうこの辺で、登場人物全員アタマがおかしいんじゃないか?というほめ言葉が浮かんでくるのである。
選択肢は2つ。
男に戻るエンド、女のままで居るエンドがあり、実に納得の行く終わり方となる。割と主人公がかわいそうな結末となるかと思いきや、NornのTS作品を思い出させるような主人公のヤンキーっぷりには主体性があり、痛快なストーリー展開だった。
Hシーンの尺は短いところが残念だが、Hシーンは11個、CGは15個だった。
また、アパタイトの他作品にありがちな、他作品のキャラの体に首だけすげかえられているような、妙にガタイが良かったり腰が太かったりと不自然なCGがあった。
これは制作費削減のためには致し方ないのかもしれないが、もう少しうまくやって欲しいと思うのであった。
とは言え、TS作品としてはうまく作られており、特にアパタイトのTS作品の中では、一番面白かった。
数ヵ月後にあっさり「女体化パニック!5」が出る事態が来るのかもしれないが、次はひとつ上のブランドで廉価版でなく中規模価格帯で発売して欲しいものである。
・立ち絵+CG 15点/20点(CG:15個、Hシーン:11個)
・設定(作品世界観) 18点/20点
・シナリオ 17点/20点
・音楽 10点/20点
・声優 15点/20点
●合計75点